ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』の詳しいあらすじ

ルイス・キャロル作『鏡の国のアリス』(Through the Looking-Glass, and What Alice Found There)の章ごとの詳しいあらすじを紹介するページです。

※ネタバレ内容を含みます。

※簡単なあらすじはこちら(『鏡の国のアリス』トップページ)

1 鏡の家

 アリスの飼い猫ダイナは、二匹の子供の親猫になっていました。アリスはそのうちの黒いほうをキティ、白いほうをスノードロップと呼んでいました。
 焚き火の夜(十一月五日にイギリスで行われる記念日)の前日、キティは、アリスの巻きかけた毛糸玉にじゃれついて、その玉を解いてしまいました。アリスは、キティのしつけが悪いとダイナを咎め、毛糸を巻き直しました。キティは、アリスの膝に収まり、毛糸が巻かれるのを見ていました。
 アリスは、キティ相手にお喋りを始め、チェスができるかと聞き、赤のクイーンの真似っこをしないかと提案してみました。しかしキティは何もしようとしなかったので、アリスは、言うことを聞かないのなら鏡の向こうの家に押し込めるとたしなめました。
 アリスは、キティに鏡を見せ、その中の家には素敵なものがあるのだろうかと考えながら、暖炉の棚に登り、鏡の向こうへと飛び降りました。すると彼女は、自分が鏡の向こうの部屋に軽々と飛び降りていることに気づきました。アリスが鏡の中の世界を見渡すと、暖炉の上で、赤の王さまと女王さま、白の王さまと女王さま、ルーク(お城)らのチェスの駒が歩き回っていました。

 アリスのうしろのテーブルの上で白の歩兵がひっくり返って足をばたばたさせました。それは白の女王さまの世継ぎのリリーでした。あわてて駆け出した白の女王さまのはずみをくらって、王さまは灰の中に落ちてしまいました。アリスは、白の女王さまをリリーのいるテーブルの上へと運んでやりました。王さまと女王さまにはアリスの姿が見えておらず、急に宙に浮き上がった女王さまは、火山に噴き上げられたのかと勘違いしました。灰まみれになった王さまは、女王さまの後を追い、格子を登り始めました。しかし辿り着けそうになかったので、アリスはしびれを切らして王さまを今度はゆっくりと持ち上げて運んでやりました。アリスの姿を見ることのできない王さまは、テーブルの上に運ばれると気絶してしまいました。
 目を覚ました王さまと女王さまはおびえたように話し合い、今のことを忘れないように、メモに書き始めました。
 アリスが開いてみた本の中には、鏡文字で、アリスには理解のできないジャバウォッキという詩が書かれていました。
 アリスは、家の他の場所がどのようになっているかを確かめるため、部屋を出て階段を降りようとしました。すると彼女が手すりをさわるだけで、足が宙に浮き、階段をふわふわと降りていきました。

2 生きている花園

 アリスは丘のてっぺんを目指して歩き出しましたが、くねくねした道を通るたびに、どうしても家に戻ってきてしまいました。
 何度もやり直しているうちに、彼女は広々とした花壇にぶつかりました。そこに植えてある花々は話ができました。花々はアリスのことを自分達と同じ花だと思い込み、彼女の姿の品評を始めました。アリスは静かにしないと摘んでしまうと言って、花々を黙らせました。
 話ができる理由をアリスが聞くと、オニユリは、ここの地面は固いので、花々は眠くならず、話ができるのだと答えました。
 バラによると、アリスのように歩き回れる花がもう一人いるようでした。その花は、赤くて、花びら(髪の毛)が短くて、穂が九つあると言います。

 その花がやってきました。それは赤の女王さまでした。赤の女王さまは、始めアリスが見つけた時には三インチほどだったのに、今ではアリスより背が高くなっていました。アリスは、赤の女王さまにお目にかかろうとして、その後を追いました。そして彼女に追いついたアリスは、丘の方に行きたいのに、自分の道がわからなくなってしまったと言いました。赤の女王さまは、本物の丘に比べれば、その丘は谷みたいなものに過ぎないと言ってアリスを丘のてっぺんまで連れていきました。
 アリスは四方を眺め回しました。その土地は、小川が何本となく土地の端から端までまっすぐと流れ、その間の地面もまた、緑の生垣で真四角に区切られていました。
 それは大きなチェス盤で、アリスはその中の駒になって女王さまになれたらどんなに良いかと言いました。赤の女王さまは、まずは白の女王さまの歩兵になって、八つ目のマスまで進めば女王になれると言って、アリスをせかして走り出しました。しかしアリスはどれだけ走っても、周りの景色が一緒に移動してきて、元の位置から動くことができませんでした。
 疲れ切ったアリスを女王さまは木に寄り掛からせ、ここでは同じ場所にとまっているだけでも全力で駆けて行かなくてはならず、もし他の場所へ行きたいのなら、二倍の速さで駆けなければならないのだと言いました。女王さまは、喉がカラカラだと言ったアリスにビスケットを与えましたが、アリスは喉を詰まらせそうになっただけでした。

 女王さまは一ヤードごとに杭を打ちました。
 そして、アリスから二ヤードのところまで歩くと、チェスの歩の駒は始めは二マスすすめること、そして三つ目のマスは汽車で大急ぎで通り抜け、四つ目のマスはトゥイードルダムとトゥイードルディーのもので、五つ目のマスはだいたい水ばかり、六つ目はハンプティ・ダンプティのもので、七つ目は全体が森なので、騎士の道案内を受けること、そして八つ目のマスに入れば、自分たちは二人とも女王になれると言いました。女王さまは次の杭のところまで歩くと、英語でなんというかわからなかったら、フランス語で言うこと、あるときはつま先を外側に向けること、そして自分が誰かということを忘れないようにすることをアリスに忠告し、次の杭のところでさよならを言うと、その次の杭のところで姿を消しました。

 アリスは自分がチェス駒の歩であることを思い出し、そろそろ動き出さなくてはならないと考えました。

3 鏡の国の昆虫たち

 アリスが周囲を見渡すと、一マイルも先に、一匹の動物が花に顔をつっこんで蜜を吸っているのが見えました。それはミツバチのように見えましたが、遠くにいるために小さく見える象でした。
 アリスは、象が吸っている蜜を取りに行こうと考えましたが、象を追っ払うのが怖かったので、違う方から丘を降りて行きました。

 アリスは汽車に乗りましたが、切符を持っていませんでした。皆が彼女を手荷物にしようと相談を始めると、どこからか、か細い声がアリスに話しかけました。その声をアリスが聞き取ろうとしているうちに、汽車がけたたましい音をあげ、まっすぐに宙に立ち上がりました。

 気づくとアリスは、ある木の影に座り込んでいました。先程のか細い声の持ち主が、頭の上にやってきました。それはヒヨコくらいはありそうな大きな蚊でした。その蚊は、アリスの元の世界にいた虫に名前がついているのに、呼ばれても返事をしないということを聞き、不思議がりました。蚊はアリスに自分たちの世界にいる虫たちの名を教え、自分の名前をなくしたくはないのかとアリスに聞きました。アリスはもちろんだと答え、蚊の冗談をくだらないと評しました。すると蚊は大粒の涙をこぼして姿を消してしまいました。

 アリスは歩き出し、暗い森に入って行きました。それは名無しの森で、アリスはそこに入った途端、自分の名前を忘れてしまいました。
 そこへ小鹿がやってきて、アリスに名前を聞きました。アリスがそれに答えられないでいると、小鹿は彼女を森の外まで連れて行きました。小鹿は、自分が小鹿であることを思い出し、さらにアリスが人間であることに気づいて、逃げて行きました。
 自分の名前を思い出したアリスは、再び森の中の一本道を歩きました。全ての分かれ道には道標があり、片方はトゥイードルダムの家、もう片方はトゥイードルディーの家と書かれていました。アリスはその二人が同じ家に住んでいることに気づくと間もなく、二人のチビで太った男に出くわしました。

4 トゥイードルダムとトゥイードルディー

 二人があまりにじっとしているので、アリスは彼らが生きていることを忘れていました。
 アリスは二人にこの森を出るための道を聞きました。しかし二人はそれに答えず、人を訪ねたらまず握手をするものだと言って、手を差し伸べました。アリスが両手で二人の手を掴むと、途端にダンスが始まりましたが、二人はすぐに息切れしてしまいました。
 アリスが森を出る方法を聞くと、トゥイードルディーは、その答えを言う代わりに「セイウチと大工」の詩を謳い始めました。
 それは浜辺を歩いていたセイウチと大工が、牡蠣の子供たちを散歩に誘って岩場に連れ込み、残らず食ってしまったという内容でした。
 その話を聞いたアリスは、牡蠣の子供たちに少しは同情したセイウチか、セイウチほど食べなかった大工のどちらが好きかを考え、どちらも嫌なやつだという結論に至りました。

 そこへ近くの森から蒸気機関車のような音が聞こえました。トゥイードルディーによると、それは赤の王さまがいびきをかいている音のようでしま。アリスは二人に手を引かれて、その様子を見にいきました。
 二人は、王さまが見ている夢はアリスの夢だと言い、アリスは王さまの夢の産物に過ぎず、王さまが目を覚ますと消えてしまうだろうと言いました。アリスが泣き出しても、二人は馬鹿にした調子で、まさかその涙も本物だと思っているのではないだろうと言いました。
 アリスが立ち去ろうとすると、トゥイードルダムは木陰に転がっているおもちゃを指さしました。それは昨日トゥイードルダムが買ったもので、トゥイードルディーはそれを壊したようでした。二人は睨み合い、決闘を始めることとなり、アリスに身支度を手伝わせました。
 しかし決闘が始まりそうになると、濃い黒雲のような大きなカラスがやってきたため、トゥイードルダムとトゥイードルディーは逃げ出していきました。

5 毛糸と水

 そのカラスが羽ばたくと、森中が大嵐のようになり、誰かのショールが吹き飛ばされそうになりました。そこへ白の女王さまが通りがかり、アリスはそのショールを彼女が羽織るのを手伝いました。
 アリスは、白の女王さまの衣類を整えてやり、ご機嫌をとりました。未来のことの記憶も持ち合わせていると主張する白の女王さまは、犯罪が起きる前日、罪を犯していない王さまの使いのものを捕まえて牢に入れているようでした。それをおかしいと思ったアリスと議論になり、興奮した女王さまは、ショールを止め直すときに指にピンを刺すだろうと言い、その予言の通りピンを自分の指に刺し、取り乱しました。
 白の女王さまが落ち着きを取り戻すと、アリスは、ここが寂しいところだということを思い出して泣き出しました。すると白の女王さまは、おろおろしてアリスをなだめにかかり、自分は百一歳と五ヶ月と一日だと言いました。アリスは白の女王さまの歳を信じられないと言って吹き出しました。

 アリスは、女王さまに指が治ったかと聞くと、白の女王さまは、もういいのと、叫びました。その叫び声は羊に似ていました。気づくと、女王さまは全身すっぽりとヒツジの毛にくるまっていました。アリスは薄暗い店のカウンターに肘をついてよりかかっており、向かいには歳をとったそのヒツジが椅子にかけて編み物をしていました。ヒツジはこの店で何を求めるのかアリスに聞きました。アリスは棚のものを見ようと思いましたが、アリスが目を向けるたびに、その棚の中身は空っぽになってしまいました。
 ヒツジが使っていた十四本もの編棒は、オールに変わり、気づくとアリスはヒツジとともに小さいボートに乗っていました。
 灯心草を見かけたアリスは、船縁から身を乗り出して、それを摘み取りました。それは、積み上げると間もなく萎れていき、雪のように溶けてしまいました。
 アリスの漕ぐボートのオールは、水にはまって抜けなくなってしまいました。アリスはオールの柄にあごをぶつけ、灯心草の山の中に転がり落ちました。ヒツジはそのアリスを見て、「カニに笑われた」と言いました。

 気づくとアリスはもとの薄暗い店に戻っており、何を買うかとヒツジに聞かれました。アリスはヒツジからタマゴを買いましたが、ヒツジはそのタマゴを手渡しで渡さず、店の奥の棚の上に立てるだけでした。アリスは、その卵を取るために店の奥に進みましたが、アリスが近づくたびに、そのタマゴが遠ざかり、店の中のものは全て木に化けてしまいました。

6 ハンプティ・ダンプティ

 タマゴは大きくなり、人間のような顔をしているのがわかりました。それはハンプティ・ダンプティでした。彼はアリスに名前を聞きました。アリスが名を名乗ると、ハンプティ・ダンプティは、名前には意味がなくてはならないと言い、自分の名前は姿かたちから来ていると言いました。
 アリスは、高い塀の上に足を組んで腰掛けているハンプティ・ダンプティが心配になり、地面に降りた方が安全ではないかと言ってみました。しかしハンプティ・ダンプティは、自分が落ちそうになったら王さまが馬や兵隊総がかりで来てくれることになっていると答えました。
 歳を聞かれたアリスが七歳と六ヶ月と答えると、ハンプティ・ダンプティは、歳をとるのをやめておけばよかったのにと言いました。

 アリスはハンプティ・ダンプティの首とウェストの区別がつかなかったため、ネクタイをベルトと言い間違えそうになりました。ハンプティ・ダンプティによるとそれはネクタイで、白の王さまと女王さまが、誕生日でない日にくれたもののようでした。彼は、さまざまな意味を持つ気まぐれな言葉たちの主導権を握っているようで、言葉がぴったりと自分の言いたかったことを意味するようになるらしく、誕生日が一年のうちのたった一日で、誕生日でない日に圧倒的な敗北を喫することを「名誉」と表現しました。

 アリスは、ハンプティ・ダンプティに、ジャバウォッキの詩の意味を聞くために、その一説を暗唱してみせました。
 ハンプティ・ダンプティは、その支離滅裂に見える詩を自分なりに解釈し、アリスに伝えました。彼によると、その詩は、さまざまなカバン語(二つの意味の言葉を合成して作られた合成語)によってできているようでした。

 ハンプティ・ダンプティは、アリスのために詩を暗誦しました。
 そは自分に反抗したサカナたちを起こしに行ったものの、ドアに鍵がかかって開けられないという内容でした。
 詩の暗誦が終わると、ハンプティ・ダンプティは唐突にさよならを告げました。アリスは、これまでに会った人の中で一番彼のことを気に入らないとつぶやこうとすると、森じゅうをゆるがすような大きな音が鳴り響きました。

7 ライオンとユニコーン

 その大きな音の正体は、森じゅうを埋め尽くすような兵隊でした。アリスが森から原っぱに出ると、アリスは白の王さまに出会いました。そこへウサギの使者ヘイヤがやってくると、王さまは、うずまきパンをねだりました。うずまきパンがなくなると、王さまは、ヘイヤの差し出したウマゴヤシを食べ始めました。
 ヘイヤによると、ライオンとユニコーンが、王冠を取り合いしているようでした。王さまはその様子を見に行くと言って、アリスを連れて駆け出しました。

 やがて、大勢の人だかりの中で、ライオンとユニコーンが喧嘩しているのが目に入りました。
 その側では、もう一人の使者のハッタが、片手にお茶の入ったカップとバターつきパンを持って戦いを見物していました。
 ハッタに戦況を聞くと、ライオンとユニコーンは、二人とも八十七回ほどダウンしたようでした。

 王さまは、おやつのための十分間の休憩を宣言しました。
 そこへ白の女王さまが森の中から駆けてきました。王さまは、女王さまが敵に追われているのだろうと言いながら、助けに行こうとはしませんでした。

 ヘイヤは、ユニコーンにアリスを紹介しました。子供を伝説上の怪物だと思ってたユニコーンは、アリスを見て驚きました。王さまは彼のためにプラムケーキを出してやり、アリスはそのケーキを切り分けました。しかし、切っても切ってもそれはもとにくっついてしまいました。アリスは、はじめに配って後から切るのだとライオンに言われた通り、まずはお皿を持って回ると、ケーキ三切れに分かれていました。ライオンは今度はそのケーキを切るのだというと、アリスは困ってしまいました。

 プラムケーキは好きかとライオンに聞かれたアリスが返事するよりも早く、太鼓の音が鳴り響きました。
 ご馳走を邪魔されたライオンとユニコーンは、そのけたたましい音に、怒り狂った顔になりました。アリスは両手で間一髪で耳を押さえましたが、その太鼓の音を抑え切ることはできませんでした。

8 「わたしの発明だ」

 しばらくすると騒ぎがおさまり、アリスが目を開けると誰一人いなくなっていました。アリスは夢を見ていたのだろうかと考えましたが、プラムケーキを切り分けていた大皿は残っていました。
 そこへ赤の騎士と白の騎士がやってきて、お互いがアリスを虜にするために一騎討ちを始めました。その一騎打ちは、相手を馬から叩き落とすというもので、二人の騎士は一緒に馬から落ちると、たがいに握手をし、赤の騎士は立ち去っていきました。

 アリスは、自分は女王さまになりたいのだと白の騎士に言いました。すると白の騎士は小川を越せば女王になれると言って、アリスを森のはずれまで送ってくれました。
 その騎士は、小箱を肩にくくりつけていました。アリスが、その小箱が上下逆さまになっていることを指摘すると、騎士はそれを木の枝にぶら下げ、蜜蜂が巣をかけることを期待しました。
 騎士は、アリスと共に歩き出しましたが、たびたび馬から落ちました。アリスはその度に手を貸してやりましたが、あまりに落馬が多いので、車つきの木馬を勧めました。騎士はそれを手に入れることを考え始めました。

 騎士は発明が得意のようで、門を乗り越える方法を考案したと言いました。それは頭を門の上に乗せ、逆立ちをするというものでした。さらに彼は、馬から落ちてもすぐに地面に届くので頭はあまり落ちなくて済むという円錐形のカブト、新式のプディングといった発明をアリスに語りました。

 森の外れまで来ると、騎士は穏やかな微笑みを浮かべながら、アリスに歌を聴かせました。

 アリスは、騎士に連れられて小川の淵までやってきました。その小川を越えれば、アリスは八マス目に到達し、女王さまになれるはずでした。
 そして、小川を超え、芝生の上に立ったアリスは、自分の頭の上に金の王冠が乗っていることに気づきました。

9 女王アリス

 女王さまになったからには堂々としていなくてはならないと思ったアリスの横に、赤の女王と白の女王が座り込んでいました。
 赤の女王と白の女王は、今夜開かれるアリスのティー・パーティーにお互いを招待しました。アリスは、自分がティー・パーティーを開くことを知りませんでした。
 二人の女王さまは、アリスに答えることのできないのできない理不尽な問題ばかりして、アリスの粗探しを始めました。
 その後、話しているうちに眠気に襲われた女王さまたちは、アリスの肩に頭をもたせかけ、眠ってしまいました。二人のいびきは、次第に歌になっていきました。アリスがその歌に一心に耳を傾けているうちに、二人はいつの間にか消え失せていました。

 アリスは、「女王・アリス」と書かれたアーチのある戸口に立っており、中から長いくちばしを持つ生物がちらりと外をのぞき、「再来週まで入場おことわり!」と言ってドアを閉めてしまいました。
 そこへ、年取ったカエルがやってきて、ひどいしゃがれ声で何の用かと聞きました。アリスはドアの取り次ぎ番はどこにいるのかといらいらしながら聞きました。カエルは、「ほっといてやれば、こいつもあんたをほっといてくれる」と言って、もといた木のところへ戻って行きました。

 するとドアが開き、何百人ものコーラスが聞こえました。しかしアリスが入った途端、中は静まり返りました。そこにはありとあらゆる種類の客がテーブルについていました。
 上座には赤の女王さまと白の女王さまが座っていました。給仕たちは、羊の腿肉やプディングを持ってきましたが、それらの料理はしゃべり始め、アリスは言葉を返すことができず、それらの料理を食べることもできませんでした。
 赤の女王さまから何かを話すように急かされたアリスは、この日に聞かされた詩はすべて魚に関するものだったと言いました。すると白の女王は、再び魚に関する詩を暗誦し始めました。
 その詩の暗誦が終わると、赤の女王さまは、女王アリスの健康を祝し、乾杯の音頭をとりました。
 アリスはスピーチを始めましたが、二人の女王さまが両脇から体を押しつけられ、体が宙に浮いてしまいました。
 アリスがテーブルに捕まって宙に浮いた体を元に戻そうとすると、白の女王さまが悲鳴をあげて両手でアリスの髪の毛を掴みました。
 するとローソクが天井まで伸び、瓶が皿とフォークがお互いにくっついてあたりを飛び回り始めました。
 アリスは怒りだし、テーブルクロスを引っ張ってテーブルの上のものを床に落としました。
 そして彼女は、赤の女王さまが、この騒ぎの張本人だと思い、人形ほどの大きさに縮まっている彼女を捕まえました。

10 ゆすぶって

 アリスは赤の女王を力一杯前後にゆすると、赤の女王さまは、どんどんと丸くなっていきました。

11 目覚めて

 そして最後には赤の女王さまは、ほんものの子猫になってしまいました。

12 どちらの夢?

 夢から覚めたアリスは、キティが赤の女王さまに化けていたのだと思い込み、チェスの駒の女王さまを取り出して、これに化けていたと白状するようにキティに命じました。キティは一言も喋らず、そっぽを向いてしまいました。
 次にアリスはダイナが誰に化けていたのか考えましたが、結論を得ることができませんでした。
 アリスは、これまで見ていた夢が、自分の夢だったのか、赤の女王さまの夢だったのか分からなくなり、キティに聞きました。するとキティは、アリスの質問には耳を貸さず、片方の手を舐め始めました。