マーク・トウェイン『トム・ソーヤの冒険』の詳しい登場人物紹介

マーク・トウェイン作『トム・ソーヤの冒険』の登場人物を詳しく紹介するページです。

※ネタバレ内容を含みます。

※簡単な登場人物紹介、あらすじ、感想はこちら(『トム・ソーヤの冒険トップ』)

※『トム・ソーヤの冒険』の詳しいあらすじはこちら

トム・ソーヤ
ミシシッピ川沿いのセント・ピーターズバーグに住む少年。両親がおらず、母親の姉にあたるポリー伯母さんに養育されている。悪戯好きで、いつもポリー伯母さんの手を焼かせている。
学校ではエミー・ロレンスと恋に落ちていたが、新しく引っ越してきたベッキー・サッチャーに一目惚れし、授業中に石盤を使って告白する。その日の放課後に結婚の約束をするが、以前エミーとも婚約していたことを知られてしまい、喧嘩になる。
ある夜、猫の死体を墓場にいる悪魔に投げつけて疣を取ろうとするハックルベリー・フィンに同行し、夜中の墓場でインジャン・ジョーがロビンスン医師を殺害する現場を目撃する。
ベッキーと仲直りを果たせず、傷心しながら歩いている時に、同じように気落ちしている親友のジョー・ハーパーに会い、海賊になることを決心する。「カリブ海の恐怖の復讐者トム・ソーヤ」と名乗り、ハックルベリー・フィンを仲間に加え、ミシシッピ川の中にある無人島ジャクソン島に渡る。
無人島での生活を楽しんだ後、ジョーとハックルベリーが寝ている間に一度家に戻り、ポリー伯母さんとジョーの母親の会話を盗み聞き、行方不明になった自分たちの葬儀が行われる予定になっていることを知る。ジャクソン島に戻り、ジョーとハックルベリーに、自分たちの葬儀に現れるという計画を話し、それを実行に移す。
無人島で数日過ごしたことで学校の憧れの的となり、ベッキーが自分と仲直りしたいそぶりを見せると、以前傷つけられた復讐を果たすために、エミー・ロレンスと仲良くする様を見せつける。その後ベッキーと言い争いになって決裂するも、ドビンズ先生の解剖学の本を破ったベッキーの罪を庇い、仲直りする。
インジャン・ジョーによるロビンスン殺害を目撃したことを誰にも話さないとハックルベリーと誓い合うが、無実の罪を着せられたマフ・ポッターに同情し、弁護士に全ての事実を話し、公判の日に聴衆の前でそれを発表する。それ以来、逃げ出したインジャン・ジョーを恐れながら生活するようになる。
ハックルベリーを誘って幽霊屋敷と言われる廃屋に宝探しに出かけ、その屋敷に入ってきた二人の男のうちの一人が、聾唖のスペイン人に変装したインジャン・ジョーであることに気づく。インジャン・ジョーたちが屋敷の中に隠されていた宝を発見するのを覗き見ると、ハックルベリーと共にその宝を横取りする計画を立てる。
インジャン・ジョーが村の旅館に潜んでいることを突き止めると、部屋の中にあると思われる宝を盗み出すため、その旅館の前でインジャン・ジョーが出てくるのを見張ろうとする。
そのような中、学校中の子供たちが参加したピクニックで、ベッキーと二人で洞窟を探検している間に迷い込み、泣き喚くベッキーを勇気づけながら出口を探す。その途中で同じ洞窟をアジトに使っていたインジャン・ジョーの存在に気づき、洞窟内を探し回るうちに油煙で書かれた十字架の印を発見する。その後ミシシッピ川の河岸の岩の上に続く出口を発見し、憔悴するベッキーを連れて外へと抜け出す。
洞窟の中に閉じ込められたインジャン・ジョーが死んだことを知ると、ハックルベリーを連れて洞窟内の油煙で書かれた十字架の下を探り、隠されていた財宝を見つけ出す。
大金を得たことにより、サッチャー判事にそれを預け、一日一ドルを貰いながら裕福な生活を送るようになる。
ダグラス夫人に引き取られたハックルベリーが自由のない生活から逃亡すると、これから結成する山賊団に入団させることを約束し、ハックルベリーをダグラス夫人のところへ帰るように悟す。

ポリー伯母さん
死んだ母親の代わりにトムを養育している。トムのことを深く愛しながらも手を焼いており、悪戯をされる度にお仕置きをしている。しかし死んだ妹の息子であるトムに鞭を当てたり罰の仕事をさせなければならないことに心を痛めている。
ペンキ塗りの仕事をトムが他の少年にさせたことに気づかずに遊びに行くのを許すなど、仕事や勉強から免れたいトムにいつも騙され、隙を見ては逃げられている。一方で、トムのことを必要以上に疑う癖があり、シッドが砂糖壺を割ったのをトムの仕業だと思い込んだり、無人島生活の間、自分のことを考えていたというトムの言ったことを嘘だと考える。またトムが仮病を使った時など、嘘を見破ることもある。
健康雑誌やいかがわしい占い師に金を惜しみなく使い、トムがベッキーに会えずに無気力になると、鎮痛用のアルコール「ペインキラー」のことを知り、トムに飲ませる。
トムが無人島での生活を始めたために失踪すると、心から心配して祈りを捧げ、トムが自分の葬儀に現れると喜び、家出をした罪を許す。トムがベッキーと共に洞窟に迷い込んで再び姿を消すと、心配で髪が白くなるほど心を痛める。
インジャン・ジョーが隠していた財宝をトムが見つけると、その金の管理をサッチャー判事に依頼する。


ハックルベリー・フィン
村の浮浪児。大酒飲みのせがれ。怠け者で乱暴で下品でたちの悪い子供だったのにも関わらず、その自由な生活により、村の子供達の尊敬を集めている。
夜中の墓場に悪人の死体を奪いに来る悪魔に猫の死体を投げつけ、呪文を唱えると疣が取れるという迷信を信じ、夜中トムとともに墓場へ行く。そこでインジャン・ジョーがロビンスン医師を殺害する現場を目撃する。
海賊になろうとするトムとジョーに呼ばれ、「人殺しのハック・フィン」と名乗って無人島へ出かける。無人島生活の初日からぐっすりと眠り、トムとジョーにタバコを教える。行方不明になっていた自分たちの葬儀に参加しようというトムの提案に乗り、それを実行に移す。
その後宗教復興運動により、聖書を読もうと試みるが、すぐにやめて元の怠惰な生活に戻る。
トムに誘われて幽霊屋敷に宝探しに出かけ、その屋敷に訪れた二人の男のうちの一人が、聾唖のスペイン人のふりをしていたインジャン・ジョーであることに気づく。そしてその幽霊屋敷の中でインジャン・ジョーとその相棒が隠されていた宝を発見するのを覗き見ると、トムと共にその宝を横取りする計画を立てる。
インジャン・ジョーが村の旅館に潜んでいることを突き止めると、その旅館の入り口を見張り、中からでてきたインジャン・ジョーたちの後をつける。そして会話を盗み聞き、インジャン・ジョーが、恨みを持っているダグラス未亡人の鼻を削ごうとしていることを知る。
震え上がってウェールズ人の老人ジョーンズの家に逃げ込み、事情を話してダグラス未亡人の身を守ってもらい、その後しばらく熱に浮かされる。
回復後、トムに連れ出されてインジャン・ジョーのアジトであった洞窟を探り、莫大な財宝を手に入れる。
自分の身を助けたと知ったダグラス未亡人により養育されることとなり、綺麗な服を着て学校へ通うこととなるが、その窮屈な生活に耐えきれずに逃げ出し、空樽の中に生活しているところをトムに見つけられる。帰るのを渋っていたが、トムに説得され、これから結団する山賊団に入団させてもらう約束と引き換えに、ダグラス未亡人の元へと帰る。

ジョー・ハーパー
トムと同じ学校に通う親友。妹(スージー)がいる。戦争ごっこやダニをいじめたりしていつもトムと遊んでいる。
クリームを舐めたという無実の罪を母親から着せられて町を歩いている時に、同じように傷心しながら歩いているトムと会うと、兄弟となる誓いを立て、海賊になるために「海の略奪者ジョー・ハーパー」を名乗り、ハックルベリーを呼んで無人島のジャクソン島へと渡る。数日間が経つとホームシックになるが、自分たちの葬儀に現れようというトムの悪戯に乗るために無人島に残る。
宗教復興運動により、聖書を読もうと試みるが、すぐにやめて元の怠惰な生活に戻る。

ベッキー・サッチャー
金髪で青い目をした、可愛らしい少女。コンスタンチノープルに両親がおり、父親は郡の主席判事。父の弟であるサッチャー弁護士の家に一人で引っ越してきて、通りがかったトムに三色すみれを投げて魅了する。
学校に通うようになると、その初日のうちにトムから結婚の約束を申し込まれる。その告白に始めは喜んでいたものの、以前トムがエミー・ロレンスとも婚約をしていたことを知って傷つき、絶交状態となる。
トムが無人島生活から帰ってきて校内の英雄になると、気を引こうとしてピクニックの予定を立てる。しかしトムに無視され、復讐のため、きざな転校生アルフレッド・テンプルと親しくする。
ドビンズ先生の解剖学の本を誤って破るのをトムに目撃されると、トムが自分の悪事を言いふらすと思いこんで恐れる。しかしトムが自分の罪をかぶって本を破いたと申し出たため、感謝と賞賛の念で満たされ、涙に暮れながら仲直りを果たす。
校内の生徒たちを呼んでピクニックを主催し、トムと共に洞窟を探検して道に迷う。泣きながら途方もない時間を歩き回り、蝋燭の火が尽きると絶望し、それ以上歩くことができなくなる。
四日目の夜、トムが見つけ出した河岸の岩の上の穴から這い出し、近くを通りががった船に救助される。その後の五日間を部屋から出られず、その後もやつれた様子を見せる。

シッド
トムの腹違いの弟。冒険に興味がなく、他人に厄介をかけることがない。ポリー伯母さんが騙されるトムの嘘をよく見破り、そのためにトムに酷い目に遭わされることが多い。

メアリ
トムの従姉。優等生で、聖句を暗唱するともらえる聖書を二冊も持っている。トムに対しては、聖書を暗記するとナイフを与えてやったり、日曜学校のために良い服を着せてやったりと、可愛がっている様子。

ジム
ポリー伯母さんの家の黒人の使用人。

インジャン・ジョー
村に住み着くインディアン。医師ロビンスンに依頼された死体暴きをマフ・ポッターとともに行い、その死体の運搬料として予定より多くの金銭を巻き上げようとしてロビンスンと争いとなる。マフ・ポッターが気絶している間にロビンスンを殺害し、ポッターに凶器のナイフを持たせて意識のない間に犯行を行ったと思い込ませ、自分の犯した罪を着せる。
その翌日、何食わぬ顔をしてロビンスンの死体の前に現れ、マフ・ポッターが犯人であると証言する。
公判にも姿を見せるが、自分が犯人であるとトムが証言したため逃げ出し、しばらく姿をくらます。
聾唖のスペイン人のふりをして村に再び現れるようになり、テキサスに逃れるつもりで、相棒の男と共に悪事を働いていた。金の隠し場所にしていた幽霊屋敷の床下に埋まっていた財宝を発見し、それを「二号」と呼ばれる場所に隠す。
村の旅館に泊まっているところをトムとハックルベリーに発見され、相棒と共に外へ出たところをハックルベリーにつけられる。
以前ダグラス未亡人の夫に不労罪で捕まり、衆人の前で鞭打たれたことを恨みに持っていて、ダグラス未亡人の鼻を削いで復讐しようとしている。その話を盗み聞いたハックルベリーが助けを求めたウェールズ人の親子によって襲撃され、逃亡する。
宝の隠し場所にしていた洞窟に潜んでいたが、トムとベッキーが迷い込んだことがきっかけで、その洞窟が塞がれたため、外に出ることができず、飢死しているところを発見される。

マフ・ポッター
村の酔っ払いの老人。酔っ払う金を稼ぐために釣りをしてうろつくだけの男。医師ロビンスンによって依頼された死体暴きを行うため、インジャン・ジョーとともに夜中の墓場に現れる。インジャン・ジョーのふっかけた料金のことでもめたロビンスンと取っ組み合いになり、墓標で殴られて気絶する。その間にインジャン・ジョーがロビンスンを殺し、狂気となったナイフを手に握らされ、意識のない間にロビンスンを殺してしまったのだと思い込まされる。
その翌日、自分でもよくわからないまま、ロビンスンの死体を見に現れて捕らえられる。
事件の真相を知っているトムとハックルベリーに深く同情され、牢屋越しにタバコなどを貰っては、酒に飲まれないようにと忠告する。
公判の日に、インジャン・ジョーが真犯人であることをトムが証言し、解放される。

ロビンスン
村の医師。インジャン・ジョーとマフ・ポッターに死体暴きを依頼する。墓場で死体を取り出した後で、予定よりも多くの金を要求されて揉み合いになり、インジャン・ジョーに胸を刺されて死亡する。

ベン・ロジャース
トムの友人。仕事を楽しんでいるかのようなトムの演技に騙されてペンキ塗りに魅了され、自分の持っている林檎を差し出して、ペンキ塗りをトムの代わりに行う。

エミー・ロレンス
トムがベッキーに一目惚れするまで、恋に落ちていた少女。以前婚約までしたトムがベッキーに惚れ込んでいることに気づき、憎しみを感じる。

ジェフ・サッチャー
村の弁護士の息子。ベッキーの従兄弟。のんびりとした性格。

アルフレッド・テンプル
セント・ルイスからやってきた、良い服を着たキザな同級生。ベッキーから親しげに話しかけられるが、それがトムの嫉妬を煽るためであったことに気づいて逆恨みし、トムの綴り字帳にインキをこぼす。

ウォルターズ先生
トムの学校の校長先生。三十四、五歳の、痩せて山羊髭を生やした、風采も心も誠実な人物。日曜学校で型にはまった短い説教をする。

ドビンズ先生
医者になる夢を持っていたが、貧乏のため、村の学校の教師になることしかできなかった。生徒に鞭を当てることが多いため、恨まれている。生徒たちの悪戯により、学芸会で天井から吊り下げられた猫にかつらを取られ、頭には金箔が塗られていたため、皆の笑い者になる。
授業中の暇のときに読んでいた解剖学の本をベッキーによって破られる。犯人探しを行なうため、その本を破ったかどうかを一人一人の生徒に聞いてまわり、ベッキーをかばって名乗りを上げたトムに鞭を当てる。

ダグラス未亡人
丘の上の豪華な邸宅に住む四十歳の美しくて裕福な未亡人。村の子供が家に来るとアイスクリームを出す。判事であった亡き夫がインジャン・ジョーを不労罪で捕らえたことがあったため、逆恨みを受けていた。
インジャン・ジョーから危険な目に遭わされそうになっていたが、そのことを知ったハックルベリーがジョーンズに助けを求めたため、ジョーンズがインジャン・ジョーを追い払い、襲撃を免れる。
後にハックルベリーが自分の恩人であったことを知り、引き取って養育することを決める。

ジョーンズ
ダグラス未亡人の家の近くに住む、ウェールズ人の老人。
インジャン・ジョーらがダグラス未亡人を襲撃しようとしていることを、家に逃げて込んできたハックルベリーによって知り、息子と共に救助に向かう。
ハックルベリーの身を守るため、事件を未然に防いだ者として名前を出すことを控えていたが、インジャン・ジョーの死後、皆の前でその功績を讃え、これがきっかけとなってダグラス未亡人がハックルベリーを養育することとなる。