森鴎外『雁』の登場人物、あらすじ、感想
『雁』は、1911年から雑誌「スバル」に連載された森鴎外の小説です。 高利貸しの妾であるお玉が、東京大学の学生である岡田に儚い恋をするも、ある偶然によって結ばれることのできなかった物語を通して、不幸な境遇の中で自立していく彼女の姿や、一度の偶然が運命を左右する様を描いた作品です。 東京大学から上野不忍池にいたる一帯や、神田、秋葉原界隈が舞台になっており、ビジネス街となってしまったこの辺りの情景を […]
『雁』は、1911年から雑誌「スバル」に連載された森鴎外の小説です。 高利貸しの妾であるお玉が、東京大学の学生である岡田に儚い恋をするも、ある偶然によって結ばれることのできなかった物語を通して、不幸な境遇の中で自立していく彼女の姿や、一度の偶然が運命を左右する様を描いた作品です。 東京大学から上野不忍池にいたる一帯や、神田、秋葉原界隈が舞台になっており、ビジネス街となってしまったこの辺りの情景を […]
森鴎外作『雁』の詳しいあらすじを紹介するページです。ネタバレ内容を含みます。 リンク ※もっと簡単なあらすじ、登場人物紹介、感想はこちら(『雁』トップページ) 岡田とお玉の出会い 明治十三年、東京大学の学生であった「僕」は、鉄門の真向かいにあった上条という下宿屋に住んでいました。「僕」の部屋の隣の下宿人は、一学年下の岡田という男でした。 岡田は体格のよい美男で、競漕(ボートレース)の選手でした。 […]
『寒山拾得』(かんざんじっとく)は、一九一六年に発表された森鴎外の短編小説です。 寒山と拾得は、七、八世紀ごろに、中国浙江省東部に位置する霊山・天台山の国清寺に出入りしていたと言われる二人の僧です。彼らはいつもみすぼらしい格好で、奇声を発しながら寺の廊下を歩くといった奇行の持ち主であった一方で、仏教の教理に深く根ざした詩を、山林の石、竹、民家の壁などに書き連ねていました。 伝説では、寒山が文殊菩 […]
『じいさんばあさん』は、一九一五年に発表された森鴎外の短編です。江戸、天明期における文人、大田南畝(おおたなんぽ)が記した随筆『一話一言』に収録されている史料をもとに書かれた歴史小説で、麻布竜土町に隠居してきたひと組の老夫婦が経た、三十七年間にも及ぶ苦難の過去が描かれます。あまり知られていない作品ですが、高校国語の材料として使われることも多いようです。 このページでは、『じいさんばあさん』の登場 […]
『堺事件』は、一九一四年に発表された、森鴎外の歴史小説です。 一八六八年、無許可で上陸したフランスの水兵たちを、当時堺の町を取り締まっていた土佐藩の歩兵隊が銃撃して殺害し、その罪を問われて切腹した事件を題材にした作品です。この事件は、明治天皇がフランスの公使への謝意を表したり、伊藤博文が事件の解決のために奔走したりと、日本政府が初めて経験した大きな外交問題のひとつであったようです。切腹の際、藩士 […]
『阿部一族』は、一九一三年に発表された森鴎外の短編小説です。 江戸時代初期、熊本藩初代藩主である細川忠利の一周忌に、家臣である阿部権兵衛が自分の髻(ちょんまげのことです)を位牌に添えて投獄されたことで、他の兄弟をはじめとする阿部一族が屋敷に籠城し、細川家に仕える武士たちによって討ち取られた事件を題材にした作品です。鴎外が数多く残した歴史小説の中でも代表的な作品で、この時代に生きた武士たちのすさま […]
『うたかたの記』は、一八九〇年に発表された森鴎外の短編小説です。 鴎外のドイツ三部作(他の二作品は『舞姫』と『文づかい』です。)と呼ばれる、主にドイツを舞台とした初期作品の二番目に当たり、ミュンヘンに留学中の画学生・巨勢と、数奇な人生を辿り美術学校のモデルとなっている少女マリイとの、儚い運命が描かれます。 作中に登場する国王は、実在したバイエルン国王のルートヴィヒ二世です。彼は建築や音楽に金を惜 […]
『舞姫』は、一八九〇年に発表された、森鴎外の代表作です。 十九歳で東京大学医学部を卒業後、病院勤務を経て陸軍軍医本部に勤めるようになった鴎外は、一八八四年に衛生学を学ぶためにドイツ行きを命じられ、一八八八年にかけて、ベルリン、ライプツィヒ、ドレスデン、ミュンヘンなどの主要都市を転々としながら、留学生活を送ります。 帰国後、彼は本格的に文筆活動を開始し、小説として初めて発表されたのが『舞姫』です。 […]
森鴎外作『高瀬舟』のあらすじ、登場人物を紹介するページです。作品の概要や管理人の感想も。 リンク 『高瀬舟』の登場人物 喜助三十歳ほどの住所不定の男。幼い頃に両親を亡くし、弟と残された。西陣の織場で働いていたが、弟殺しの罪で流刑に処せられ、護送の高瀬舟に乗っている。 喜助の弟喜助とともに身を寄せ合って生きてきたが、病気で体を動かすことができなくなり、罪悪感を感じていた。 羽田庄兵衛喜助を高瀬舟で護 […]
江戸時代に流行した説経節という伝統芸能の演目『さんせう太夫』を題材に書かれた森鴎外の代表作『山椒大夫』の登場人物やあらすじを紹介するページです。作品の概要や管理人の感想も。 リンク 『山椒大夫』の登場人物 ※ネタバレ内容を含みます。 厨子王冒頭では十二歳。三歳のころに、父である陸奥掾正氏(むつのじょうまさうじ)が筑紫の安楽寺へ行ったきり帰らなくなり、岩代の信夫郡(のぶごおり、現在の福島県福島市)に […]