エミリー・ブロンテ『嵐が丘』の詳しい登場人物紹介

エミリー・ブロンテ作『嵐が丘』の登場人物を詳しく紹介するページです。

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※ネタバレ内容を含みます。

※このサイトでは、母親のキャサリン・アーンショウをキャサリン、娘のキャサリン・リントンをキャシーと表記しています。

ヒースクリフ
生れは不明。孤児であった幼い頃にリバプールで飢え死にしそうになっていたところを、先代のアーンショウに保護されて嵐が丘に連れ帰られ、ヒースクリフという洗礼名を与えられる。嵐が丘の娘であるキャサリンとはすぐに仲良くなったものの、アーンショウに贔屓されたため、ヒンドリーからは虐められて過ごす。
先代のアーンショウが死に、寄宿学校に通っていたヒンドリーが家に帰ると、召使の地位にまで落とされ、外で野良仕事をするように命じられる。しばらくはキャサリンとともに荒野を駆け回る生活を送っていたものの、隣の領地スラッシュクロスに住むリントン家とキャサリンが交際を始めると、リントン家の息子エドガーに嫉妬し、土や泥にまみれる生活を恥じるようになる。
キャサリンがエドガーの求婚を受け入れたことを知ると姿を消し、その三年後に多額の財産を得て再びキャサリンの前に現れ、落ちぶれたヒンドリーに頼まれ、気前の良い家賃を払いながら嵐が丘に住みつくようになる。
そのうちに当たり前のようにスラッシュクロスに居座るようになり、イザベラが自分に熱を上げ始めると、エドガーの遺産相続人としての権利を横取りするため、またキャサリンにされたことの復讐を果たすために、イザベラを口説いて駆け落ちする。
結婚後、嵐が丘へと戻るが、イザベラを愛すことはなく、寝室もない生活を送らせる。ヒンドリーとは立場を逆転させ、暴力で支配するようになる。
自分の処置をめぐって夫と争いになったキャサリンが病気になったことを知ると、出入りを禁じられていたスラッシュクロスに無理矢理上がり込み、助かる見込みのないキャサリンを責めながら、抱擁を交わしてむせび泣く。その翌日にキャサリンが息を引き取ると、葬儀に忍び込んで、自分の髪の毛とキャサリンの髪の毛を交換して去っていく。その後イザベラが去り、ヒンドリーが死んだため、しばらくはジョウゼフとともにヘアトンを養育しながら過ごす。
イザベラの死によって息子のリントンがスラッシュクロスにやってきたことを知ると、父親の権利を乱用してリントンを奪い、将来息子に与えられるスラッシュクロスの所有権を狙う。始めのうちはリントンを丁重に扱っていたものの、次第にイザベラの面影の残るリントンを憎み、虐待するようになる。エドガーに復讐を果たすため、その娘であるキャシーと息子のリントンを結婚させようと企み、ついにはキャサリンを監禁し、リントンとの結婚を無理矢理承諾させる。
元から体が弱かったリントンが死ぬと、キャサリン・リントンといがみ合いながら生活し、スラッシュクロスを貸しに出し、そこにロックウッドが住み着くこととなる。
スラッシュクロスと嵐が丘両方の土地を手に入れることを成し遂げた途端、それらを破壊する気力がなくなり、双方の家の末裔であるヘアトンとキャシーが恋仲になってもこれを引き離す気力が起きず、かえって二人から引き起こされるキャサリンの幻影に悩まされることとなる。
その後、実際にキャサリンの幽霊を見るようになり、何も口にせず、眠ることもなく過ごすようになり、窓から吹き込む大雨に打たれながら、歓喜の表情で死んでいるところを発見される。
遺体は生前の望み通り、教会墓地のキャサリン・アーンショウの墓の隣に葬られる。

キャサリン・アーンショウ
嵐が丘に代々続くのアーンショウ家の娘。幼い頃から悪戯が過ぎ、父親のアーンショウは手を焼いていた。
綺麗な瞳を持つ、教区で一番の可愛らしい娘に成長する。拾われてきたヒースクリフとはすぐに仲良くなり、毎日のように二人で荒野を駆けまわって過ごす。父親の死をきっかけに兄のヒンドリーが帰郷し、ヒースクリフが召使の地位に落とされると、一緒に畑仕事を行い、習った勉強を教える。
ヒースクリフとともにスラッシュクロスの屋敷を覗きに行った時に犬に怪我を負わされたため、そのまま五週間をスラッシュクロスで過ごし、エドガーやイザベルと懇意になる。
ヒースクリフのことを愛していたが、身分違いの結婚をして物乞いになることはできないと判断し、その愛を告げることなしにエドガーと結婚することを決意する。エドガーと結婚してもヒースクリフと別れるつもりはなく、後ろ盾となるつもりであった。しかし、その結婚の話を聞いたヒースクリフが姿を消すと錯乱状態となり、一時重体となる。エレンの看病によって徐々に回復すると、その三年後にエドガーと結婚してスラッシュクロスに移り、嫌がるエレンを無理矢理自分の元へ連れて行く。
結婚後しばらくは大人しく過ごしていたが、ヒースクリフが三年ぶりに現れると歓喜し、自分とヒースクリフがお互いの家を行き来することをエドガーに許可させる。しかしヒースクリフがイザベラをたぶらかしていることを知ったエドガーが、自分かヒースクリフのどちらかを選ぶようにと要求すると、怒り狂って気絶し、目が覚めるとすぐに部屋を飛び出して寝室に閉じこもる。
そのまま三日間を飲まず食わずで過ごして衰弱し、脳炎を患い、次第に譫言のようなものを言うようになる。エドガーの看病によって一命をとりとめるも、自分の病気のことを知ったヒースクリフが屋敷へと忍び込んでくると、お互いのことを責め合いながらも涙に掻き暮れ、固い抱擁を交わす。その抱擁の間に気絶し、その夜、娘のキャシーを産み落として命を落とす。

エドガー・リントン
嵐が丘の隣の領地であるスラッシュクロスのリントン家の息子。父親は治安判事。キャサリンとヒースクリフが自宅を覗きに来て捕まったことで、アーンショウ家との交際を始める。
キャサリンに惹かれ、ヒンドリーの生活が荒んで誰も訪れなくなった嵐が丘に通い続ける。キャサリンの心を掴むことはできなかったものの、ハンサムで財産があったため、プロポーズに成功して結婚し、エレンをスラッシュクロスに雇う。
結婚後はキャサリンに気を使い、エレンにもキャサリンに対する生意気な態度を改めるようにと注意する。
かつての恋敵であるヒースクリフが三年ぶりに嵐が丘に戻ると不機嫌になり、キャサリンとひと悶着を起こすが、結局ヒースクリフとキャサリンの家の往復を許すこととなる。しかしイザベラがヒースクリフに熱を上げ始めると、ヒースクリフの所へ行くか、自分と別れるかのどちらかを選ぶようにキャサリンに詰め寄る。これが原因でキャサリンが病気になると、献身的な看護を行って一命をとりとめるが、その後ヒースクリフの無理な訪問によって衝撃を受けたキャサリンを失うこととなり、悲嘆にくれる。キャサリンの死後は、一人娘のキャシーを溺愛して過ごす。
長らくヒースクリフと駆け落ちしたイザベラのことを妹として見ることはないと宣言していたが、一人きりで息子のリントンを育てていたイザベラが死に瀕しているという連絡を受けると、三週間家を空けてロンドン近郊に赴き、イザベラの死を看取り、その息子のリントンを連れ帰る。しかし、実の父親であるヒースクリフがリントンを手渡すようにという要求をしてきたため、しかたなくその要求を呑む。
その後体調を崩し、キャシーがリントンに近づくことに憂慮していたが、二人が愛し合っていることを知り、また二人を結婚させるしか自分の相続をキャシーに継がせる方法がなかったため、エレンの同行つきで二人が会うことを許可する。
スラッシュクロスの財産を狙い、リントンが死ぬ前に二人の結婚を急がせようとするヒースクリフにキャシーが監禁されると、心配のあまり死にかける。キャシーがヒースクリフからの監禁を逃れて帰ってくると、その美しい姿を見つめながら、幸せな臨終を迎える。

イザベラ・リントン
リントン家の娘。エドガーの妹。十一歳の頃から、兄のエドガーとともにアーンショウ家との交際を始め、一歳年上のキャサリンに憧れを抱く。
兄とキャサリンの結婚後、三年ぶりに嵐が丘に戻ってきたヒースクリフに熱を上げ始める。スラッシュクロスの財産を狙っていたヒースクリフに、この恋愛感情を利用されて駆け落ちし、エドガーから兄妹の縁を断ち切られる。
その後嵐が丘へと入ることとなるが、ジョウゼフやヘアトンからぞんざいな扱いを受けて孤独を深める。ヒースクリフからは愛されることはなく、寝室に入ることを許されないばかりか、エドガーへの恨みを晴らすまでは苦しませてやると宣言され、結婚を悔やむようになる。
キャサリンの死後、ヒンドリーとともにヒースクリフを家から閉め出し、ひと悶着が起きたことをきっかけに嵐が丘を去り、ロンドン近郊に住み始めてリントンを産み、エドガーとの手紙のやり取りを行うようになる。
息子のリントンが十二歳になると自分の死を予期するようになり、息子を引き取ってもらうためにエドガーとの再会を果たし、その後死去する。

ヒンドリー・アーンショウ
アーンショウ家の息子。キャサリンの兄。エレンの母を乳母とし、幼い頃は常日頃からエレンと一緒に遊んでいた。拾われてきたヒースクリフが父親の愛情を奪うと、目の敵にして虐めるようになる。
父親によって寄宿制のカレッジに入れられ、その間に身分の低い女フランセスと結婚する。
父親の葬儀を機に嵐が丘へと帰ってくると、ヒースクリフを召使の身分へと落とし、外で野良仕事をするように命じる。
フランセスが死ぬと、泥酔して過ごすことが多くなり、息子のヘアトンを溺愛しながらも、酒の勢いで虐待のような扱いをする。
キャサリンとエドガーが結婚すると、女を家に置きたくないと言ってエレンを追い出し、自分の土地を担保にお金を借り、飲んだくれてカード賭博をして落ちぶれる。三年ぶりに姿を現したヒースクリフが莫大な財産を持つようになったことを知ると、借金の返済に充てるために嵐が丘に住まわせて家賃をとる。しかし、ヒースクリフとの立場が逆転し、ことあるごとに暴力を振るわれるようになり、ますます落ちぶれる。
キャサリンの死の際も、酒に溺れて落ち込んでいたため葬儀に来ることはできず、積年の恨みを晴らそうとしてヒースクリフを殺そうとして返り討ちに会い、自分のナイフが刺さって気絶する。
キャサリンの死から半年も経たず、莫大な借金を残して死ぬ。

フランセス
ヒンドリーが寄宿制のカレッジにいる間に結婚した妻。おそらく名家でもなく財産もない家庭で育ったため、嵐が丘に着くと、屋敷にあるものを見て舞い上がり、エレンからは頭の弱い娘なのではないかと思われる。
スラッシュクロスで怪我をしたキャサリンが一時的にスラッシュクロスに住み始めると、そこへ通って教育を行い、立派な令嬢に仕立て上げる。
ヒンドリーとの間にヘアトンを産むが、そのお産のために体が弱り、間もなく死去する。

キャサリン・リントン(キャシー)
キャサリンとエドガーの娘。キャサリンが自分の命と引き換えに月足らずで産み落とし、エレンが母親代わりとなった。小生意気だが優しい心根を持ち、美しい娘に成長する。スラッシュクロスから眺められる荒野の頂にあるペニストン岩に興味を抱き、十三歳の頃に父親が家を空けると、一人で荒野の頂を目指し、その途中にある嵐が丘に保護される。この時に初めて出会った従兄のヘアトン・アーンショウが粗野な男であったために衝撃を受ける。
もう一人の従弟であるリントンを父親が連れ帰ったことには喜ぶが、ヒースクリフによってすぐに嵐が丘に連れ去られてしまったため、悲しみ嘆く。
十六歳の頃、エレンとともにライチョウの巣を見に嵐が丘の領地に入ったところをヒースクリフに捕らえられ、そのまま屋敷へと案内され、リントンと久々の再会を果たす。それ以来、エドガーに隠れてリントンと文通を行うようになり、やがて恋心を抱くようになる。エレンに咎められて一時そのやりとりを控えるも、財産目当てに自分とリントンとの結婚を企むヒースクリフにそそのかされ、リントンと会うようになる。
気難しく性格の歪んだリントンと衝突を繰り返しながら、父親やエレンに隠れて夜な夜な会い続け、それが露呈すると、将来リントンのものになる予定の遺産を自分にも継がせたい父親の意向も手伝い、リントンと週一度だけ会うことを許可される。
リントンの死期が近づくと、その弱々しさに嫌気を感じ出すが、自分たちの結婚を焦るヒースクリフによって監禁され、無理矢理リントンとの結婚を承諾させられる。その監禁から逃れ、心配のあまり容態を悪化させた父親の死を見届けると、ヒースクリフによって嵐が丘に連れ去られる。
嵐が丘では、リントンのために医者を呼んでほしいと懇願するが、ヒースクリフがその願いを聞き入れなかったため、若くして未亡人となり、ヒースクリフといがみ合いながら孤独な生活を送る。
エレンがスラッシュクロスから呼ばれると再会を喜ぶが、すぐに退屈な暮らしにうんざりし、ヘアトンをからかってその退屈を埋め合わせる。始めは文字も読めない粗野な性格のヘアトンを軽蔑していたが、正しい読み方を教えるうちに和解し、やがて愛し合うようになる。
ヒースクリフが死去すると、ヘアトンとの結婚を決め、婚礼が整い次第、エレンを連れてスラッシュクロスに移り住む予定となっている。

ヘアトン・アーンショウ
ヒンドリーとフランセスの子。産まれてすぐに母親が死んだため、エレンに育てられる。ヒンドリーからは溺愛されながらも、虐待のような扱いを受けていた。
五歳の頃、キャサリンの結婚とともにスラッシュクロスに移ったエレンと別れると、ヒンドリーとジョウゼフに育てられ、汚い言葉遣いをするようになる。三年ぶりに帰ってきたヒースクリフが嵐が丘に住み着くと、ヒンドリーの暴力から自分を守ってくれるヒースクリフを慕うようになる。ヒンドリーの死後もヒースクリフからの暴力を受けることはなかったため、伸び伸びと育つが、上品ぶったものはくだらなくて弱いものだから軽蔑せよという教育を受けたため、文字すら読めない粗野な男となる。
十八歳の頃、荒野の頂を目指して嵐が丘の付近を彷徨っていたキャシーに初めて会い、保護する。その後、自分の無教養を嘲笑うキャシーに屈辱と怒りを感じながらも恋心を抱くようになり、恋敵のリントンへの嫉妬で苦しむ。
リントンが死ぬと、キャシーと同じ教養を手に入れようとして本を読み始める。始めはぎこちない読み方を馬鹿にされて意固地になっていたが、やがて自分に興味を持つようになったキャシーに心を許し、愛し合うようになる。
ヒースクリフの死には、ただ一人悲しみ、躯に口づけをする。
キャシーとの婚礼が整い次第、エレンを連れてスラッシュクロスに移り住む予定となっている。

リントン・ヒースクリフ
ヒースクリフとフランセスの子。ヒースクリフの元を去ったフランセスにより、自分に父親がいることを知らされないまま、女手一つで十三歳まで育て上げられる。フランセスの死後、一度はエドガーの手に渡り、スラッシュクロスへとやってくるが、父親の権利を乱用したヒースクリフによって、無理やり嵐が丘へと連れ去られる。
将来スラッシュクロスの所有権を相続する予定であったため、始めはヒースクリフに丁重に扱われていたが、弱々しい態度や、イザベラの面影を残していることがヒースクリフの癪に障り、徐々に虐待されるようになっていく。
十五歳の頃、キャシーと久々の再会を果たすと、文通をする仲となり、徐々に恋愛感情を抱くようになる。自分とキャシーの結婚により、スラッシュクロスの所有権も手に入れようと企むヒースクリフに脅迫に近い忠告をもらいながら、キャシーとの距離を近づけていた。
従来から弱い質であった上に、嵐が丘の劣悪な環境により死期が近づいており、娘の身を案じるエドガーによってキャシーが嵐が丘に来ることを禁じられると、自分が死ぬ前に二人を結婚させようと焦るヒースクリフに脅されて、キャシーを嵐が丘に監禁する手助けをしてしまう。
監禁されたキャシーを逃がしてやったことで、ヒースクリフにより酷い仕打ちを受けて発狂したようになり、キャシーとの結婚生活が始まっても医者を呼ぶことが許されず、衰弱して死去する。ヒースクリフに脅されて書いたと思われる、自分とキャシーの動産をすべてヒースクリフに譲るという遺書を遺す。

ミスター・アーンショウ
嵐が丘の先代の主人。ヒンドリーとキャサリンの父親。旅先のリバプールで飢え死にしそうな子供を見つけて保護し、ヒースクリフという洗礼名を与える。ヒースクリフを信用して可愛がり、教区の牧師に勧められ、ヒンドリーを寄宿制のカレッジに入れる。
体が弱るにつれて怒りっぽくなり、自分のことをわざと怒らせようとするキャサリンに手を焼き、神に許しを乞うように命じる。十月のある日、椅子に座ったまま静かに息を引き取る。

ミセス・アーンショウ
ミスター・アーンショウの妻。ヒンドリーとキャサリンの母親。ヒースクリフが家に来てから二年もしないうちに死去する。

ミスター・リントン
スラッシュクロスの先代の主人。エドガーとイザベラの父親。キャサリンとヒースクリフが自宅を覗きに来ると、正当な令嬢であるキャサリンだけを丁重にもてなし、拾われ子のヒースクリフに対しては、自分の子供たちと近づけないでほしいと要求する。キャサリンの熱病をもらって死去。

ミセス・リントン
ミスター・リントンの妻。エドガーとイザベルの母親。夫とともにキャサリンの熱病をもらって死去する。

エレン(ネリー)・ディーン
母親がヒンドリーの乳母をしていたため、幼い頃からヒンドリーやキャサリンと一緒に過ごしていた。始めは拾われ子のヒースクリフを虐めていたが、弱音を吐かない姿を見て考えを変え、ヒンドリーやキャサリンと同じように仕えるようになる。キャサリンとヒースクリフが成長するにつれ、その身勝手さに手を焼くが、ヒンドリーによって召使いに格下げされたヒースクリフを気の毒に思い、色々と手を尽くしてやる。
フランセスを失ったヒンドリーが放蕩にふけり始め、他の召使たちが辞めていく中、ジョウゼフとともに二人で嵐が丘の屋敷を切り盛りし、主にヘアトンの面倒を見て過ごす。
キャサリンがエドガーからのプロポーズを受け入れたことを知ると、愛しているとは言い難いその結婚に難色を示し、ヒースクリフの気持ちを考えてやるように諭す。この話を聞いていたヒースクリフが姿を消すことになり、そのショックで病気になったキャサリンを献身的に看病する。
キャサリンがエドガーと結婚すると、言いくるめられてスラッシュクロスに移り住み、五歳になるまで面倒を見ていたヘアトンと泣く泣く別れる。
三年ぶりに嵐が丘に現れたヒースクリフがスラッシュクロスの人々への復讐を果たそうとしていることを危惧し、イザベラがたぶらかされようとしているのをエドガーに伝え、ヒースクリフのスラッシュクロスへの出入りを禁じさせる。しかしこれが原因となってエドガーと争いになったキャサリンが病気になると、どのような手段を使ってでもキャサリンに会おうとするヒースクリフに説き伏せられて手紙を託される。その手紙をキャサリンに渡したことで、二人が会うための橋渡しの役割を果たすこととなり、これがキャサリンの死の直接の原因となる。
キャサリンの死後は、最愛の恋人を失ったヒースクリフに同情し、窓を開けて遺体と対面ができるようにしてやる。
キャサリンの死から半年もたたない頃、ヒンドリーが死んだことに大きな衝撃を受ける。
その後は、キャサリンの娘のキャシーを育て上げる。エドガーからはキャシーを嵐が丘に近づけないように命じられていたが、エドガーが一時引き取ったリントンがヒースクリフによって嵐が丘に連れ去られ、キャシーが叔父や従兄のいる嵐が丘に興味を持ち始めると、エドガーとキャシーの間で板挟みの状態となる。
自分の財産をヒースクリフに奪われまいと思い始めたエドガーが、キャシーとリントンが会うことを容認すると、二人の監視役として、キャシーとともに荒野へ出かける。しかし、体調を崩したリントンがヒースクリフに連れ去られると、エドガーに禁止されていた嵐が丘までキャシーとともについて行き、そのままヒースクリフに監禁されてしまう。五日後にズィラによって助け出され、スラッシュクロスに戻り、キャシーが監禁されたいきさつをエドガーに語る。
エドガーの死後、キャシーが再び嵐が丘に連れ去られ、スラッシュクロスが貸しに出されると、間借り人のロックウッドに、これまで嵐が丘で起こった物語を語る。
翌年、ズィラが暇をとったため、嵐が丘に呼ばれ、キャシーとの再会を果たす。ヒースクリフの死を見届けると、その遺体を、本人の望み通り、キャサリンの墓の隣に埋葬する。
キャシーとヘアトンの婚礼が整い次第、二人と一緒にスラッシュクロスへ移る予定となっている。

ジョウゼフ
長年嵐が丘に勤める召使い。年寄りの筋骨たくましい男。聖書を勝手に解釈し、よい約束は自分に当て嵌め、悪い呪いは他人に投げつける。敬虔ぶって講話をたれ、幼い頃のヒースクリフとキャサリンをうんざりさせる。
ヒンドリーとともにヘアトンを養育し、ヒンドリーの死後は、嵐が丘に戻ってきたヒースクリフのことを恐れながらも仕え続ける。
ヒースクリフの命令を受け、スラッシュクロスへやって来たリントンを連れ去り、ズィラとともにその面倒を見る。
リントンの死後、長年連れ添ったヘアトンと恋に落ちたキャシーを目の敵にするようになり、キャシーの希望により大切な庭木が切り払われると、六十年勤め上げた嵐が丘から暇を取ろうとする。しかしヒースクリフが死ぬと、正当なリントン家の当主と、由緒ある血統が復権したことに神に感謝を捧げる。
キャシーとヘアトンがスラッシュクロスに移る後も、嵐が丘に残り、屋敷の管理を任される予定となっている。

ズィラ
嵐が丘の恰幅の良い家政婦。リントンが嵐が丘に来た頃に雇われ始め、ジョウゼフとともにリントンの世話をする。
キャシーが嵐が丘に住み始めると、その様子をエレンに伝える役割を果たす。嵐が丘の誰にも心を開こうとしないキャシーに手を焼き、その高慢さを嫌う。
リントンの死後、スラッシュクロスを借りたロックウッドが大雪のために嵐が丘から帰れなくなると、ヒースクリフの秘密の部屋に泊めるが、そのことが露呈して叱られる。
その後すぐに暇をとって嵐が丘を去る。

ケネス
嵐が丘とスラッシュクロスの医師。先代のアーンショウの世代から、二つの屋敷の人々の診察を行い、間借り人ロックウッドの風邪も診る。

ロックウッド
語り手。人間嫌いで、社交界から遠ざかるために荒野のただ中にあるスラッシュクロスの屋敷を借りる。不愛想な態度の屋敷の持ち主ヒースクリフに興味を惹かれ、スラッシュクロスの女中であるエレンに、風邪による四週間の中断をはさみながら、嵐が丘とスラッシュクロスで起きた物語を聞く。
ヒースクリフを中心とした二つの家の壮絶な過去を知り、これ以上スラッシュクロスに住む気にならなくなり、嵐が丘に住むヒースクリフの義理の娘キャシーの美貌に後ろ髪を引かれながらもロンドンへと引き上げる。
その数か月後、スラッシュクロスの近所に猟に来たついでに嵐が丘に寄り、ヒースクリフが死んだことをエレンから聞き、キャシーとヘアトンが結ばれたのを見届けて去っていく。


嵐が丘(上) (光文社古典新訳文庫)