スコット・フィツジェラルド『グレート・ギャツビー』の詳しい登場人物紹介

スコット・フィツジェラルド作『グレート・ギャツビー』の登場人物を詳しく紹介するページです。ネタバレ内容を含みます。

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ニック・キャラウェイ
この物語の語り手。アメリカの中西部に渡った祖父の兄が南北戦争の頃に始めた金物の卸売によって築いた名家で育つ。父親もその稼業を引き継いでいる。
一九一五年にイエール大学を卒業し、世界大戦に参加する。その後、中西部に魅力を感じなくなり、恋人のような存在の女性を残し、証券会社の見習いとして、ニューヨーク通勤圏のロング・アイランドにあるウェスト・エッグに移り住む。そして投資や有価証券に関する勉強と仕事に忙殺されながらも、スリルに満ちたニューヨークの街にはまり込む。
海を挟んだイースト・エッグに住む、大学時代の友人であったトム・ブキャナンと、またいとこにあたるトムの妻デイジー・ブキャナンに呼ばれ、その家で週末を過ごしていたゴルフ選手ジョーダン・ベイカーと出会い、お互いに好意を抱く。
以来、ブキャナン夫妻と親交を深め、灰の谷と呼ばれる貧しい地域に住むトムの愛人マートル・ウィルソンとその夫の自動車整備工ジョージ・ウィルソンを知る。
隣の大きな屋敷で催される豪勢なパーティーに招待され、その屋敷の持ち主であるギャツビーと初めて出会う。同じパーティーに招待されていたジョーダンにより、ギャツビーがデイジーを五年以上も前から愛し続けていることを聞く。そのギャツビーがジョーダンに依頼した、デイジーを招待したお茶会に招いてほしいという願いを聞きいれ、自宅で二人を再会させ、デイジーがギャツビーへの愛を思い出すのを見届ける。
その後、ニューヨークでジョーダンと頻繁に会うようになり、彼女がさまざまなごまかしをしなければ生きていけない女性であると気づきながらも、関係を前に進めていく。
夏の暑い日に、ギャツビー、ジョーダン、デイジー、トムと共にニューヨークのプラザ・ホテルの一部屋を訪れ、ギャツビーとトムがいさかいに巻き込まれ、その帰り道、トム、ジョーダンと共にマートルが事故死した現場に遭遇する。やがてその事故を起こした車がギャツビーのもので、デイジーが運転していたことを知る。その後、トムがデイジーを事件のことで詰らないかを見張ろうとしたギャツビーをブキャナン家の中に庭に残し、家に帰る。その翌日、ウェスト・エッグに帰ってきたギャツビーの本当の生い立ちと、デイジーと愛し合うようになった過去の物語を聞き、離れがたい気持ちになりながら会社に行く。会社からギャツビーに電話をかけても繋がらなかったため、ウェスト・エッグに帰ると彼の家に直行し、ジョージ・ウィルソンに射殺されたギャツビーの遺体を発見する。
その後、葬儀のために来てくれる人を探すが、誰も呼ぶことができず、ギャツビーの父親と、ギャツビー邸のパーティーで会った名前も知らない男と、侘しい葬儀に参加する。
ギャツビーの死を経て、ジョーダンへの興味を失い、別れを決意する。またギャツビーがマートルを轢いたと思い込んでいるトムと街中で偶然遭遇し、マートルに死をもたらしたのがギャツビーであるとジョージ・ウィルソンに吹き込んだのがトムであることを知る。
ギャツビーの死後、東部、とりわけウェスト・エッグに対し、歪んだイメージを抱くようになり、西部へ帰ることを決意する。

ジェイ・ギャツビー
ノース・ダコタ州の貧しい百姓の子供。若い頃からスペリオル湖南岸でさまざまな職を転々としていた。ミネソタ州南部の聖オラフという小さなルーテル派の大学に在籍したことがあるものの、大学が自分の運命に示した無関心に戸惑い、学士を稼ぐためにやれと言われた門衛の仕事を軽蔑したため、二週間でスペリオル湖に舞い戻る。
十七歳の頃、職を探しているときに、スペリオル湖の浅瀬に投錨する資産家ダン・コーディーに話しかけ、この場所が危険だと忠告を与え、この時初めて、幼い頃から将来の理想像として心に描いてきたジェイ・ギャツビーという名を名乗る。
数日後、コーディーの船ツオロミー号に乗り込み、信頼を得て給仕から航海士、そして船長まで上りつめ、五年間にわたって大陸の周りを三周する。コーディーの死後、その莫大な遺産を相続する予定であったが、自分にも分からない手続きが踏まれた挙句、その遺産はコーディーの愛人に渡ることとなる。
その後、第一次世界大戦中にテイラーの駐屯地に滞在し、近郊の町ルイヴィルでデイジーを知る。自分が地位のない無一文の青年であることを知っていたため、手に入れられるものはなんでも手に入れ、自分がデイジーと同じような上流階級の人間であると信じ込ませ、彼女の恋人となる。しかしその一ヶ月後に戦争の参加を命じられて故国を離れる。大戦では武勲をあげ、大尉から少佐に昇進し、機関銃隊の指揮をとり、モンテネグロでは勲章を得る。しかし休戦後も帰国は叶わず、オックスフォードに送られることとなり、その間にデイジーから別れを告げる手紙を受け取る。
その後フランス滞在を経て帰国し、軍隊の俸給の残りをはたいて、デイジーとの思い出の地ルイヴィルに一週間ほど滞在し、一文なしになる。
玉撞切り場で出会ったマイヤー・ウルムシェイムにより入会させられた在郷軍人会で重要な地位を占め、シカゴやニューヨークのドラッグストアを買収して禁止されていたエチル・アルコールを販売したり、賭博業に手を出したりという違法行為を含む事業をウルムシェイムと共に行い、巨万の富を手に入れる。
その後、ウェスト・エッグに家を建て、対岸にあるデイジーの家の桟橋の突端の灯を眺めながら、毎週のようにパーティーを開き、彼女が自分の家を訪れるのを待つ。
しかしデイジーが訪れてこないため、色々な人に彼女を知っているかと訪ねて回り、ジョーダン・ベイカーを見つけ出す。
自宅のパーティーにジョーダンとニックを招待し、ニックの家のお茶会にデイジーと自分を招いて欲しいとジョーダンに頼み、その願いを聞き入れたニックにより、デイジーとの五年十一ヶ月ぶりの再会を果たす。その後、デイジーに忘れかけていた自分への愛を思い出させることに成功し、彼女のために口の軽そうな使用人を解雇し、たびたび自宅で会うようになる。
そのうちに、デイジーに、トムを愛したことはなかったと本人の前で言ってほしいと望むようになる。ある夏の暑い日に、トムやジョーダンとともにブキャナン家を訪れ、その後訪れたニューヨークのプラザ・ホテルの一室で、デイジーはトムのことを愛したことはなかったと本人たちの前で宣言し、同じことをトムの前で言うようにデイジーに要求する。しかしその要求の大きさがデイジーを混乱させることとなり、その帰り道に運転をした彼女が、道に飛び出してきたトムの浮気相手マートル・ウィルソンを轢き殺してしまう。事件の証拠となる車を自分の家のガレージに隠した後、デイジーを家に送り届け、トムがこのことでデイジーを虐めないかを見張るため、ブキャナン家の庭に潜んで一夜を明かす。
翌朝、家に帰り、待ちかまえていたニックに、自分とデイジーの過去にあったことを語る。その後、自宅のプールにいるところを、マートルを殺されたと思い込んだジョージ・ウィルソンに射殺される。
死後、自分の父親に家を買っていたことが明らかとなる。
葬儀には、ニック、父親の他には、パーティーに来たことのある一人の男が訪れてきただけだった。

デイジー・ブキャナン
ケンタッキー州ルイヴィルの上流階級の娘。ニックとはまたいとこの関係で、ジョーダンとは娘時代からの友人。聞く者を魅了する声の持ち主。若い頃から派手な社交会生活を送っており、近郊の駐屯地テイラーの将校たちの間では抜群の人気を誇っていた。
その将校たちの中の一人ギャツビーに恋心を抱かれ、彼が自分と同じような社会層の人間であると思い込み、愛し合うようになる。ギャツビーが第一次世界大戦に行くと、別れを告げるためにニューヨークへ向かおうとしているところを母親にとめられる。しかし戦争後も帰ってこないギャツビーに徐々に苛立ちを感じるようになり、彼がオックスフォードにいる時に別れの手紙を書き、再び社交会の世界に戻る。派手な生活を続けながらも、自分の生活を固めてくれるものを待ち続け、地位も容姿も申し分のないトム・ブキャナンとの結婚を決める。
結婚の祝宴の前にギャツビーからの手紙を受け取り、酒を飲み泣きながらトムとの結婚を拒否するが、付き添いのジョーダンと母親に体裁を整えさせられて豪勢な結婚式を挙げ、三ヶ月にわたる南洋方面への新婚旅行に出かける。その後サンタ・バーバラのホテルに住み始め、トムの浮気を経験。その翌年の春に女の子を産み、意味もなく一年間フランスで暮らした後、シカゴを経てイースト・エッグに移り、トムの浮気に傷つきながらも植民地風の豪勢な家での定住生活を続けていた。
一九二二年の夏には、ジョーダンやニックとの交際を再開させる。ニックの家で、自分のことを想い続けていたギャツビーと再会し、忘れていた愛を取り戻し、一人でギャツビー邸を訪れるようになる。
ギャツビー、ニック、ジョーダンを招いた昼食会で、ギャツビーを愛していることをトムに気づかれる。その後訪れたニューヨークのプラザ・ホテルで、ギャツビーの要求通り、彼を愛していることをトムに伝える。しかしその要求の大きさを嘆き、またトムによってギャツビーがアルコールの違法販売に関与していたことを知って混乱し、帰りの車で飛び出してきたトムの浮気相手であるマートル・ウィルソンを轢き殺してしまう。
同乗していたギャツビーにより自宅へと送り届けられた後、家へ帰ってきたトムに説得され、行く先を告げずに旅に出る。そのためギャツビーの葬儀には顔を出さなかった。

トム・ブキャナン
デイジーの夫。ニックの大学時代の友人。押しが強く、横柄な男。裕福な家の出身で、大学時代は有名なフットボールの選手。
ギャツビーと別れたデイジーの前に現れ、その容姿と地位で彼女の虚栄心を満足させ、結婚を果たす。三ヶ月にわたる南洋方面への新婚旅行後、浮気相手のサンタ・バーバラのホテルのメイドと共に乗った馬車が事故を起こし、新聞沙汰となる。
その後デイジーとの間に娘をもうけ、理由もなくフランスで一年暮らし、シカゴを経てイースト・エッグに家を建て、ウェスト・エッグに住み始めたニックとの交際を再開する。
ウェスト・エッグとニューヨークの中間あたりにある「灰の他人」と呼ばれる貧しい地域に住む自動車整備公ジョージ・ウィルソンの妻マートルを愛人にしており、彼女のために買ったアパートの部屋がある。ジョージには車を売る約束をしている。
ある日曜の午後、以前にギャツビー邸を訪れたことのある友人と共に、通りがかりに飲み物を飲ませてもらおうと家に立ち寄ったことでギャツビーを初めて認識する。そこでギャツビーがデイジーを「知っている」と言ったことで、妻が方々を遊び回っていることを苦々しく感じ始める。
デイジーと共に訪れたギャツビー邸でのパーティーで、ギャツビーが何者なのかと訝るようになり調査を始め、彼がマイヤー・ウルムシェイムと組んで、シカゴやニューヨークのドラッグストアを買収し、違法のエチル・アルコールを売っていたことを突き止める。
ニック、ギャツビー、ジョーダンを招いた自宅の昼食会で、デイジーの態度を見て、彼女がギャツビーに恋心を抱いていることに気づく。ニューヨークに行きたいというデイジーの提案により、ギャツビーと車を交換し、ニックとジョーダンをギャツビーの黄色い車に乗せてニューヨークに向かう。途中でガソリンを入れるために寄ったジョージの家で、彼が(相手が自分であることに知らないまま)マートルの不貞に気づいたことを知る。
合流したギャツビーとデイジーと共に入ったプラザ・ホテルの一室で、自分の家庭にどのような騒ぎをもたらそうとしているのかとギャツビーに聞き、いさかいとなる。始めから自分のことを愛していなかったのだとギャツビーの要求通りにデイジーが言うのを聞くが、ギャツビーが違法行為に手を染めていたことを吹き込んでデイジーの動揺を誘い、敢えて二人を部屋から出て行かせる。しかしその結果、動揺したデイジーが道に飛び出してきたマートルを轢き殺してしまう。ニックとジョーダンを乗せてイースト・エッグに帰る途中にその遺体を目撃し、ジョージを慰めながらも涙を流す。家に帰ると、ギャツビーがマートルを轢き殺したのだと思い込んだまま、デイジーを説得し、行く先を告げずに旅に出ようとする。そしてその旅行の準備中に、発狂したジョージがやってきて、妻に死をもたらした黄色い車の持ち主を聞かれたため、ギャツビーであると答え、これが原因となってギャツビーが射殺される。

ジョーダン・ベイカー
ゴルフの選手。スポーツマンを載せたグラビアによく出ている。ほっそりとしていて青白く、虚無を感じさせる魅力ある顔立ちをしている。
ルイヴィルでの娘時代を共に過ごした二歳年上のデイジーに憧れを抱いていた。白いロードスターの中で十八歳のデイジーと一緒にいたギャツビーを見かけたことがあった。デイジーの結婚式では付き添い役を務める。
一九二二年、夏の週末を過ごすことにしていたデイジーの家でニックを紹介され、興味を抱く。
ギャツビーの家で行われるパーティーに招待され、同じ日に招待されていたニックと邸内を歩き回る。そのパーティーでギャツビーに呼ばれ、ニックの家にデイジーを招待し、そこに自分も招いて欲しいという彼の願いを聞き、その願いを叶えてやるようにニックに伝える。
さまざまなごまかしを行わなければ生きてはいけない性格をニックから見破られながらも、彼の正直で率直に見える人間性に対して愛情を感じるようになり、ニューヨークで頻繁に会うようになる。
しかし、トムの愛人マートルがギャツビーの車に轢き殺された事件から、ニックの心に変化が生まれ、距離を置かれるようになる。
東部に行くために別れを告げにきたニックに、他の男と婚約したと嘘をつきながらも、ニックが自分を捨てたことを責める。

ジョージ・B・ウィルソン
ニューヨークとウェスト・エッグの間にある荒廃した土地「灰の谷」の自動車整備工。自分の意見を持たず、妻マートルの言いなりに動くだけの、覇気のない男。トム・ブキャナンがマートルの浮気相手であると気づかないまま、車を売ってもらおうとしている。
マートルが顔に傷をつけて帰ってきたことや、トムに買ってもらった犬の綱を家に持ち帰っていたことで、彼女の不貞に気づく。そのために病気になりながらもマートルを家に監禁し、西部へ行く準備を始めるが、家から飛び出したマートルが、デイジーの運転するギャツビーの車に轢かれて死んでしまう。半狂乱になり、隣人のギリシャ人ミカエリスに明け方まで付き添われるが、その翌日、妻を轢いた車でガソリンを入れにきたトムの家を訪れ、その車の持ち主がギャツビーであると聞き出す。最後までマートルの浮気相手がトムで、彼女のことを殺したのがデイジーだと気づかないまま、ウェスト・エッグに行き、自宅のプールにいたギャツビーを射殺し、そのすぐそばで自殺する。

マートル・ウィルソン
ジョージ・ウィルソンの妻。三十代の、艶かしい肉付きの尊大な態度の女。ウィルソンとの結婚に後悔しながら、十一年間一緒に暮らしている。列車の中で向かい合わせになったトムの誘惑に抗うことができず、その日のうちに愛人関係になった。ニューヨークに、トムが自分のために用意したアパートがある。
トムに買ってもらった犬の綱を家に置いておいたことが原因で、自分の不貞をジョージに知られることとなり監禁される。
ギャツビーの黄色い車でガソリンを入れにきたトムを修理工場の窓から覗き、同乗していたジョーダンを彼の妻だと思い込み、嫉妬に駆られる。その後、夫と争いを起こし、デイジーがギャツビーを乗せて運転していたその黄色い車を見かけてその前に飛び出し、轢き殺される。

マイヤー・ウルムシェイム
獅子鼻の小柄なユダヤ人。ブロードウェイに住む相場師で、ワールド・シリーズの八百長を買収したこともある人物。抜け目がない行動をとるため、逮捕されない。
玉撞き場で出会った、退役したばかりの一文なしのギャツビーがオックスフォードの卒業生だと聞き、在郷軍人会(アメリカン・リージョン)に入会させ、さまざまな共同事業を行う。シカゴの横町のドラッグストアを買収し、禁止されていたエチル・アルコールを売り捌いていた。
ギャツビーの死後、その死に心を痛めながらも、人が殺された時に関わり合いになることはできないという自分の中での決まり事を遵守し、葬儀には来なかった。

ダン・コーディー
金属資源の採掘で巨万の富を手に入れた男。精神的に脆いところをさまざまな女につけ込まれ、エラ・ケイという女新聞記者の愛人により海に送り出され、五年にわたりスペリオル湖を航海していた。五十歳の頃、スペリオル湖の浅瀬で投錨していた時に、十七歳のギャツビーからこの場所が危険だと忠告を受ける。ギャツビーが人並み外れた野心を持っていることを見抜き、自分の船に乗せ、給仕から航海士、そして船長の役目を与え、北米大陸を三周する。しばしば酒で失敗し、これがギャツビーが酒を飲まない原因となる。
ボストンでエラ・ケイが船に乗ってきた直後に死去。ギャツビーがその財産を相続する予定であったが、水面下でさまざまな手続きが踏まれた挙句、その財産はエラ・ケイの手に渡ることとなる。ギャツビーの家に肖像画が飾ってある。

キャサリン
マートルの妹。三十がらみのほっそりとした赤毛の女。カジノで金を巻き上げられたモンテカルロから帰ってきたばかりで、女友達と一緒にホテル暮らしをしている。ギャツビーのパーティーに行ったことがある。マートルがトムの愛人であることを知っており、彼女がジョージと早く別れるべきだと思っている。
マートルの死後、酩酊して現れ気を失うが、彼女がギャツビーとは全く面識がなく、夫とは円満に暮らしていたと証言し、トムとの関係を一切話さなかったことで、事件の真相が明るみに出る妨げとなる。

ミカエリス
コーヒー食堂を開いている若いギリシャ人。ジョージ・ウィルソンの隣人。
デイジーの運転する車に轢き殺されたマートルの検死の際の正証人となり、半狂乱になったジョージに、翌日の朝まで付き添う。

ヘンリー・C・ギャッツ
ギャツビーの父。ノース・ダコタ州の貧しい百姓で、現在は、二年前にギャツビーに建ててもらったミネソタ州の家に住んでいる。
ギャツビーの死を新聞で知り、ウェスト・エッグを訪れ、若き日のギャツビーについてニックに語る。

マッキー・チェスター
トムがマートルのために借りた部屋の下の階に住む、青白い女性的な写真師の男。

チェスター夫人
マッキー・チェスターの妻。金切声で無気力な、整った顔立ちでありながらおぞましい印象を与える女。

スローン
トムと妻を伴って、ギャツビーの家に飲み物を飲ませてもらおうとやってきた男。妻が自分の意に反してギャツビーを自宅で開かれるディナー・パーティーに誘ったため、ギャツビーが準備をしている間に姿を消す。

クリップスプリンガー
ギャツビーの家の客。寄宿人と言われるほど、長期間居座っていたが、ギャツビーの死の知らせを聞いても、翌日に誘われそうになっているピクニックに行くために、葬儀には参加できないという電話をニックによこす。

ふくろうのような眼鏡をかけた男
ギャツビー邸のパーティーで、書斎の本が全て本物であることに感心していた肉付きの良い中年男。そのパーティーの後、クーペを路傍の溝の中にはまり込ませて立ち往生する。
ギャツビーの葬儀に、ニックと父親以外で参加したただ一人の人物で、何人もの人々にパーティーに来てもらいながら、参加者の少ない葬儀を開くことしかできなかったギャツビーに同情する。