エドガー・アラン・ポーの代表作『黒猫』の登場人物、あらすじを紹介するページです。
※ネタバレ内容を含みます。
『黒猫』の登場人物
私
幼いころは素直で思いやりのある性格であったが、酒に溺れ、妻やペットに暴力を振るうようになる。
妻
私からの暴力を受ける。ペットの黒猫を可がっている。
『黒猫』のあらすじ
子供の頃から思いやりのある性格だったわたしは、動物が好きで、さまざまなペットを飼い、大人になってからはそれが人生の中心となりました。妻も動物好きで、さまざまなペットを買い込みました。そのなかに大きくて美しく、賢い黒猫がいました。プルートーという名前でした。
しかしそのうちにわたしは酒乱により、妻をののしり暴力をふるうようになり、それと同時に動物たちにも虐待を加えるようになりました。プルートーもその例外ではありませんでした。
ある晩、わたしは酒に酔って帰宅し、プルートーが自分を避けているような気がして捕まえました。するとプルートーは噛み付いてきたため、わたしは怒りにかられてプルートーの片目をナイフでくり抜きました。わたしは後悔の念にかられましたが、虐待を止めることはなく、ついにプルートーの首に縄をかけ、枝から吊るしてしまいました。
その晩、家が全焼しました。焼け残った漆喰の壁には、縄をかけた巨大な猫が浮き上がって見えました。それ以来わたしは自責の念にかられ、代わりの猫を探し始めました。
ある晩、怪しい店でプルートーに似ている猫を見つけました。その猫は胸にぼんやりとした巨大な白い模様がありました。わたしはその猫をゆずってもらい、持ち帰ると、この猫の片目がくり抜かれていることに気づきました。妻はこの猫を可愛がりました。この猫はわたしに懐いてきましたが、それに伴ってわたしの心には憎悪の感情が再び芽生え始めました。さらに猫の胸にあるぼんやりした白い模様が、次第に絞首台のかたちのはっきりした模様となったため、私は恐怖を感じ、さらに憎悪の感情にかられるようになりました。
ある日妻と自宅の地下室に降りるために急な階段を下っているとき、黒猫がついてきて、わたしたちは階段から落ちそうになりました。怒りにかられたわたしは、斧を持って黒猫を殺そうとしました。しかし妻が猫を庇ったため、わたしは誤って妻を殺してしまいました。わたしは死体を地下室の壁に塗りこみました。それと同時に黒猫も姿を消し、わたしは幸福になりました。
警察がきて家宅捜索が行われましたが、遺体の場所が判明することはありませんでした。気を良くしたわたしは、警察に向かって、自分の家をよくできた家だと喧伝しはじめ、妻が埋められている壁を杖で叩きました。すると、壁の中から異様な叫び声が聞こえてきました。警察が恐れながらも壁を壊すと、妻の腐乱した屍の頭上には、真っ赤な口を開けた、一つしかない眼球を輝かせた黒猫がいました。わたしはこの怪物も妻と一緒に壁の中に塗り込んでいたのです。わたしは絞首台に送られることとなりました。