フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』の主な登場人物、あらすじ、感想

 『罪と罰』は、ドストエフスキー(1821年〜1881年)が賭博でこしらえた借金に苦しみながら書き上げられ、1866年に発表されました。『未成年』、『悪霊』、『白痴』、『カラマーゾフの兄弟』と共に、後期の五大長編の一つに数えあげられ、その五大長編の中でも、『カラマーゾフの兄弟』と双璧を成す知名度の高さを誇る作品です。
 人類を前進に導くためには、その第一歩となる悪行は許されるという思想を持つ主人公ラスコーリニコフが、強欲な金貸しの老婆アリョーナ・イワーノヴナを殺し、善行のために奪った金を使おうとするも、偶然居合わせた老婆の妹であるリザヴェータも殺してしまい、苦悩する物語です。思想と思想のぶつかり合い、登場人物の思惑や打算、男女間の愛、宗教の意義といった様々な要素が描かれる上に、ラスコーリニコフが犯人として徐々に追い詰められていく推理小説の要素が加わった、読み応えのある作品となっています。
 五大長編のなかでは文量も少なく、比較的読みやすい作品なので、ドストエフスキーの入門書としておススメです。とは言っても、ロシアが世界に誇る文豪ドストエフスキーの長編だけあり、入門書といえども難解です。ドストエフスキーは、生活のために書かなければならなかった作家です。そのため、十分な推敲を経ずに発表された作品が多く、この『罪と罰』においても、この先重要になりそうな登場人物がその場限りで登場しなくなったり、脱線とも思われる箇所が散見されます。その上、ロシア人の名前が長くて覚えづらい上に、一人の人物に三つも四つも違う呼び名があったりと、メモをとりながら読まないと、この長大な作品の全容を把握するのは困難です。しかし、一度登場人物の相関関係をしっかりと把握してしまえば、各々の思惑を抱えた登場人物たちの心理戦に魅了され、主人公ラスコーリニコフが辿る軌跡に胸を打たれます。心して読めば読むほどに楽しめる作品だと思います。

※ネタバレ内容を含みます。

『罪と罰』の登場人物

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ロジオン・ロマーノヴィチ・ラスコーリニコフ
学費を払えず、貧乏な生活を送る元大学生。選ばれた人間はあらゆることが許されるという思想を持ち、強欲な金貸しの老婆アリョーナ・イワーノヴナを斧で殺す。

アリョーナ・イワーノヴナ
六十歳前後の未亡人で、強欲な金貸しの老婆。

ドゥーニャ(アヴドーチャ・ロマーノヴナ)
ラスコーリニコフの妹。家庭教師に入っていた家の主人であったスヴィドリガイロフから好意を持たれていた。ラスコーリニコフの生活を立て直すため、ルージンとの望まない結婚を承諾する。

プリヘーリヤ・ラスコーリニコフ・アレクサンドロヴナ
ラスコーリニコフとドゥーニャの母。ラスコーリニコフの生活費や学費の足しにするために、ドゥーニャと金持ちのルージンを結婚させようとしている。

マルメラードフ(セミョーン・ザハールイチ)
酒飲みの五十歳前後の九等官。ソーニャの父親で、カテリーナ・イワーノヴナの夫。妻のものを売り払って酒代に変えている。

カテリーナ・イワーノヴナ
マルメラードフの妻。由緒ある家柄出身であったが、マルメラードフと結婚して落ちぶれる。肺病を病みながら貧乏生活に耐え、三人の子供を養っている。

ソーニャ(ソーフィヤ・セミョーノブナ・マルメラードワ)
マルメラードフの先妻の子。十七、八歳の青い目の女。リザヴェータの友人。売春宿で働きながら、カテリーナ・イワーノヴナに送金し、家族を養っている。

リザヴェータ・イワーノヴナ
アリョーナ・イワーノヴナの義理の妹。姉のいいなりになって昼も夜も働いている。

ナスターシャ・ペトローワ
ラスコーリニコフの家の料理女をかねた女中。

ルージン(ピョートル・ペトローヴィチ)
七等文官。遠縁のマルファ・ペトローヴナによって引き合わされたドゥーニャに結婚を申し込んでいる。

ラズミーヒン(ドミートリイ・ブロコーフィチ)
お人好しなラスコーリニコフの大学の友人。容疑をかけられるラスコーリニコフの潔白を信じ続ける。

アンドレイ・セミョーヌイチ・レベジャートニコフ
役人。かつて田舎で世話になっていたルージンと一時同居していた。カテリーナ・イワーノヴナと同じ建物に住み、ソーニャに好意を寄せている。

アレクサンドル・グリゴーリエヴィチ・ザミョートフ
二十二、三歳の警察署の事務官。

ゾシーモフ
二十七、八歳の医者。アリョーナ・イワーノヴナ殺害後、衰弱したラスコーリニコフを診る。

ポルフィーリイ・ペトローヴィチ
アリョーナ・イワーノヴナ殺しの事件を担当した予審判事。

スヴィドリガイロフ(アルカージイ・イワーノヴィチ)
貴族の元軍人。マルファ・ペトローヴナの夫。放蕩を繰り返し、いかさま師を行っていた過去ももつ。家庭教師に雇ったドゥーニャに偏執的な愛情を抱く。

マルファ・ペトローヴナ
スヴィドリガイロフの妻。八年前、借金のために監獄に入っていた時にスヴィドリガイロフを身請けして結婚する。

ミコライ・デメンチェフ
アリョーナ・イワーノヴナの建物の二階で作業をしていたペンキ屋。アリョーナ・イワーノヴナ殺害の容疑をかけられ、勾留する。

『罪と罰』のあらすじ

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 貧困のためにペテルブルクの大学を除籍されていた美青年ラスコーリニコフは、一部の非凡な人間が人類全体の進歩のために犯罪を行うことが許されるという思想の持ち主でした。彼は、自分がその非凡な人間のひとりであるという考えから、金貸しの強欲な老婆アリョーナ・イワーノヴナを殺害し、奪った金品を社会に役立てようという計画を立てました。殺人の下見を行った彼は、その計画の恐ろしさに震え上がりますが、自分の学費を捻出するために妹のドゥーニャが金持ちの男ルージンとの望まない結婚しようとしていることを知ると、その結婚を阻止するための資金を得るために凶行に手を染め、老婆の金品を奪いました。しかしその直後、アリョーナ・イワーノヴナの妹であるリザヴェータに現場を目撃され、彼女のことも殺してしまいました。自分の行った犯行を恐れたラスコーリニコフは、証拠を隠すために、建築資材で囲まれた場所にある大きな石の下に奪った品を捨てました。

 熱病に冒されたラスコーリニコフは、数日間を寝て過ごしました。眼が覚めると母親からの送金があり、友人のラズミーヒンが自分を世話していました。また妹の婚約者ルージンが訪れて来ると、彼を侮辱して怒らせました。

 飲み屋で出会った無職の男マルメラードフが馬に轢かれているを見つけたラスコーリニコフは、彼を家に運び、その妻である肺病持ちのカテリーナ・イワーノヴナと、娘であるソーニャと共にマルメラードフの最期を看取りました。マルメラードフが稼ぎがなく酒を飲んでいたため、ソーニャは生活のために売春宿で働いていました。その生活を知ったラスコーリニコフは、母親から送金された金を全て彼女たちにやりました。

 母と妹と、ルージンとの会合に居合わせたラスコーリニコフは、ルージンが自分たちが金銭的に無力であることを利用して、支配しようとしていることを見破って非難し、母と妹を自分の味方につけて、結婚を破談にすることに成功します。しかしその直後に、二度と会えないかもしれないと母妹に告げ、その場を去っていきます。

 ラスコーリニコフはソーニャの家に行きました。ソーニャは貧困の中、売春宿に通うことで何とか肺病の義母カテリーナ・イワーノヴナや三人の幼い兄弟を養っていました。彼女は逃れられない絶望的な状況を理解していましたが、神に祈りながら生活することで、自殺にも淫蕩にも陥らずに自分を保っていました。彼女が聖書を読むのを聞いたラスコーリニコフは、母と娘を捨ててきたことを伝え、これから自分と同じ道を歩いて辿ってほしいとソーニャに頼みました。

 ラスコーリニコフは、殺人の下見の時にアリョーナ・イワーノヴナに預けた品を取り戻したいという口実を作り、ラズミーヒンの知り合いで、事件を担当しているポルフィーリイに紹介されます。ラスコーリニコフが一度警察署に別の用事で出頭した時に、事件の話を聞いて気を失ったことから、ポルフィーリイは明らかにラスコーリニコフに嫌疑をかけていました。ラスコーリニコフが犯行の落とした品を拾ったペンキ職人ミコライが嫌疑をかけられ、自分でも殺人を犯したと思い込んで自首し、捜査を混乱させましたが、三度にわたるラスコーリニコフとの議論の結果、ポルフィーリイはラスコリーリニコフが犯人であるという確証に至り、自首を勧めます。

 マルメラードフの葬儀には、同じ建物に住んでいたルージンも招待されていました。彼はマルメラードフの娘であるソーニャとラスコーリニコフが近しい関係にあるのを知り、ラスコーリニコフに復讐するために、大金をソーニャのポケットにこっそり忍ばせ、彼女を泥棒に仕立て上げるという悪だくみを行います。ルージンの同居人のレベジャードニコフがこの悪だくみを暴露したため、ソーニャは難を逃れましたが、このことが原因となり、カテリーナ・イワーノヴナは発狂してしまいます。

 ラスコーリニコフは、ソーニャの家に行き、彼女が監獄に入れられていたかもしれないと語り、いつでも人に陥れられかねない彼女の生活を打破するために、自分と同じ道を歩むように言いました。さらに彼は自分がアリョーナ・イワーノヴナとリザヴェータを殺した犯人であると明かしました。ソーニャはそれに衝撃を受けましたが、自分で自分を苦しめることをしているラスコーリニコフを固く抱きしめ、どこまでもついて行くと言いました。

 ラスコーリニコフはこれから自分がどうすればいいのかを聞きました。ソーニャは今すぐ十字架の前に跪いて、自分がやったとことを告白すべきだと言いました。ソーニャは自分の十字架を渡し、一緒に苦しもうとしましたが、ラスコーリニコフは自首するつもりもなく、十字架を受け取ることもしませんでした。カテリーナ・イワーノヴナは、発狂の末、息を引き取りました。

 両親に死なれ、一人で三人の幼い弟たちの面倒を見なければならなくなり、窮地に立たされたソーニャでしたが、スヴィドリガイロフという男が名乗りをあげ、三人の子供を孤児院に入れ、ソーニャを貧困から引き上げると言いました。スヴィドリガイロフは、ドゥーニャを家庭教師として雇っていた人物でした。彼は以前からドゥーニャに歪んだ愛情を持ち、妻の死後にペテルブルクを訪れ、ルージンとドゥーニャの結婚を阻止しようと企んでいました。彼はソーニャの部屋の隣に間借りしていて、ラスコーリニコフが自分の罪を打ち明けたのを盗み聞いていました。それ以来、彼は、ラスコーリニコフに興味を持ち、ソーニャを貧困から引き上げる提案をしてきましたが、それは善意からではありませんでした。

 スヴィドリガイロフは、ラスコーリニコフの秘密を話すという手紙を出して、ドゥーニャを家に呼びました。彼はラスコーリニコフがアリョーナ・イワーノヴナ殺しの犯人であることを明かし、彼を助ける代わりに、ドゥーニャに自分のものになってほしいと頼みます。もともとスヴィドリガイロフを嫌悪していたドゥーニャは恐れ、隠し持っていた拳銃でスヴィドリガイロフを撃ちました。弾はそれましたが、自分のことを愛してくれないとわかったスヴィドリガイロフは、ドゥーニャを解放し、残された拳銃を持ち出して外出し、ソーニャと自分の婚約者に金を渡して自殺しました。

 やがて自分の小心な卑劣と無能さを理解したラスコーリニコフは、恥辱を受けるために自首をすることを決めました。彼は、母、ドゥーニャ、ソーニャに別れを告げて警察署に向かって歩いていると、不意にソーニャの「十字路に行って、皆にお辞儀をして、大地に接吻し、世間の人々に私は人殺しですと言いなさい」という言葉を思い出し、その言葉に自分の肉体と意識を捉えられて、涙を流しながら地面に倒れました。彼は幸福感に満ち溢れ、汚れた地面に接吻しました。

 ラスコーリニコフは自供を行い、シベリアに八年の刑を言い渡されました。プリヘーリヤ・アレクサンドロヴナは、息子が殺人を犯したことを知らされないまま不安を抱え、病気になって息を引き取りました。ドゥーニャとラズミーヒンは結婚し、資金を貯めて、自分たちもシベリアに行くことを誓いました。ソーニャは、スヴィドリガイロフが残した金で囚人の護送班についてシベリアへ行き、町にいる人々に助けられて仕立ての仕事で生計を立てました。

 ラスコーリニコフは長い間自分の罪に悔恨を認めませんでした。堪えることができずに自首してしまったことこそが自分の罪だと思った彼は、自分が判決に身を屈しなければならないということに自尊心をくじかれたのが原因で病気にかかりました。そのうちに時たま訪れて来るソーニャが病気になり、ひどく心配しました。

 ある温かい日の早朝、ソーニャがラスコーリニコフの作業場を訪れ、手を差し出しました。いつも手を差し出されても嫌々握り返していたラスコーリニコフでしたが、この日はその手を解かず、泣きながら彼女の膝を抱きしめました。ソーニャは驚きましたが、彼が自分を限りなく愛していることを悟り、はかりしれない幸福に包まれました。ラスコーリニコフは真の悔恨に目覚め、罪を償うことを決心したのでした。

管理人の感想

 『罪と罰』の舞台であるペテルブルクの街は、このように描写されます。

そこには一軒の大きな建物があって、ぜんたいが居酒屋やその他いろいろな飲食店になっていた。それらの店からは、頭に何もかぶらないで普段着のままという、《近所歩き》のような服装の女たちが、たえずとびだしてきた。そうした女たちが歩道のそちこち、といってもたいていは地下室への下り口のあたりにかたまって、ぺちゃくちゃしゃべっていた。その下は、階段を二段も下りると、さまざまなおもしろい娯楽場になっていた。そうした地下室のひとつから、ちょうどそのときテーブルを叩く音やわあわあ騒ぐ声が通り中にあふれ、ギターが鳴り、歌声が聞えて、たいへんなにぎやかさだった。その入り口に女たちはわんさかとたかり、階段に腰かけたり、歩道にしゃがんだり、あるいは立ったりして、がやがや話しあっていた。そのそばの舗道では、酔っ払った兵隊が一人、くわえ煙草で、大声でわめきちらしながらふらふらしていた。どうやらどの店かへ入ろうとして、その場所を忘れてしまったらしい。一人のぼろを着た男がもう一人のぼろを着た男とののしりあっていた。またそのそばでは泥酔した男が通りの真ん中に死んだようになってひっくり返っていた。

『罪と罰(上)』新潮文庫 工藤精一郎訳

 あらゆる種類の人間が、各々の欲望と思惑を抱えて交差する、首都の猥雑な雰囲気が魅力的に描かれています。

 ドストエフスキーの作品の登場人物もまた、このペテルブルクの街のように、非常に複雑で、様々な欲望と思惑を抱えた者が多く書かれます。

 この『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフも例外ではありません。彼は人類を前進に導くためには、その第一歩となる悪行は許されるという考えを持ち、殺人を犯します。この思想は非常に独善的なものであり、彼の性格の冷酷な一面を示しています。

 そのような一面を持つ反面、彼は母と妹のことを心から愛し、マルメラードフ死去の際には、なけなしの金をカテリーナ・イワーノヴナの一家に与えてやります。学生の頃には、肺病の友人とその老父を援助し、火事の中から二人の子供を救い出したこともあったようです。さらに不器量で病身の娘と婚約したことに関しても、もしその娘に障がいがあれば、もっと深く愛しただろうと語ります。つまり、究極の優しさと究極の冷酷さを持ち合わせた人物として、ラスコーリニコフは書かれているのです。

 また、彼の行動に関しても、その意図が不可解なものが多く書かれます。

 第一部の4では、ラスコーリニコフは十五か十六ぐらいのぼろぼろの服を着て酔っ払った少女と、その少女を明らかな下心を持って追っている紳士を見つけます。ラスコーリニコフはその紳士に腹を立て、近くにいた巡査に少女を助けるように頼みます。しかしその直後に、ラスコーリニコフはその下心のある紳士に少女を任せて、放っておくように巡査に言いだします。

 このような不可解な行動を取っている時のラスコーリニコフの心理描写はあまり深くは書かれておらず、「どうして彼はこのような行動をとったのだろう」と考え込んでしまいます。それは、「自分でも何故かはわからない心情の変化によって、不意に不可解な行動をとった」といった印象を与えます。

 相反する性格を併せ持ち、意図のわからない行動をとるラスコーリニコフの人物像をしっかりと把握するのは非常に難関です。しかし、ドストエフスキーの作品を読んでいると、「それがどうした、それこそが人間なのだ」というメッセージが聞こえてくるような気分にさせられます。

 世の中には、一面的な人間などはおらず、多面的な要素が重なり合って一人の人間の傾向を作り上げます。そしてその多面的な要素を持った人間は、過去に経験した膨大な記憶の中から必要なものを取り出し、物事を無意識に判断して行動します。

 かなり意識的に様々な行動をとっているようにも見えるラスコーリニコフですが、時々見せる不意の行動こそが、あるがままのラスコーリニコフであると言えるでしょう。そしてラスコーリニコフがその「不意」に動かされ、予想もつかない行動をとるからこそ、この小説は面白いのだと思います。

 ラスコーリニコフの「不意」の行動の中でも特筆すべきものはラストの場面でしょう。

 シベリアに送られたラスコーリニコフは、ソーニャから手を差し出されても、嫌そうにその手を取るか、手を出さないかのどちらかでした。ところがある温かい日の朝、彼はソーニャから差し出された手を離さず、泣きながら彼女の膝を抱きしめました。これが彼の更生のきっかけとなるわけですが、この行動もラスコーリニコフにとっては「不意」だったのではないでしょうか。罪のない人間を二人も殺し、マルメラードフやカテリーナ・イワーノヴナの死を経験し、ルージンやポルフィーリイと舌戦を繰り広げ、自首してシベリアへと送られるという壮絶な経験をしてきたラスコーリニコフが、ソーニャから手を差し伸べられただけで、まるで張り詰めていた糸が切れるように見せる感情の奔流は、意識された行動であるとは思えません。自分の行動を意識的に統率してきたラスコーリニコフが、ソーニャからの愛によって初めて真の悔恨に目覚め、感情のコントロールを失って見せる涙は、それが「不意に」流されたものだったからこそ、非常に感動的なのだと思います。