『若きウェルテルの悩み』は、1774に発表された、フランクフルト出身の作家ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの作品です。
18世紀後半から19世紀前半のドイツを代表する作家ゲーテは、1749年8月28日にフランクフルトの裕福な家庭に生まれました。教育熱心な父親の影響で幼い頃からさまざまな分野を学び、ライプツィヒ大学やシュトラスブルク大学で学問を納め、法律家、政治家、自然科学者としても活躍したことが知られています。
『若きウェルテルの悩み』は、シュトラスブルク大学を卒業し、弁護士事務所を始めたゲーテが法律事務の実習のために田舎町ヴェッツラルに赴いた時の体験を元に執筆された作品です。ゲーテは町の舞踏会で、シャルロッテ・ブフという許婚者のいる女性に出会い、熱烈な恋をします。以来彼はシャルロッテのもとを頻繁に訪れる生活を送りますが、最終的にはその想いを抑えて、ヴィッツラルを去ります。フランクフルトへ戻ると間もなく、ヴィッツラルでの友人カール・イェールザレムが、人妻との恋愛に絶望してピストル自殺したという知らせが届き、ゲーテは大きな衝撃を受けます。
シャルロッテ・ブフとの熱烈な恋、カール・イェールザレムの自殺という二つの事件をモデルにして書かれた『若きウェルテルの悩み』は、大ブームを引き起こし、ゲーテは若き文壇の寵児として脚光を浴びるようになりました。若いヨーロッパの男性の間で、ウェルテルの身につけていた青いフロックコートと黄色いベストとズボンが流行するようになり、またその一方でウェルテルと同じように自殺する若者が増えたことで批判にも晒されました。
『ウェルテル』の後、文化芸術を庇護していたザクセン・ワイマール公国の当主カール・アウグストからの誘いを受けたゲーテは、その地に赴き、大臣や内務長官を務め、鉱物学、解剖学、植物学などを研究しました。作家業では、五十年にわたる後半生をかけて完成させた『ファウスト』をはじめとし、『ヘルマンとドローテア』、『親和力』といった作品を発表し、全ヨーロッパにその名声を轟かせる存在になりました。
このページでは、そんなゲーテの『若きウェルテルの悩み』の登場人物、あらすじ、感想を紹介します。
『若きウェルテルの悩み』の登場人物一覧
主な登場人物
ウェルテル
幼馴染の恋人を亡くし、旅に出た青年。新しい土地の舞踏会で出会ったロッテに魅了され、恋の虜となる。自分の心のうちを旧友のウィルヘルムに書き送る。
ロッテ(シャルロッテ・S‥)
法官の娘。母親が死んだ後、猟舎に移った父親の代わりに、弟や妹の世話をしながら生活している。アルベルトとの結婚を控えている。
アルベルト
ロッテの許婚者。落ち着いた態度の人物で、将来は宮廷で重要な地位に就くことが約束されている。
ウィルヘルム
ウェルテルの旧友。ロッテの虜となったウェルテルを心配し、自分の斡旋で公使の道に就くことを勧める。
その他の登場人物
老法官
ロッテの父。九人の子供を抱える。率直で律儀な男。妻を亡くしてから町から一時間半ばかりのところにある公爵家の猟舎に住んでいる。
作男
ワールハイムでウェルテルが出会った男。未亡人の女主人を慕い、結婚を望んでいる。
ルーイ
ロッテの幼い弟。
ゾフィー
ロッテのすぐ下の妹。十一歳。
マリアンネ
ロッテの幼い妹。
マールヒェン
ロッテの幼い妹。
ウェルテルの叔母
ウェルテルの旅先に住む。ウェルテルの母の遺産問題に関する要求を受け入れる。
V‥
大学を出たばかりの男。いろいろな点で学問があり、他の人より自分が物知りだと決め込んでいる節がある。
フィリップス
ワールハイムの料亭のそばに住む少年
ハンス
フィリップスの弟。四歳くらい。
医者
ロッテのふざけまわっている子供たちを見て、もともと躾が悪かったのが、ウェルテルのせいで更に悪くなったと町中に触れ回る。
フリーデリーケ
山の中に住む耳の聞こえない牧師の娘。
シュミット
フリーデリーケの恋人。
M‥
町の危篤状態にある老婦人。ロッテに見舞われている。強欲な夫に苦しめられており、秘密裏に帳場から、不足分を補っていた。
公使
官職に就いたウェルテルの同僚。不親切で、ウェルテルの書いた書類に難癖をつける。
C‥伯爵
官職に就いたウェルテルの職場に住む人物しっかりとした視野の広い、友情や愛情を十分に持ち合わせる人物で、ウェルテルと打ち解ける。
フォン・B‥嬢
官職に就いたウェルテルと意気投合した良い家柄の婦人。自分の高い身分を嫌がり、俗世間から逃げ出したがっている。
フォン・S‥夫人
高い身分の高慢な婦人。C‥伯爵の昼食会でウェルテルのことを疎んじる。
公爵
ある軍団に勤務する将軍。公使を退官したウェルテルの面倒を一時見る。
狂人
ロッテの父親の以前の書記として働いていたが、ロッテに恋をし、想いを打ち明けて免職になり、気が触れ、精神病院で鎖に繋がれていた。
ウェルテルの従僕
『若きウェルテルの悩み』のあらすじ
※この作品は、ウェルテルの自殺という事件を知った編者が集めた資料(主にウィルヘルム宛の書簡、第一部と第二部)および、その編者によって執筆された事件のあらまし(「編者より読者へ」)という体裁になっています。
第一部
お互いに恋心を抱いていた幼馴染の死を経験した青年ウェルテルは、旅に出ることを決意し、以前から母親が遺産問題で不満を抱いていた叔母のいる土地へと出かけました。彼は、素晴らしい自然の残るこの土地を気に入り、その土地から親友のウィルヘルムに向けて何通もの手紙を送りました。やがて町の人々からも好かれるようになったウェルテルは、S‥という子供が九人いる公爵家の法官と知り合いになりました。法官は、妻を亡くしてから町から一時間半ばかりのところにある公爵家の猟舎に住んでいました。
ウェルテルは、町から小一時間のところにある、谷全体が見渡せるワールハイムという土地に通い、料理屋でコーヒーを飲むことが習慣になりました。その土地で知り合った作男は、ある美しい未亡人のところで働いており、その女主人に純粋で真剣な思慕を寄せ、結婚を望んでいました。
老法官から隠居所を訪ねて来るように言われていたウェルテルは、そこで行われる郊外での舞踏会に参加することを決め、ある娘を踊りの相手に選んで馬車に乗り込みました。パートナーの娘はその途中で、法官の娘で旅行中の婚約者がいるシャルロッテ・S‥(ロッテ)を誘うつもりでした。
舞踏会のパートナーと共にロッテの家を訪ねたウェルテルは、幼い弟や妹たちの母親代わりであったロッテに一目で魅了されました。
会場に着くと、ウェルテルはロッテに対舞曲の相手を申し込み、これほどまでに軽々と踊れたことはないと感じました。
舞踏会からの帰り道、ウェルテルはロッテを見つめるために一睡もせずに馬車に乗り、またお目にかかりたいと言って辞去しました。
以来ウェルテルは、ワールハイムから半時間で行けるロッテの家に通うようになり、清らかで幸福な日々を送りました。
ロッテに会うこと以外の望みがなくなってしまったウェルテルに対し、ウィルヘルムは官職に就くことを勧めましたが、ウェルテルはその勧めに耳を貸すことはありませんでした。ウェルテルはロッテが自分を愛しているのではないかと考えながらも、彼女が許嫁のアルベルトのことを話すときには、絶望的な気持ちを味わうようになりました。あまりに感情が豊かになった彼は、自分の表現力が薄弱なことを悟り、学んでいた絵の稽古も辞めてしまいました。
やがてロッテの許嫁アルベルトが到着し、ウェルテルは好意を寄せずにはいられない立派な人間であるという感想を彼に抱きました。そしてこの二人の新しい生活のため、立ち去らなければならないと考えながらも、ロッテのことを諦めることができずに、アルベルトのいない時に訪れることを画策し、その度に愚かな自分の惨めさを嘲りました。
やがてウェルテルは不安に支配され始め、慰めも望みもない未来に涙を流すようになりました。活動力はにぶり、心は落ち着きのない投げやりな状態となり、表現することも本を読むこともできず、自然に対して無感覚となりました。ロッテのそばで過ごすうちに胸を締め付けられるような感覚に陥り、外へ飛び出して森に入り、草木によって身体を傷つけられることを喜びと感じ、疲れと喉の渇きのために夜更けに倒れると、この悲惨を終わらせるための死というものを意識するようになっていきました。
このような日々に終止符を打つため、ウェルテルはロッテと別れ、ウィルヘルムの斡旋で公使として働くことを決意しました。彼はロッテとの最後の時間を過ごすと、去って行くことを告げないまま「さようなら」と言いました。
ロッテは「あしたね」と冗談を言いながら、アルベルトとともに去って行きました。ウェルテルはその後ろ姿を見送り、地面に平伏して泣きました。
第二部
ウェルテルは公使とともに当地へ着き、仕事に打ち込みました。彼はこの地で、広い視野を持つしっかりとした人物のC‥伯爵や、自分の高い身分を嫌がり、俗世間から逃げ出したがっているフォン・B‥嬢と友情を結びました。
しかし、その一方で、ウェルテルは、家柄や生まれた国ばかりが重要視され、儀礼的なこと以外は念頭にない世間への軽蔑を強めました。自分の仕事に難癖をつけてくる公使とはたびたび諍いとなり、その公使から宮廷に訴え出られ、ウェルテルは大臣から小言をもらうこととなりました。
やがてウェルテルは、周囲からの嫉妬を受け、陰口を叩かれるようになりました。彼はC‥伯爵の昼食会で、人々から交際を避けられていることに気づくと、ウィルヘルムや母親に申し訳なさを感じながら宮廷に退官を申し出ました。
その後ウェルテルは、ある公爵の誘いに従って、その領地へ行くことを決めました。しかしその公爵が自分の心よりも、理知や才能の方を高く評価していることを不満足に感じ、情熱のない公爵との交際に退屈するようになり、一週間でその場を離れました。
結局ウェルテルは、ロッテの家のそばに戻り、再びアルベルトへの嫉妬に苦しむようになりました。
ワールハイムでは偶然女主人との結婚を望んでいた作男と出会い、彼が女主人への愛着のあまり、部屋に忍び寄り、腕ずくで想いを成し遂げようとして捕らえられ、二度と雇い入れられないようにされてしまったことを聞きました。女主人の方からも気を持たせることがあったということを聞き、ウェルテルは、その男の運命に強く同情しました。
やがて彼は、自分がロッテを幸福にはできないという現実に絶望し、死んでいきたいと考えるようになりました。
ロッテは、ウェルテルの苦しみに気づき、心からの同情を注ぎながら、気を落ち着かせて欲しいと頼みました。しかしロッテの幻に心を占領されたウェルテルは、彼女の助言を聞き入れることはできませんでした。
「編者より読者へ」
ウェルテルは不満から精神の調和を失わせ、倦怠状態に陥り、人前に出ても憂鬱にしているようになりました。
ある冬の日、病気になった父を見舞いに行ったロッテのことを、アルベルトが迎えに行かなかった場合に自分が連れ帰るため、ウェルテルは彼女の後を追いました。
ロッテの父の家に入ったウェルテルは、ワールハイムで農夫が殺されたという噂を知りました。その事件の加害者は、ウェルテルがよく話したことのある、未亡人のことを慕っていた作男で、殺されたのは彼の後釜に雇われた男でした。
この話を聞いたウェルテルはワールハイムに急行し、その場で男を弁護し始めました。しかし法官はウェルテルの主張をさえぎり、殺人犯を庇護することを責めました。その場にいたアルベルトが法官の側に立ったため、ウェルテルは言い負かされ、自分を非難されているように感じながらその場を去りました。
アルベルトは家に帰ると、加害者を擁護したウェルテルのことをロッテに話し、彼を自分たちから遠ざけてもらいたいと言いました。ロッテは沈黙したため、以来彼はウェルテルのことを口にしなくなりました。
ウェルテルはロッテとの虚しい交際を続けながら徐々に消耗し、感覚は混乱して思考することができなくなり、涙ばかりが出るようになりました。そしてこのような日々の繰り返しの中で、彼はこの世を去ろうという決意に心を占領され、自殺という観念に慣れ親しむようになりました。
ロッテは、ウェルテルのことを口にしなくなった夫に自分の意思を示す必要に駆られ、ためらいながらもウェルテルを遠ざけようとしていました。
クリスマス前の日曜日の夕方、ウェルテルはロッテを訪れました。ロッテは、子供たちや父親がやってくるクリスマスイヴまで来てはいけないとウェルテルに忠告し、自分のことなど慕うのではなく、気を落ち着けてほしいと懇願しました。
しかしウェルテルは、冷ややかな目つきでロッテを見つめ、アルベルトの差し金でそのような芝居をするのだろうと言いました。
部屋にアルベルトが入ってきたために帰宅したウェルテルは、泣きながら寝台に倒れ込みました。そして従僕に自分が呼ぶまで部屋に入ってきてはならないと命じると、翌日の早朝、死を決意したことを表明するロッテへの手紙をしたためました。
その日、家に一人でいたロッテは、ウェルテルと自分の心がぴったりと調和していたことを思い知らされ、別れの辛さを身をもって感じていました。彼女はアルベルトのことを心から愛していながら、初めて自分がウェルテルを自分のものにしたいと考えていることを自覚し、それが許されないことであると自分に言い聞かせました。
夕方、ウェルテルがやって来ると、ロッテはこれまでにないような動悸を感じながら、クリスマス前に来たことをたしなめました。二人きりになることを避けるために、女友達を呼びましたが、誰も来ることはできないようでした。ロッテは決心してウェルテルの横に腰を下ろし、彼が訳したオシアンの詩を読んでほしいと頼みました。ウェルテルはその詩を朗読しました。二人は自分達の身の上を英雄たちの運命と重ね、感動して涙を流しました。やがてウェルテルはロッテの前に身を投げ、その両手を取り、額に押し当てました。ロッテはウェルテルの両手を握り、自分の胸に押し付けると、ウェルテルは、ロッテを胸に抱き、唇に狂おしい接吻を浴びせました。
ロッテは怒りと愛情に身を震わせながら力なくウェルテルを押し退け、「これが最後です。もうお目にかかりません」と言うと、隣室へ入り、扉を閉じました。
ウェルテルは扉の外から永遠の別れを告げ家へと帰りました。
翌朝、ウェルテルは、ロッテに宛てた手紙をしたため、昨晩のことについて許しを乞いながら、ロッテが自分のことを愛しているという確信を得、歓喜に満ちながら、彼女の死んだ母親に会いに行くのだと述べました。そして十一時になると、旅行に行くのでピストルを借りることはできないかというアルベルト宛の手紙を従僕に託しました。
その晩ほとんど眠ることができなかったロッテは、ウェルテルの抱擁に感じた熱情、そしてその抱擁に対する怒り、以前とは変わってしまった自分に対する不快といった感情にさいなまれ、どのように夫を迎えればよいかで悩みました。
アルベルトが帰宅すると、ロッテは狼狽しながら彼を迎え、ウェルテルが来たことを正直に伝えました。
そこへ使いの少年が現れ、ウェルテルからの手紙を読んだアルベルトは、ピストルを渡してあげるようロッテに命じました。ロッテは動揺しながらも、夫の指示に従ってピストルを少年に渡しました。
ウェルテルは少年が持ってきたピストルを喜んで受け取り、ウィルヘルムや母への別れの言葉や、アルベルトに家庭の不和の種を蒔いてしまったことへの謝罪の言葉を手紙に書き、それらをすべてウィルヘルム宛にして封をしました。
さらにウェルテルはロッテに宛てた最後の手紙を書き、その手紙の中で、ロッテのために死ぬという幸福に満たされていることや、彼女の弟や妹に対する愛情を語りました。
十二時になると、ウェルテルは、弾丸を込めてある銃の引き金を引きました。隣家の人がその銃声を耳にしましたが、その後物音がしなかったのでそれ以上気にとめることはありませんでした。
管理人の感想
『若きウェルテルの悩み』は、婚約者のいるロッテに叶わぬ恋をしたウェルテルが、苦悩の果てに自殺するまでが描かれた書簡体の小説です。
物語は、幼馴染の恋人を失った青年ウェルテルが旅に出るところから始まります。彼はその旅先から、親友のウィルヘルムに向けて何通もの手紙を出し、ロッテとの舞踏会での恍惚とするような出会いや幸福な日々、アルベルトが戻ってきてからの嫉妬、そして最終的に自殺へと自らを追い込んでいく絶望を語ります。叶わぬ恋をしているという現実に引き戻された時の絶望、最も傷付けたくはない相手を傷つけずにはいられなくなる葛藤、挙句の果てに自らも傷ついていく苦しみといった恋愛の心理を深く突き詰めた本作品は、多くの熱心な愛読者を集め、ウェルテルと同じように自殺を図る若者が増えたそうです。現代においても、人間にとって普遍的な恋愛を描いた古典の代表作として親しまれており、寝ても覚めても相手のことしか考えられず、その相手をほのめかす欠片すらも探し求めるといった恋愛中の心理が余すことなく書かれている本書は、恋の苦しみを味わったことのある人にとっては非常に共感を誘うものでしょう。
一方で、ロッテやアルベルトといった人たちの立場から俯瞰して、ウェルテルの行動に反感をいだく人も多いのではないかと思います。そのような人々にとってウェルテルの情熱は、非常に独りよがりで利己的なものに映るのではないでしょうか。アルベルトとロッテのささやかな幸福を壊してしまったという意味では、ウェルテルの情熱は罪深いものととらえることもできるでしょう。
ウェルテルに共感するか、反感を抱くかは、読者の過去、考え方、性格、現在置かれている状況によって大きく変わるのではないかと思います。特に恋をしている時と、恋をしていない時では、一個人でも全く正反対の感想を抱くことすらあるのではないでしょうか。これは、それだけこの作品が、恋の美しさと愚かさの両面を非常に鮮やかに描きだしているということの証拠だと思います。おそらくこの作品は、恋をしている時と恋をしていない時の両方の時期に手に取るべきであり、その時々のウェルテルに対する自分の考え方を客観的に見つめることによって、人間の本質を垣間見ることができるのではないかと思います。
身を焦がすような恋の病は、これまでに小説家のみならず、あらゆる分野の芸術家が表現し続けてきた大きなテーマの一つですが、この『ウェルテル』は、恋の虜になった個人の心理の追求という意味で傑出した作品です。二百五十年前にして、この大きな分野の決定版ともいうべき作品が既に発表されてしまったことは、その後の表現の世界に多大なる影響を与えたに違いありません。