ウィリアム・シェイクスピアの四代悲劇の一つ『ハムレット』の登場人物を詳しく紹介するページです。
※ネタバレ内容を含みます。
ハムレット
デンマーク王国の王子。先王であった父親の死と、母親がまもなく現王クローディアスの妻になったことに苦悩する青年として登場する。喪服をつけ続けている。友人のホレイショーらが城内で見たという父親の亡霊に会いに行き、父がクローディアスに殺されたことを知る。
父親の仇を討つことを決心し、狂気を装ってその機会をうかがうが、自分の狂気の原因を突き止めようとした侍従長のポローニアスを誤って殺してしまうと、クローディアスに危険視され、イギリスへと送られる。
航海の途中で、ローゼンクランツとギルデンスターンが持っていた国書を盗み見て、自分がイギリスで殺されようとしていることを知る。その国書を偽造し、ローゼンクランツとギルデンスターンを処刑するようにという内容に差し替えると、その翌日に海賊船に囚われ、デンマークへと送り返される。
自国に戻ると、尚も自分を殺そうとするクローディアスの奸計により、レイアーティーズと剣術の試合を行い、毒を塗られていた剣先に傷つけられる。確実に自分を殺すためにと用意された毒入りの酒を母親が誤って飲んで倒れると、クローディアスがすべての悪だくみを行っていたことをレイアーティーズに聞かされ、クローディアスを刺し殺す。自らの身体に毒が廻ると、後世にこの出来事を語り継ぎ、フォーティンブラスを次期の王にせよという命令をホレイショーに残し、絶命する。
クローディアス
ハムレットの叔父。先王ハムレットの弟。権力と先王の妻ガートルードを手に入れるため、先王が昼寝をしている間に耳から毒液を流し込んで殺し、王座に就く。先王の死から立ち直ろうとしないハムレットに、城内で重臣として働くよう勧めていた。
ハムレットが狂気を装うようになると、ポローニアス、ローゼンクランツ、ギルデンスターンらにその原因を探らせる。
ポローニアスが殺されると、ハムレットを危険視してイギリスへと送り、そのお供をさせたローゼンクランツとギルデンスターンに、ハムレットを殺すようにという指令が書かれたイギリスへの国書を持たせる。
ハムレットが難を逃れてデンマークへと帰ると、ポローニアスの仇を取ろうとするレイアーティーズと協力し、剣の試合でハムレットを殺させようと企む。ハムレットが剣で死なない場合に備え、毒入りの酒を準備するなど用意周到に計画を練っていたが、試合中にそれらの計画の全てをハムレットに知られ、刺し殺される。
ガートルード
ハムレットの母。もともと先王ハムレットの妻であったが、夫が死んでからひと月でクローディアスに誘惑され、妻となった。ポローニアスの勧めで、ハムレットと差し向いで話し、狂気の原因を探ろうとするが、その会話中に取り乱したことが原因で、物陰からその話を聞いていたポローニアスが殺されてしまう。その場で自分の貞節のなさをハムレットに責められ、許しを乞う。
ハムレットとレイアーティーズの剣術の試合を観戦し、汗をかいたハムレットに酒を渡そうとするが、その中にはクローディアスの仕込んだ毒が混ぜられており、知らずにその毒入りの酒を飲み、息絶える。
ポローニアス
クローディアスに忠実に従うデンマークの侍従長。ハムレットの狂気の原因が、娘オフィーリアへの恋心のためであると思い込み、王の命令を受けてこれを探ろうとする。ハムレットとガートルードの話し合いを盗み聞きするために壁掛の後ろに潜んでいたところをクローディアスと間違われ、ハムレットに刺し殺される。
オフィーリア
ポローニアスの娘。もともとハムレットと愛し合っていた。先王の死後ハムレットが狂気の兆候を見せ始めると、父親からその原因を探るように頼まれ、それに忠実に従うが、狂気を装ったハムレットが自分を無下に扱うそぶりをみせると、悲嘆にくれる。
ポローニアスの死によって狂乱状態となり、小川の中に飛び込んで溺死する。
レイアーティーズ
ポローニアスの息子。オフィーリアの兄。パリに住んでいたが、クローディアスの戴冠式のため、デンマークに帰ってきていた。クローディアスから許しをもらい、ハムレットからの寵愛を受けていたオフィーリアに慎みを忘れないようにと諭し、パリへと去る。
ポローニアスの死を知ると、その仇をとるためにデンマークへ戻り、ハムレットに剣術の試合を申し込む。その試合で、毒を仕込んだ先止めのない剣を使用し、ハムレットを殺そうとするが、もみ合いの末に自らの剣で傷を負う。試合前からハムレットのことを許しており、息絶える直前に、クローディアスがハムレットを殺すための計画を張り巡らせていたことを伝える。
ホレイショー
ハムレットの友人。バーナードーとマーセラスから先王の亡霊が現れると聞き、エルシノア城の歩廊へと赴く。亡霊が現れると、その正体を突き止めようとするが、果たすことができず、ハムレットにこれを報告する。
イギリスへの旅路の途中で帰ってきたハムレットを出迎え、その後も付き従う。ハムレットが絶命しようとすると、自分も毒を飲んで後を追おうとするが、後世までこの話を伝えてほしいという遺言に従って生き残り、ポーランド侵攻を終えたフォーティンブラスに事の顛末を伝える。
ギルデンスターン
ハムレットのかつての学友。ハムレットの狂気の原因を探るため、ローゼンクランツと共に王に呼び出された。イギリスに送られることになったハムレットについて行き、自分達を処刑するようにというハムレットが偽造した国書をイギリスに差し出し、彼の地で処刑される。
ローゼンクランツ
ハムレットのかつての学友。ハムレットの狂気の原因を探るため、ゲルデンスターンと王に呼び出された。イギリスに送られることになったハムレットについて行き、自分達を処刑するようにというハムレットが偽造した国書をイギリスに差し出し、彼の地で処刑される。
先王ハムレット
ハムレットの父。二か月前に死去。昼寝の間に毒蛇に噛まれて死んだことになっていたが、実際にはクローディアスによって耳に毒液を流し込まれていた。その後亡霊となってハムレットの前に現れ、自分が殺されたことを伝える。
フォーティンブラス
ノルウェー王国の王子。現ノルウェー王の甥。元王の父親が先王のハムレットに敗れて奪われた領地を取り戻すべく、無法者を集めてデンマークへの攻撃を行おうと目論んでいた。しかしこれが現王に知られることとなり、デンマーク攻めを中止させられ、その代わりに大した利益も上がらないポーランドを攻略することを命じられ、デンマーク領を通過する。
ポーランド侵攻を終えてエルシノア城に寄ると、ハムレットらが死んでいる惨状を目の当たりにする。ホレイショーによって事の次第を聞くと、礼砲を撃って民衆にこれを知らせる。
フランシスコー
エルシノア城の見張りの従臣。冒頭で櫓へ通じる歩廊を見張り、バーナードと交代する。
バーナードー
見張りの従臣。マーセラスとともにハムレットの父の亡霊に二日連続で遭遇し、ホレイショーにこのことを伝える。
マーセラス
見張りの従臣。バーナードーとともにハムレットの父の亡霊に二日連続で遭遇し、ホレイショーにこのことを伝える。
コーニーリアス
ノルウェーへの使節。クローディアスの命で、デンマーク領を取り戻そうとしているフォーティンブラスを抑えるようにという手紙を、その叔父にあたるノルウェーの王に届ける。
ヴォールティマンド
ノルウェーへの使節。クローディアスの命で、デンマークに奪われた領地を取り戻そうとするフォーティンブラスを抑えるようにという手紙を、その叔父にあたるノルウェーの王に届ける。
レナルドー
ポローニアスがレイアーティーズのパリでの行状を探らせるために送り込んだ家臣。
オズリック
廷臣。レイアーティーズからの試合の申し込みをハムレットに伝え、その試合の審判を務める。