マーク・トウェイン『トム・ソーヤの冒険』の詳しいあらすじ

マーク・トウェイン作『トム・ソーヤの冒険』の詳しいあらすじを紹介するページです。


トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

※ネタバレ内容を含みます。

※簡単なあらすじ、登場人物紹介、感想はこちら(『トム・ソーヤの冒険トップ』)

※『トム・ソーヤの冒険』の詳しい登場人物紹介はこちら

ペンキ塗り

 ミシシッピ川沿いの村、セント・ピーターズバーグに住む少年トム・ソーヤは、手に負えない子供でした。トムは両親がおらず、弟のシッドと共に、母親の姉であるポリー伯母さんに養育されていました。ポリー伯母さんは、いたずら好きなトムにいつも手を焼いており、彼が学校をさぼったり、ジャムを盗んだりするたびお仕置きをしていましたが、死んだ妹の息子であるトムに鞭を当てたり仕事をさせなければならないことに、いつも心を痛めていました。

 ある日トムは、学校をさぼって泳いで行ったのをポリー伯母さんに知られてしまい、怒られて逃げ出しました。
 口笛を吹きながら歩いていると、見かけない少年が歩いてきました。トムはその少年の身なりが良かったのがしゃくにさわり、取っ組み合いになりました。トムはその少年を組み伏せて降参させましたが、その少年が石を投げつけて逃げ出したため、家まで追いかけ、少年の母親に追い返されました。
 夜遅くにボロボロになって帰ったトムを、ポリー伯母さんは見逃さず、みっちり仕事をさせることを決意しました。

 塀のペンキ塗りを命じられたトムは、水を汲みにやってきた使用人の黒人ジムに、自分の仕事と交換を持ちかけましたが、ポリー伯母さんを恐れていたジムはそれを拒否しました。
 友人のベン・ロジャースが通りかかり、ペンキ塗りの仕事を命じられたトムをからかい始めました。トムはそれには答えず、熱心にペンキを塗ってはそれを画家のように眺めました。ベンはその様子を見ているうちに、段々とペンキ塗りに興味を抱くようになり、とうとうその仕事をやらせてくれと頼み始めました。トムはもったいぶりながらも、ベンのリンゴと引き換えに、その仕事をさせてあげました。その後通りがかった子供たちに、彼らの持っている品と引き換えにペンキ塗りの仕事を与えることに成功すると、トムは、人にあるものを欲しがらせようと思ったら、それが容易に手に入らないと思わせさえすればいいということを悟りました。

ベッキーとの出会い

 ペンキ塗りを終えたトムは、ポリー伯母さんに仕事が終わったことを報告し、遊びに行くことを許されました。

 友人たちと戦争ごっこをすることになったトムは一方の司令官を務め、親友のジョー・ハーパーがもう一方の司令官を務めました。その戦争ごっこで、トムは大勝利を収めました。

 村の弁護士を務めるサッチャー家を通りかかると、トムは見慣れない金髪の青い目の可愛らしい少女が庭にいるのを見つけました。
 トムはそれまで、エミー・ローレンスという女の子と恋に落ちていましたが、そのサッチャー家の少女を見た途端に虜になってしまいました。その少女は、家に入る前、トムに三色すみれの花を投げました。

 トムは夜になるまでその家の前にいて、浮かれた気持ちのまま家に帰り、砂糖壺に手を入れて叱られました。模範少年であるシッドは同じことをしても叱られず、トムはそれを許すことができませんでした。

 シッドが誤って砂糖の壺を落として割ると、それを見つけたポリー伯母さんは、トムの仕業だと思い込みました。叩きのめされたトムは、シッドがやったことだと主張しましたが、伯母さんは心の中で謝りながら、トムの教育のために自分の罪を認めるのを避けました。
 トムはそんなポリー伯母さんの気持ちを知りながら、わざと傷ついたふりをしました。そのうちに彼は、自分が死んで伯母さんが後悔に苛まれることを想像し、神聖な気分に浸りました。

 田舎に行っていた従姉のメアリが一週間ぶりに帰ってくるとともに、トムは外へと抜け出し、三色すみれを投げてくれた少女の家へと行きました。長いこと彼はその少女の窓を見つめ、その場で横になりました。
 空想に浸っていたトムを家の女中が見つけ、水を浴びせかけたため、トムは逃げ出して家に帰りました。シッドはびしょ濡れになったトムを見て、何か言おうと思いましたが、酷い目に合わされるのを恐れ、黙っておきました。

日曜学校と礼拝

 ポリー伯母さんは家族を集めて礼拝を始めました。自分の持ち分を暗記していたシッドとは対照的に、トムは聖書の文句を暗唱することができませんでした。
 きちんと文句を暗唱したらご褒美をあげるとメアリに言われ、トムはなんとかその文句を覚え、新品のナイフを貰いました。
 トムは、メアリに身なりを整えさせられ、嫌いな日曜学校へ行きました。

 校長のウォルターズ先生が説教壇で訓話をたれていると、弁護士の息子ジェフ・サッチャーが、一組の家族を連れてきました。それはジェフの叔父で郡の主席判事であるサッチャー判事の家族でした。その家族の娘は、以前トムに三色すみれを投げた少女でした。トムはその少女の注意を引くために騒ぎ立て、聖句を二つ暗唱するともらえる青カード十枚と、青カード十枚に相当する赤カード九枚と、黄色のカード九枚を持って、聖書をいただきたいと申し出ました。これはペンキ塗りと引き換えにトムが友人からかき集めたカードで、聖書の二千句ぶんの暗記に相当する量でした。トムは壇上に立たされ、ここ十年に一度もなかった素晴らしい生徒として讃えられました。
 エミー・ロレンスは、トムが聖書をもらったことを喜びましたが、まもなくトムが新しく入ってきた少女に夢中であることに気づき、憎しみを覚えました。

 トムは、少女の父親であるサッチャー判事に紹介されました。しかし判事が覚えた聖句の中から、いくつかを聞かせてもらいたいと申し出たので、トムの嘘はすべて明るみに出されてしまいました。

 十時半になると、村の人々が教会にやってきました。牧師は朗読、祈祷を行い、トムは退屈に耐えかね、ポケットに入れておいた甲虫を取り出し、その甲虫に指を挟まれて放り投げました。そこへやってきたむく犬が、その甲虫の大顎に挟まれ、叫び声をあげながら走り去って行きました。
 教会の中にいた人々は笑いをこらえられなくなり、牧師の真面目な話はひどく滑稽なものになり変わってしまいました。
 トムは上機嫌になり、教会のお勤めも悪くないものだと思いました。

ハックルベリー・フィンとの計画

 憂鬱な月曜日を迎えたトムは、学校に行くのが嫌で、仮病を使うことを決めました。トムは歯が緩んで痛みを感じていましたが、その歯を抜かれるのは嫌だったので、そちらの方は隠しておき、足が痛いふりをすることにしました。うめき声を上げ始めたトムを心配したシッドは、ポリー伯母さんを呼びました。しかしポリー伯母さんは、トムの仮病を難なく見破り、トムの歯が緩んでいるのも見つけました。ポリー伯母さんは、トムの歯に絹糸を結びつけて別の端をベッドの柱に結びつけ、眼前に炭火を突きつけました。
 歯が抜けたトムは、学校で羨望の的となりました。

 トムは、村の浮浪児ハックルベリー・フィンに会いました。ハックルベリーは、大酒飲みのせがれで、学校にも教会にも行かず、怠け者で乱暴で下品でたちの悪い子供だったのにも関わらず、好きな時に釣りや泳ぎを楽しむ自由な生活により、村の子供達の尊敬を集めていました。トムもハックルベリーと遊ぶのを禁じられていましたが、彼の自由な生活を羨み、ことあるごとに遊びました。

 ハックルベリーは猫の死体を持っていました。その死体を悪人が埋められている夜中の墓場に持っていき、悪魔たちが悪人の死体を持ち去っていくところにその猫を投げつけて呪文を唱えると、疣がとれるのだということを、彼は信じていたのでした。

 ハックルベリーは、疣をとるために、その猫を今夜墓場に持っていくつもりでした。トムはそれに同行させてほしいと頼み、夜中になったら猫の真似をして自分を呼び出してほしいと言いました。

 トムは、自分の持っていた歯と、ハックルベリーの持っていたダニを交換して別れました。

ベッキーとの喧嘩

 トムが遅刻して学校に行くと、サッチャー判事の娘が教室に座っていました。その少女の隣の席が空いているのを見たトムは、ハックルベリーと話をしていたと正直に答え、罰としてその少女の隣の女生徒の席へ座ることを命じられました。その少女はベッキー・サッチャーという名でした。首尾よくベッキーの隣の席に座ることになったトムは、石盤に描いた絵を見せ、絵の描き方を教える約束を取り付けました。

 トムは「ぼくは、きみが大好きだ」と石盤に書いてベッキーに見せました。それを見たベッキーは、嬉しそうな顔をしながらトムの手を打ちました。

 トムはダニを取り出し、机の上に放ちました。親友のジョー・ハーパーはそのダニに興味を持ち、トムとともにそれをもて遊び始めました。ジョーに邪魔をされたトムは、石盤の上に一本の線を引き、その線のこちら側にいる間は自分がダニを動かし、線の向こう側にいる時は、ジョーがダニを動かすことを提案しました。しかし、二人は結局ダニの取り合いになって喧嘩を始めました。先生は二人の喧嘩を二分ばかり見守った後で、彼らにお仕置きを加えました。

 昼休みになると、トムはベッキーに友達と別れてくるようにと言って、校舎の中で落ち合いました。トムは幸福で有頂天になりながらベッキーと語り合いました。
 トムはベッキーに婚約を申し込み、愛の言葉をささやきました。ベッキーは恥ずかしがりながらもトムに愛を伝え、二人は接吻をして結婚の約束をしました。しかしトムは口を滑らせ、エミーとも以前に婚約したことを話してしまいました。ベッキーは泣き出したため、トムは一度外へ出た後、考え直して教室へと戻りました。それでもベッキーの機嫌が治ることはなく、宝物の真鍮の取手を渡しても、それを受け取ろうとしませんでした。トムは校舎を出て行き、その日は学校に戻りませんでした。ベッキーは傷つきながら午後の授業を過ごしました。

 トムは、自分がベッキーにしたことの何が悪いのかわからず、沈んだ気持ちで歩き続けました。彼は見知らぬ国へ行ってしまいたいという気持ちになり、やがてその気持ちは海賊になるのだという決意へと変化して行きました。その考えに夢中になったトムは、資金を集めることにしました。呪文を唱えて埋めておいた弾き玉を二週間後に掘り出すと、それまでなくした弾き玉がそこに集まっているという迷信を信じていたトムは、以前埋めた弾き玉を掘り返してみました。しかしそこには一つしか弾き玉はなく、トムは資金を集めることができませんでした。

 そこへジョー・ハーパーが現れました。二人は山賊ごっこを行い、大統領になるよりも山賊になりたいものだと話し合いました。

殺人現場の目撃

 その夜、トムは、ハックルベリーの猫の鳴き真似を合図に外へ飛び出しました。二人が恐怖におののきながら墓場の中を歩いていると、三人の人影が暗闇の中を近づいてきました。それは村の酔っ払っいマフ・ポッターと、インディアンの男インジャン・ジョー、そして若い医師のロビンスンでした。ポッターとインジャン・ジョーは、ロビンスンの依頼で死体を取り出そうとしており、トムとハックルベリーのほど近くで、墓を暴き始めました。

 死体を取り出すと、インジャン・ジョーとポッターは、それを運ぶためにさらに五ドルを要求しました。それをロビンスンが拒否すると、インジャン・ジョーはかつて食べ物をもらいにロビンスンを訪れて門前払いされた過去をもちだし、脅しにかかりました。ロビンスンがインジャン・ジョーを殴りつけると、ポッターはロビンスンと取っ組み合いになりました。ロビンスンは墓標を振りかざしてポッターを叩き伏せ、ポッターが気を失うと、インジャン・ジョーはロビンスンの胸にナイフを突き刺して殺しました。

 夜の闇に紛れながら、この惨劇を近くで見ていたトムとハックルベリーは、一目散に逃げ出しました。

 ロビンスンが力尽きると、インジャン・ジョーは気絶しているポッターに狂気となったナイフを握らせ、目を覚ましたポッターに、自分がロビンスンを殺したのだと思い込ませました。
 ポッターは、自分が知らず知らずのうちに犯してしまった凶行に恐れ慄き、誰にも話さないでくれとインジャン・ジョーに哀願し、逃げて行きました。

 トムとハックルベリーは、恐ろしさに口も聞けずに逃げ続けました。やっとのことでなめし革工場にたどり着いて一息つき、絶対に今見たことを誰にも話さないという誓約書を作って、血で署名をしました。

 誰かが建物の中に入ってきたため、一匹の野良犬が吠え始めました。犬に吠えられると不吉なことが起こるという迷信があったので、その犬が誰に向かって吠えているのかを確かめようとした二人は、そこにポッターの姿を認めました。

 トムは誰にも気づかれないように家に帰りましたが、シッドはその一時間も前から起きていて、トムが遅く帰ったことに気づいていました。

 翌朝、トムのことを誰も起こしませんでした。朝食が終わると、ポリー叔母さんは、トムが夜中に出歩いていたことを責め、泣き始めました。ポリー伯母さんの涙を見て、トムは胸をひどく痛めました。

 トムは憂鬱な気分のまま学校に行き、ジョー・ハーパーとともに昨日さぼった罰として鞭で打たれました。

 ロビンスンの死体が発見され、その恐ろしいニュースは村中に広まりました。死体のそばに落ちていたナイフはポッターのもので、ポッターは姿を消していたため、彼は犯人として嫌疑をかけられました。トムは不思議な力に惹きつけられ、村の人々と一緒にロビンスンの死体を見に行きました。そこにはハックルベリーも来ていました。そこにインジャン・ジョーが何食わぬ顔でいるのを見て、トムは震え上がりました。

 マフ・ポッターもまた捕らえられるのがわかっていながら、墓場にやってきて、皆に捕らえられました。ポッターは、そこにいたインジャン・ジョーに、皆に事の顛末を説明してほしいと頼みました。インジャン・ジョーは平気な顔で嘘をつき、ポッターを囚人に仕立て上げました。

 トムは、ポッターを救ってやれなかったことに良心の呵責を覚え、夜も満足に眠れなくなりました。
 シッドは、トムが妙な寝言を言いながら苦しみ、検死遊びにも加わらないのを見て、何が起きたのかを探り出そうとしました。

 インジャン・ジョーは、死体を盗もうとしたことで罰せられるはずでしたが、村の人々は、彼の凶悪な性質を恐れ、手出しをすることができませんでした。

無人島の冒険

 ベッキーが病気で学校に来なくなったため、トムは惨めな気持ちになり、遊ぶことに興味を失いました。ポリー伯母さんは、トムを心配し、あらゆる療法を行なって元気付けようとしました。

 しかし、トムはますます元気がなくなり、無感覚になっていきました。伯母さんはたまたまペインキラーという薬のことを耳にしてトムに飲ませました。それは鎮痛に使われるウィスキーで、トムは強い感覚を取り戻しました。

 トムは、割れ目のついた床も治療できるのではないかと考え、ペインキラーを注ぎ込みました。すると猫のピーターが現れ、味見させてほしいような表情を見せました。ペインキラーをやると、ピーターは飛び上がって家中を走り回り、窓から飛び出して行きました。トムはその光景を見て笑い転げました。その悪戯に気づいたポリー伯母さんは、トムの耳を掴んで引き倒し、頭を打ち据えましたが、その後考え直して優しく話しかけ、いい子になれるかどうかやってみておくれと頼みました。

 トムは授業の始まる前に毎日学校に行くようになりました。友達と遊ぶことをやめ、校門のあたりをうろついて、ジェフ・サッチャーが来るのを待ちました。ジェフが来ると、トムは話かけて、それとなくベッキーについて聞きました。しかしジェフはのんびりした少年だったので、ベッキーについての話を引き出すことはできませんでした。

 ようやくベッキーが現れると、トムは躍り上がって喚声をあげ、ベッキーの目に入るあらゆる行為を行い、目の前でぶっ倒れて見せました。しかしベッキーがツンとして横を向いたので、トムは力なく起き上がり、立ち去りました。

 傷心のトムは、この世間から立ち去る決意をし、すすり泣きながら歩きました。するとクリームを舐めたという無実の罪により母親から鞭打たれたジョー・ハーパーに出会いました。二人の少年は兄弟となることを誓い、海賊になることを決めました。

 二人はハックルベリーを仲間に入れ、ミシシッピ川の中にあるジャクソン島という無人島を会合の場所にすることにしました。

 その真夜中、食糧と釣竿を持って小さな筏がある河岸に集まった三人は、「カリブ海の恐怖の復讐者トム・ソーヤ」「人殺しのハック・フィン」「海の略奪者ジョー・ハーパー」と名乗り、筏を出しました。午前二時ごろ彼らは島の浅瀬に上陸し、焚き火をして調理し、すっかり満足して草の上に寝転がり、海賊がどのように生きているのかを話し合いました。
 ハックルベリーは間も無く眠りにつきましたが、トムとジョーは、食糧を盗んで逃げ出したことに対して良心の呵責を感じて不安になり、なかなか寝付くことができませんでした。

 翌朝目が覚めると、トムはハックルベリーとジョーを起こし、裸になって砂州の浅い水の中で泳ぎ回りました。筏は流されてしまいましたが、そのことを気にする者はいませんでした。彼らは野営の火を焚き、釣りをして、森を探検しました。
 疲れて野営地に帰ると、彼らは森の静けさに再び不安になりました。すると遠くから異様な音が聞こえ始め、それは徐々に近づいてきました。その音がする方へ行ってみると、小さな渡し舟がたくさん漕ぎ周り、水の上で大砲を放っていました。水の上で大砲を鳴らすと死体が浮き上がると言われていることを知っていたトムは、彼らが自分たちを探していることに思い当たりました。三人は英雄になった気分になりました。しかし夜になると、三人は再び不安で悲しい気持ちになりました。

 ハックルベリーとジョーが眠りにつくと、トムは白くて大きいすずかけの皮を二枚見つけ、そこに何かを書きつけて、一枚は自分のポケットにおさめ、もう一枚は、チョークやガラス玉などの宝物とともにジョーの帽子の中にいれました。そして足音を忍ばせて、眠り込んでいる二人に気づかれないように去っていきました。
 トムは川を泳いで渡り、渡し舟に忍び込んで、座席の下に身を潜め、出発を待ちました。その渡し舟が自分の家のある岸にたどり着くと、上陸してポリー伯母さんの家に行き、窓から中を覗き込みました。中ではポリー伯母さん、シッド、メアリが、ジョーの母親と話し合っていました。トムは家に忍び込んでベッドの下に潜り込みました。伯母さんとジョーのお母さんは、トムとジョーが死んだと思い込み、涙に暮れながら話していました。トムはそれを聞いて泣き出してしまいました。
 トムは、日曜までに自分たちの死体が見つからなかったら、その朝葬儀が行われることを知りました。ジョーのお母さんが帰ったあと、シッドとメアリも泣き、ポリー伯母さんはひざまづいてトムのために祈り、寝床に入ってからも苦しんでいる様子でした。
 トムは家から抜け出し、船番が寝ている船に乗り込んで上流に向かって漕ぎ始め、ジャクソン島へと上陸し、ハックルベリーとジョーに自分の行ってきた冒険を話しました。

 彼らは再び無人島生活を楽しみ始めました。しかし、時間が経つにつれてホームシックに耐えきれなくなったジョーは、帰りたいと言い始めました。ジョーとトムは争いになり、ジョーは一人で浅瀬を渡り始めました。それを見ていたハックルベリーもまた、帰り支度を始めました。トムは二人を引き留め、ある計画を話しました。二人はその計画を素晴らしいと言い、島に残ることにしました。

 トムとジョーはハックルベリーにタバコの吸い方を習いました。しかし、間もなく二人は胸がむかついて青ざめた顔になり、森の中で眠り込んでしまいました。夕食になってハックルベリーが二人分のパイプにタバコをつめ始めましたが、トムとジョーはそれを断りました。
 夜になると、三人は雷雨に襲われました。彼らは怯えながらテントにたどり着き、身を潜めました。雷雨が去ると、三人はびしょ濡れになった焚き火の奥から種火を見つけ出して火を起こし、夜が明けるまで自分たちの冒険について語り合いました。

 翌朝、三人は体の疲れを覚え、再び元気がなくなりました。トムは二人を元気付けようと、海賊になる計画を一回停止して、インディアンになろうと言い始めました。その計画に二人は賛成し、インディアンになりきって遊びました。交戦中のインディアンの和睦にはタバコが必須だったので、ジョーとトムは、仕方なく一服ずつハックルベリーのタバコを吸いました。二人は少しタバコを吸えるようになったことを発見し、得意になりました。

 土曜日の午後、トムとジョーとハックルベリーを失ったと思い込んでいたセント・ピーターズバーグの村は、沈み込んでいました。ポリー伯母さんとジョーのお母さんは喪に服し、悲嘆の涙を流しました。ベッキーは、トムに酷いことを言ったことを後悔して泣きました。

 翌朝、日曜学校の授業が終わり、葬式を知らせるための鐘が鳴り響きました。教会の中では、皆が涙に暮れました。

 そこへ二階の会堂から、三人の少年が意気揚々と現れました。ポリー伯母さん、メアリ、ハーパー家の家族たちは、少年たちに抱きついて接吻し、神に感謝の言葉を捧げました。

 人々は歌い、これほど感動的な賛美歌を聞けるなら、また騙されても構わないと話し合いました。トムは一生のうちで最も誇らしい時を過ごしました。

ベッキーに代わって罰を受けるトム

 翌日の朝食の時、ポリー伯母さんは、トムに優しく接しながら、自分たちの葬儀に出席するという悪戯のために、心配する家族たちに自分の無事を知らせなかったのはいただけないと注意しました。トムは、ポリー伯母さんのことをきちんと考えていた証拠に、無人島にいる時に伯母さんの夢を見たと嘘をついて弁解しました。トムは自分が見た夢の内容として、こっそりと自宅に帰った時に盗み聞いた、ポリー伯母さん、シッド、メアリー、ジョーのお母さんの会話をそのまま語りました。
 トムの語った内容が、実際に自分たちが話していたことと一致していたため、ポリー伯母さんは感動して、トムの悪事をすべて許しました。シッドは、トムの嘘をしっかりと見抜いていました。

 トムとジョーは学校中の英雄となりました。彼らは話に尾鰭をつけて冒険のことを語り、パイプを吸いました。ベッキーは大げさにはしゃぎ、トムの注意を引こうとしました。それに気づいたトムの虚栄心は満たされ、彼女に復讐するため、かつての恋人エミー・ローレンスに話しかけました。

 ベッキーはトムに聞こえるように友達をピクニックに誘いました。トムはとエミーだけがその輪から取り残されましたが、それでもトムはベッキーを無視し続けました。自尊心を傷つけられたベッキーは涙を流し、トムに復讐することを決めました。
 ベッキーは、セント・ルイスからやってきたきざな同級生アルフレッド・テンプルと親しげに話し、トムの嫉妬を煽りました。その様子を見たトムは、用事があるといってエミーと別れ、家に帰りました。

 トムが自分の前に現れなくなり、ベッキーは泣きながらアルフレッドのもとを去りました。アルフレッドは、トムの嫉妬を煽るためにベッキーに使われたことに気づき、トムの綴り字帳にインキを流しました。それをベッキーは見ていましたが、トムへの復讐のため黙っておくことに決めました。

 ポリー伯母さんは、トムが話した夢の話が嘘だったことをジョーのお母さんから聞いており、自分が笑い者になったことで、トムを責めました。トムは、ポリー伯母さんが笑い者になることまでは気づかなかったと言って弁解し、その夜、自分たちが海賊に出かけることを書いた木の皮を置いておくために家にやってきて、寝ている伯母さんにキスをしたことは本当だと語りました。伯母さんはその話も嘘だと思いましたが、その嘘に思いやりがかくされていたので、トムを許しました。トムが出ていくと、伯母さんはトムが海賊に出た時に着ていた上着のポケットを探り、メッセージの書かれた木の皮を見つけました。トムの話が真実だと知った伯母さんは、トムがどんな罪を犯しても許してやることを誓いました。

 トムは小道の外れでベッキーに出会い、許しを乞いました。それでもベッキーは、トムを許すことはありませんでした。二人は言い争いになり、決裂しました。

 学校に戻ったベッキーは、ドビンズ先生の机の引き出しに鍵が残っているのを見つけました。医者になる夢を持っていたドビンズ先生は、机の中に一冊の本を入れていて、授業の暇な時にいつもそれを読んでいたのでした。生徒たちはその本が何なのか気になっていました。ベッキーは机の引き出しの中にあった「解剖学」と書かれた本を取り出しました。そこへトムが教室に入ってきて、ベッキーは驚きのあまり、その本を破いてしまいました。
 ベッキーは、トムが部屋に入ってきたことを責め、泣きながら出て行きました。トムは呆気に取られました。

 授業が始まり、トムの綴り字帳にインキが溢れているのが見つかりました。ドビンズ先生はそれをトムの仕業だと思い込み、鞭で打ちました。トムが自分の悪事をばらすと思っていたベッキーは、インキをこぼしたのがアルフレッドだとは言いませんでした。
 ドビンズ先生は、自分の本が破れているのに気がつき、一人ずつ、この本を破いたかと聞いて回りました。ベッキーの番になった時、トムは立ち上がり、破いたのは自分だと言いました。トムは酷く鞭で打たれ、二時間の居残りを命じられましたが、その罰に平気で耐えることができました。

 その間、ベッキーは賞賛と感謝の念を込めてトムのことを見ていました。彼女はトムの帰りを待っていて、涙に暮れながら何もかもを打ち明けました。

夏休みの始まり

 夏休みが近づくと、学芸会できちんとした発表をできるように、生徒たちはドビンズ先生の鞭をいつもより多く受けるようになりました。
 生徒たちはドビンズ先生への復讐の方法を考え、先生が下宿をしている看板屋の息子に協力を頼みました。

 学芸会が始まりました。トムはセリフを途中でつっかえ、しどろもどろになりながら退却しました。
 ドビンズ先生はアメリカの地図を書こうとして手が震え、皆の笑いを誘いました。彼は笑い声に圧倒されまいと決心して、もう一度地図を描き、今度はうまく描くことができました。しかし、天窓から紐でくくりつけられた猫が吊り下げられていたため、笑い声が止むことはありませんでした。その猫がドビンズ先生のカツラをつかむと、屋根裏部屋へと引き上げられました。看板屋の息子が金箔を塗っておいたため、先生の頭は輝きを放ちました。

 生徒たちは恨みを晴らし、夏休みが始まりました。

 トムはバッジ欲しさに、禁酒同盟が組織した少年隊に参加し、タバコと酒をやめ、神を冒涜する悪態を口にしないと誓いました。しかし間も無く、トムはタバコをやって悪態をつきたいという欲求に駆られ始めました。彼は、死の床についている治安判事のフレーザーの葬式まで我慢しようと決意しました。それはその葬式に少年隊の赤い制服を着て行きたかったためでした。しかし欲望に打ち勝てなかったトムは脱退届を出し、その翌日にフレーザー氏は死去しました。

 トムは夏休みを持て余し、黒人の合唱団や、独立祭や、サーカス、占い師や催眠術師がやってきても楽しむことはできませんでした。それはベッキーが両親と過ごすためにコンスタンチノープルの家に帰ってしまったためでした。

 それからトムは二週間麻疹で病床につき、元気になってみると、宗教復興運動によりジョーもハックルベリーも聖書を読んでいました。
 それから暴風雨がやってくると、トムは自分の信仰のなさに神様が腹を立てたのだと考え、怯えました。
 トムは病気を振り返し、再び三週間床につきました。その後回復したトムは、ジョーとハックルベリーが盗んだメロンを食べているところに出くわしました。彼らもまた、トムのように「ぶりかえ」し、元の自分たちに戻ったのでした。

マフ・ポッターを救うトム

 ロビンスン殺害事件の公判が始まりました。トムとハックルベリーは良心が痛み、自分たちが秘密を知っていることが周りに知られていないかと怯えました。二人は誰にも自分たちの秘密を話さないと、改めて誓いを立てました。

 二人はマフ・ポッターのいる牢屋に近づき、タバコとマッチを渡してやりました。マフは二人に感謝し、酒に飲まれないようにするようにと忠告を与えました。二人は良心のうずきを覚えながら家に帰りました。

 インジャン・ジョーは、嘘の証言を行い、マフの実刑は免れないようでした。

 公判では、弁護士は証言に対する反対尋問を行いませんでした。聴衆はざわめき、裁判長から注意を受けました。

 マフの実刑が決まりそうになった時、弁護士はトムを呼びました。

 トムは証言台に登り、事件の日に死んだ猫を持って墓地に行き、インジャン・ジョーがロビンスンを殺したのを見たと証言しました。

 トムの証言を聞いたインジャン・ジョーは、窓から一目散に逃げていきました。

 トムは称賛され、彼の勇姿は村の新聞にも載りました。トムは得意になりましたが、夜になると、インジャン・ジョーの夢に苦しめられました。ハックルベリーは証言しませんでしたが、彼もまた不安に苦しめられました。インジャン・ジョーは見つからず、そのうちにトムの不安は段々と軽くなっていきました。

宝探し

 トムは突然、宝を掘り出したいという欲望に駆られ、ハックルベリーを誘いました。彼らはつるはしとシャベルを手に入れ、目星をつけておいたところまで歩き、穴を掘り始めました。しかし半時間ほど掘り続けても、何も出てきませんでした。
 彼らは、真夜中に枝の影が落ちるところを見つけて、そこを掘らなければならないという迷信を思い出し、夜、出直すことを決めました。

 夜になると彼らは、同じ場所に再びやってきて枝の影になっている場所を掘りましたが、やはり何も出てきませんでした。

 トムは新しい候補地として、幽霊屋敷に行くことを提案してみました。その幽霊屋敷は、人が殺されたという噂になっており、ハックルベリーは行くのを嫌がりました。トムは、昼間であれば幽霊は出てこないと説得し、二人は翌日の昼間、幽霊屋敷に向かうことを決めました。

 翌日彼らは、幽霊屋敷に行くために集まりましたが、何かを始めるには縁起の悪い金曜日であることを思い出し、翌日まで待つことにしました。

 土曜日になると、二人は幽霊屋敷を訪れました。虚勢を張りながら家の中を捜索していると、二人の男が中に入ってきたので、トムとハックルベリーは、二階の床板に腹這いになって息を潜めました。そのうちの一人は村で時々見かける聾唖のスペイン人の老人で、もう一人は、ぼろぼろの服を着た汚らしい男でした。スペイン人と思われていた男が話し始めると、その声の主が変装したインジャン・ジョーであることにトムとハックルベリーは、気づきました。
 インジャン・ジョーと相棒は、何か「危ない仕事」をして、テキサスへと逃げるつもりでいるようでした。

 トムとハックルベリーは震え上がり、インジャン・ジョーと相棒が居眠りを始めても逃げ出すことができませんでした。インジャン・ジョーと相棒は起きると、六百五十ドルの入った袋を埋めておこうとして、家の中を掘り始めました。すると家の床下から、大金の入った箱が出てきました。インジャン・ジョーは、トムが持ってきたつるはしとシャベルを使ってその箱を取り出しました。シャベルについていた土が新しかったことに気づいたインジャン・ジョーと相棒は、つい最近までこの場所を使っていた者がいるのだろうと考え、その宝物をシャベルの持ち主に奪われないように、「二号」と呼ばれる場所の十字架の下に隠しておこうと話し合いました。
 インジャン・ジョーは、二階に誰かいるのではないかと考えて階段を登ってきましたが、その階段が崩れ落ちたため、トムとハックルベリーは難を逃れることができました。

 二人の悪党が家を出ていくと、トムとハックルベリーは、救われた気持ちになって床におり、家へと帰りました。
 インジャン・ジョーが行おうとしている「危ない仕事」は、「仕返し」であると語っていたことを思い出し、トムはそれが自分に向けられたものなのではないかと考えて恐れました。
 トムは、つるはしとシャベルを家の中に置いてなかったら、インジャン・ジョーたちが置き去りにした大金を持ち出せたことを考えて、悔しがりました。

 二人は、インジャン・ジョーの言っていた「二号」の場所がどこなのかを考え、村にある旅館の二号室が、インジャン・ジョーの隠れ家ではないかと考えました。その旅館の二号室はいつも錠がおろしてあり、その裏口が狭い路地に出られるようになっていることをトムは調べ上げ、夜になってから様々な鍵を使ってその裏口に出る方法を探ろうと話し合いました。

 トムとハックルベリーは何晩もその旅館を見張りました。そしてある晴れていない暗い夜、ハックルベリーが見張りにたち、トムは旅館へと向かいました。しばらくするとトムはその旅館から走り出してきました。トムとハックルベリーは、村はずれの屠畜場の小屋に逃げ込みました。

 トムによると、忍び込もうとした部屋には鍵がかかっておらず、扉の中にはインジャン・ジョーが寝ていたようでした。トムは逃げ出すのに夢中で、大金の入った箱など探すことはとてもできませんでした。

 二人は毎日その旅館を見張り、インジャン・ジョーが出かけたのを見届けてから、部屋の中に忍び込むことを決めました。

ベッキー主催のピクニック

 サッチャー判事の一家が村に帰ってきたため、トムはベッキーと会うことができました。ベッキーはピクニックを催し、村の少年少女たちを呼びました。

 そのピクニックは、古い蒸気船が雇われ、子供たちはそれに乗り込んで出発しました。ベッキーは、帰りが遅くなるので、渡し場の近くのスージー・ハーパー(ジョーの妹)の家に止めてもらう予定でした。しかしトムは、ダグラスの家に泊まろうとベッキーを誘い、ベッキーは、アイスクリームを食べさせてくれるということで有名なダグラスの歓迎への誘惑に勝てず、トムの誘いに乗りました。

 渡し舟は川を下り、木の茂った谷間の入り口につきました。少年たちがお弁当を食べると、近くにあった洞窟に入りたいと言う者が現れました。その洞窟は、幾つもの枝道がある迷宮でした。子供たちは洞窟の入り口近くで日暮まで遊び、船に乗って帰りました。

ダグラス未亡人を救ったハックルベリー

 ハックルベリーはその夜も見張りについていました。するとインジャン・ジョーとその相棒が、何かを抱えながら、出てきました。ハックルベリーは、二人が抱えているものが宝ではないかと思い、後をつけました。

 二人の悪党が向かった先は、ダグラスの屋敷へ通じる木戸の近くでした。ハックルベリーが盗み聞きしたところによると、インジャン・ジョーは、ダグラス未亡人の死んだ治安判事の夫が、かつて自分を不労罪で牢に入れ、衆人の前で鞭打ったことを恨んでおり、その妻であったダグラス未亡人の鼻を削いで仕返しをするつもりでいるようでした。
 ダグラス未亡人の家には、客が訪れていたため、インジャン・ジョーはその客が寝静まるのを待って、家に忍び込もうとしていました。

 インジャン・ジョーの話を聞いて震え上がったハックルベリーは、物音を立てないように逃げ出して、あるウェールズ人の家まで来ました。その家の老人ジョーンズとその息子は、ハックルベリーに話を聞き、ダグラス未亡人の家のある丘を登って行きました。ハックルベリーが身を潜めていると、銃声と叫び声が聞こえました。

 銃声で逃げ出したハックルベリーは、夜が明ける前にウェールズ人の家の戸をたたきました。
 ウェールズ人の親子はハックルベリーを歓迎し、昨夜起きたことを話しました。老人ジョーンズによると、彼らは武装して悪党らに近づいて行きましたが、ジョーンズがくしゃみをしたために、逃げられたようでした。弾は外れ、悪党たちは森へと入りました。明るくなり次第、保安官たちが森の中を捜索することになっているようでした。
 ハックルベリーは、前日の夜なぜ二人をつけたのかと聞かれ、悪党たちの持っていた宝のことには触れないよう、またインジャン・ジョーが聾唖のスペイン人の老人に化けていることは隠しながら、適当に嘘をつきました。しかしジョーンズがハックルベリーの嘘を見破り、身を守ることを約束してくれたため、ハックルベリーは、そのスペイン人と思われていた人物が、実はインジャン・ジョーであることを明かしました。
 二人の悪党が落としていった包には、宝物ではなく泥棒の道具が入っていたようでした。
 ジョーンズの家に、昨夜の事件のことを知った多くの人が訪れました。ダグラス未亡人は、ジョーンズに礼を言いました。ジョーンズは、ハックルベリーとの約束通り、彼の名前は出さずに、ダグラス未亡人の感謝の相手は他にいると答えました。それは人々の好奇心を大いに書き立てました。

洞窟に迷い込んだトムとベッキー

 翌日、教会に人々が押しかけ、事件についての話題で持ちきりになりました。そこへベッキーの母親とポリー叔母さんが顔を合わせ、ベッキーとトムが二人で何処かへ消えたことが分かりました。村中の人々がベッキーとトムを捜索しに、洞窟へと向かいました。
 洞窟の中はくまなく捜索されましたが、ベッキーとトムが見つかることはありませんでした。二人は三日三晩見つからず、村中は失望に包まれました。

 ハックルベリーは熱に浮かされ、ジョーンズとダグラス夫人が面倒を見ました。

 インジャン・ジョーの隠れていた禁酒旅館から、酒が見つかり、営業停止になったことがハックルベリーの耳に届きました。ハックルベリーは熱に浮かされながら、宝が入った箱はどこへ行ったのだろうと考えました。

 ピクニックの時に、洞窟の中ではしゃぎ回っていたトムとベッキーは、蝋燭の光にキラキラと光る鍾乳石や水晶に魅せられながら、洞窟の奥深くへと入り込んでしまったのでした。蝋燭の火が襲いかかってきた蝙蝠によって消されると、彼らは道に迷ったことに気がつきました。トムは、気が違ったように泣き始めるベッキーを元気付けながら、でたらめに歩き続けました。
 そのうちにベッキーは歩けなくなり、座り込んでしまいました。そのまま二人は疲れて眠り、目覚めると再び力なく歩き、泉を見つけました。蝋燭がもうすぐ尽きるため、二人は泉のあるこの場所に止まらなければなりませんでした。ベッキーは再び泣き出しました。

 蝋燭が尽き、二人は長い時間を昏睡したように過ごしました。ふと、トムは枝道を探ってみようとして、手探りであたりを歩き回りました。すると蝋燭を持った人の手が現れました。それはインジャン・ジョーのものでした。インジャン・ジョーは人の存在に気づいても、それがトムだとはわからなかったようで、身を翻して隠れました。トムは恐怖を感じながら、憔悴しているベッキーのところへ戻りました。インジャン・ジョーを恐れたトムでしたが、空腹に耐えられなくなり、再びあたりを探ることを決意しました。ベッキーは歩く気力を失っていたので、トムは凧糸を使ってもと来た道へいつでも引き返せるようにしながら、手探りで進んで行きました。

発見されたトムとベッキー

 二人の行方がわからず、捜索隊のほとんどは二人のことを諦め、セント・ピーターズバーグの村は悲しみに包まれました。サッチャー夫人は譫言を言いながら寝こんでしまい、ポリー叔母さんの髪は真っ白になりました。

 四日目の夜、ようやくトムとベッキーが見つかりました。トムは、手探りで洞窟内を探り、はるか彼方に見える光の点を見つけたのでした。それはミシシッピ河岸の岩の上に続いていました。彼は弱っていたベッキーを勇気づけて岩穴から這い出し、小舟を見つけて助けを求め、村へと帰ってきました。

 トムは二日間寝たきりになり、三日目になってようやく寝こんでいるハックルベリーを見舞いに行きましたが、ハックルベリーを興奮させるような話題を慎むように言われ、冒険のことを話しませんでした。
 ベッキーはその後の五日間、部屋から出られず、その後もやつれていました。
 インジャン・ジョーの相棒は、水死体となって発見されたようでした。

 二週間が過ぎた頃、トムはハックルベリーを訪ねに行く途中でサッチャー判事のところへ寄りました。サッチャー判事は、今回のようなことが繰り返されないため、洞窟に入る扉に鉄板を張り、錠を下ろしたことをトムに教えました。トムは驚いて、インジャン・ジョーが洞窟の中にいることをサッチャー判事に教えました。

 インジャン・ジョーが洞窟にいるという噂は瞬く間に広まり、人々は洞窟へと押しかけて錠を開けました。
 するとその中に扉の隙間に顔を押し当てながら死んでいるインジャン・ジョーが見つかりました。インジャン・ジョーは、落ちていた蝋燭や、蝙蝠を食べていたようでした。トムはインジャン・ジョーに同情するとともに、はじめて安心することができました。

財宝を見つけるトムとハックルベリー

 インジャン・ジョーは、洞窟の入り口近くに葬られました。その翌朝、トムはハックルベリーを人目につかないところに連れて行き、インジャン・ジョーの宝が、初めからあの旅館にはなく、洞窟の中にあったのだと言いました。ハックルベリーは半信半疑のまま、トムについて行きました。二人は、ほったらかしてあった小舟を見つけて乗り込み、河下の崖に登り、そこにあった穴から中に入りました。

 洞窟の中に入ると、トムは大きな岩の上に、蝋燭の油煙で書かれた十字架を見せました。

 二人は十字架の下を探し回り、岩の下に自然にできた狭い道を見つけました。その小道を進むと、宝の山がありました。二人はその宝を袋に入れて持ち出し、元の岸に戻り、手押し車を持ち出して宝の入った袋を乗せました。帰途、ウェールズ人の家のところまで来ると、ジョーンズが二人を見つけ、ダグラス未亡人の家に連れて行きました。そこには、サッチャー判事、ハーパー一家、ロジャース一家、ポリー伯母さん、シッドもメアリもいました。
 ダグラス未亡人は、二人のために綺麗な服を用意しており、二人は着替えてくるようにと言われました。

 ジョーンズはハックルベリーの手柄を皆の前で褒め称えました。ダグラス未亡人は、すでにシッドによってその話を聞いていましたが、まだその話を知らなかったふりをして、ハックルベリーを褒めちぎりました。
 ダグラス未亡人は、ハックルベリーを引き取って教育を受けさせ、財力に余裕ができたら商売をやらせるつもりだと言いました。トムは、ハックルベリーはお金持ちなんだと言いました。皆が冗談だと思いましたが、トムが宝の入った袋を持ってきて、その宝を手に入れた経緯を皆に話しました。その金貨は一万二千ドルもありました。
 トムとハックルベリーは、村中で噂の的となり、どこへ行っても称賛されました。

 ハックルベリーの金はダグラス未亡人が、トムの金はサッチャー判事が管理し、トムとハックルベリーは、一日一ドルという莫大な収入を得ることになりました。
 サッチャー判事は、娘を助けたトムに大いに感謝し、将来は法律家か軍人にさせるために士官学校と法律学校に入学させたいと言いました。
 ダグラス未亡人は、ハックルベリーに良い服を着せ、シーツの上で寝かせ、学校や教会に通わせました。これはハックルベリーにとって非常な苦痛でした。

 ある日、ハックルベリーは失踪しました。トムは屠畜場の空き樽の中にボロを着込んだハックルベリーを見つけました。ハックルベリーは、ダグラス未亡人に感謝しつつも、自由な生活ではなくなったことを嘆き、自分にはきちんとした生活を送ることができないと言って、帰るのを渋りました。

 トムは、山賊はどこの国でも身分の高い貴族で、それを理解していないハックルベリーを自分の山賊団に入れることはできないと言いました。ハックルベリーは、トムの仲間になれることを条件に、ひと月だけダグラス未亡人のところに帰って我慢してみることを決意しました。

 二人は皆を集め、山賊の結団式を行う約束をしました。