マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』の詳しいあらすじ

マーク・トウェイン作『ハックルベリー・フィンの冒険』の詳しいあらすじを紹介するページです。

※『ハックルベリー・フィンの冒険』の詳しい登場人物紹介はこちら

※もう少し簡単なあらすじ、登場人物紹介、管理人の感想はこちら

ハックルベリィ・フィンの冒険 (新潮文庫)

トム・ソーヤ団の結成

 マーク・トウェインというおじさんが書いた『トム・ソーヤの冒険』で、ハックルベリー・フィンとトム・ソーヤは、泥棒たちが洞穴に隠した金を発見し、六千ドルずつを分け合いました。ハックはその金を判事のサッチャーに預け、一日に一ドルずつもらうことになりました。町に住む未亡人ダグラスの養子になったハックでしたが、上品な生活に嫌気がさし、家を出て砂糖の空き樽を住処にしてボロを着込み、楽々と暮らしました。それをトム・ソーヤが見つけ出し、ダグラス未亡人のところへ戻るなら、これから作る海賊団に入れてやると言いました。
 家に戻ると、勉強と禁煙と窮屈な生活が再び始まりました。ダグラスの妹のワトソン嬢からは厳しいしつけを受けました。ハックは彼女たちが信仰する神を、どうしても信じることができませんでした。
 ハックは夜中にトムに呼ばれ、友人を誘って川下の洞穴を発見して中に入り、「トム・ソーヤ団」という盗賊団を組織しました。
 「トム・ソーヤ団」は、海賊の本からの受け売りで、もし団員が秘密を漏らしたら、その家族を殺すという誓約を作りました。ハックには家族はいませんでしたが、ワトソン嬢を提供することで仲間に入ることができました。
 トム・ソーヤ団はひと月ほど盗賊ごっこをしていましたが、そのうちに皆がその遊びに飽きていきました。

父親との生活

 三、四ヶ月がたち、ハックは読み書きと九九がほんの少しできるようになりました。学校はたまにサボることはあっても段々と慣れてきました。寒くないときは森で眠りましたが、ベッドで眠ることにも慣れてきました。
 ある日ハックが自分の部屋に上がっていくと、そこには一年間姿をくらましていた父親がいました。皮なめし工場で豚と一緒に寝ている父親は、ハックが奇麗な格好をし、読み書きができるようになったことで、ひどい目に合わせてやると言いました。父親はハックに学校をやめるように命令し、せびった金で酒を飲みにいきました。
 翌日、父親は酔っ払ってサッチャー判事のところへ行き、ハックの金を引き出そうとし、彼らを訴えると脅しました。判事とダグラス未亡人は訴訟を起こしましたが、新任の裁判所の判事は、ハックの父親を知らなかったので、父子を離れ離れにしてはならないと言い、サッチャー判事とダグラス未亡人はこの件から手を引くよりありませんでした。
 それを知った父親は喜び、ハックが学校に行くと叩き、ハックの家の周りをうろついては金を取り、酔っ払って騒ぎを起こしては牢に入れられるのを繰り返しました。それを見かねたダグラス未亡人が、このままだとただではおかないと言うと、父親は怒ってハックを待ち伏せして捕まえ、上流の岸辺にある丸太小屋に連れて行きました。ハックたちはそこで釣りや猟をして暮らし始めました。父親は酔うとハックを殴りましたが、ハックはその生活に慣れ、一日中のんびりとくらす生活を愉快に感じました。
 しかし殴られるのが頻繁になり、家に鍵をかけられたまま三日も監禁される日が続くと、ハックはこの生活からも逃れたいと思うようになりました。行儀よく躾けられる生活に戻るのも嫌だと思っていたハックは、一人で逃げようとして、テーブルの後ろにある壁の丸太の一部をくり抜く作業に取り掛かりました。
酒に酔った父親が帰ってくると、幻覚を見て喚き叫び、ハックのことを殺そうとしてナイフで追い回しました。再び寝込んだ父親に、ハックは銃口を向けました。
 そのまま眠ってしまったハックは、正気に戻った父親に起こされ、魚が糸にかかっているか見てこいと言われて川へと向かいました。増水した川にカヌーが流れてきたので、ハックは泳いでそのカヌーを手に入れて隠し、父親がいない隙を見て生活に必要なものを持ち出し、くり抜いた壁から抜け出しました。そして逃げ出した豚を射止め、家の戸を叩いて壊し、豚の喉を突き、石を詰めた袋を豚のところから川まで引きずって沈め、豚の死体を回収して、自分が何者かの侵入者に殺されて川へ引きづり落とされたように見せかけました。
 ハックはカヌーに乗り込み、帰ってきた父親にあやうく見つかりそうになりながらも逃げだすことに成功しました。

ジムとの再会

 ハックは川の中にあるジャクソン島に着き、岸に上がって森の中で眠りました。
 町の皆は大砲を撃ってハックの死体を浮かび上がらせようとしているようでした。ハックはそれを森の茂みから観察し、見つからないように魚を釣って、煙草を吸いながら三日三晩暮らしました。
 四日目になり、退屈しのぎに島の中を歩き始めると、ハックはまだ燻っている焚き火に足を突っ込みました。自分の他にこの島にいる者がいることを知り、ハックは恐れながらも、それが誰なのかを突き止める決心をしました。しばらくしてから焚き火のほうへとしのんで行くと、そこにいたのはワトソン嬢の所有する黒人のジムでした。ジムはハックのことを幽霊だと思って怯えましたが、そのうちに落ち着きを取り戻しました。ジムは、ワトソン嬢が自分をオーリアンズに売ろうとしている話を聞いて逃げ出し、流れてくる筏に捕まり、乗員に見つかりそうになると川を泳いでこの島にやってきたようです。
 ジムとハックは島を探検し、頂上の近くに岩穴を見つけ、そこに潜むことにしました。そのうちに豪雨となり、川の水が増してくると、木造の家が流れてきました。カヌーで漕ぎ寄せて中を覗くと、背中を撃たれて二、三日経ったと思われる男が横たわっていました。ジムはハックにその男の顔を見せませんでした。二人はその家の中から様々なものを持ち出し、かなりの物を手に入れました。
 ハックはその中にあった服で女装をして、街へ出ることにしました。街に着くと、知らない四十歳くらいの女が空き家になっていた小屋にいるのを見つけ、ハックは戸を叩きました。
 ハックはセイラ・ウィリアムズと自己紹介しました。女はこの街へ来たばかりでしたが、トムとハックが一万二千ドルを見つけたことや、ハックが殺されたと言われていることを知っていました。その女によると、ハックが殺された晩からジムがいなくなったので、ジムに疑いがかけられ、三百ドルの懸賞金がかけられているということでした。ハックの父親もまた嫌疑がかけられていましたが、ジムを探すためと言ってサッチャー判事から金をせびり、その金で飲み歩き、いなくなったようでした。父親はハックがいなくなって一年が経てば、金が自分のものになるので、その頃になれば出てくるだろうと言われていました。女の夫は、懸賞金のためにジムを探しにジャクソン島へと渡ることにしているようでした。
 女はハックが男の子であることを見破りました。ハックは、両親と死に別れ、自分を引き取った農夫に酷い扱いを受けたので女装して逃げてきたと嘘を重ね、一目散にジムのところへ戻り、追っ手が迫っていることを伝えました。

難破船に乗り込む

 二人は筏に乗って島から抜け出しました。数日間川を下り続けると、嵐の川に横たわる難破船を見つけたので、こっそりと乗り込みました。その中では、手足を縛られた男が、二人の男にピストルを突きつけられていました。ハックは彼らの話を盗み聞きしました。ピストルを突き付けている二人はビルとジェークという男で、縛られているのがジム・ターナーという男でした。ジム・ターナーは二人を裏切り、盗んだ品を独り占めしようとして縛られたようでした。二人はジム・ターナーを沈みゆく船に乗せたまま見殺しにするつもりでした。
 ハックはこの船の金品を奪い、小舟を盗み出し、三人の悪党をまとめて懲らしめようとしました。しかし、船から品物を盗んでいると、自分たちの筏が流されてしまったため、ハックとジムは大慌てで難破船の中にある小舟を見つけ、それを奪って逃げだしました。
 三人の悪漢たちを気の毒に思ったハックは、大型の渡し舟に乗り込み、難破船に有力者が乗っているので、助ければ賞金が出ると船の番人に言って難破船に向かわせました。
 難破船から盗んだ品により、ハックとジムは豊かになりました。

グレンジャーフォード家との出会い

 ハックとジムは奴隷制を廃止した州にあるカイロを目指しました。ハックは黒人奴隷であるジムの逃亡を助けていることに良心の呵責を感じていました。そのうちにジムは、自由州に着いたら、金を貯めて妻と子供を買い取るか、奴隷廃止論者に子供をさらってもらうことを計画していると言い始めました。黒人の考え方に嫌気がさしたハックは、ジムを訴えようかと考えましたが、結局それを行うことはありませんでした。
 いつのまにか、二人の目指していた自由州のカイロは通り過ぎてしまったようでした。さらに運の悪いことに、カヌーが流されて川を上る手段を失ったうえ、巨大な蒸気船がハックたちの乗っている筏に衝突し、粉砕してしまいました。ハックはジムとはぐれ、岸へと泳いで土手をよじ登り、二棟造りの家へとやってきました。
 その家の人々は、獰猛な犬を飼い、ハックに銃を突きつけました。しかし、ハックがジョージ・ジャクソンと名乗り、敵対するシェファードソンの一味ではないとわかると、着替えをさせ、美味しい食べ物を分けてくれました。ハックは、無一文で家族もいない独り者で、船で遡ってきた途中で川に落ちてここまで来たと、皆に嘘をつきました。
 この家族はグレンジャーフォードという由緒正しい家柄でしたが、近所に住むシェファードソン一家と敵対関係にあるようでした。二つの家族は同じ船着場を使っており、互いに互いの家族の命を狙っていました。
 この家族の一員の、ハックと同じ年頃の少年バックになぜそのようなことをするのかと聞くと、「宿恨」のためだと答えました。しかし両家の間に事が起こったのは遠い昔のことで、宿恨がなんであるのかバック自身も知らないようでした。
 一家は日曜になると教会へ行きました。二十歳になる美しい娘のソフィアが、教会に聖書を忘れたので取りに行って欲しいとハックに頼みました。ハックは聖書を取りに行き、その中に二時半と書かれたメモを見つけました。ハックはそのメモを再び聖書の中に戻し、ソフィアに返しました。ソフィアはそれを読むとたちまち嬉しそうな顔になりました。
 それからハックは、自分に付いた黒人に案内され、ジムと再会しました。ジムは蒸気船に衝突されたあと、森の中に住み、黒人たちが見つけた筏を直していました。
 翌日ハックが目を覚ますと、ソフィアとシェファードソン家の若者が駆け落ちをしていました。二人は無事に川を渡ったようでしたが、両家の間に戦闘が起こり、何人かが死にました。その中にはバックも含まれており、ハックはその顔に布を被せて泣きました。
 ハックは急いでジムと落ち合い、再び筏に乗って川を下りました。

公爵と王様との出会い

 二、三日間、ハックとジムは昼は隠れ、夜になると暗闇に紛れて進みました。
ある朝、カヌーを見つけたハックが岸へと渡ると、二人の男が駆けてきて助けを求めました。男たちは何もしていないのに追いかけられていると言います。ハックは、川の水に入って犬から匂いをくらます方法を二人に教えました。彼らはその通りにし、無事追手をやり過ごしました。
 男の一人は七十才くらいの老人で、禁酒復活運動をやっていたところで、自分が人目を盗んで飲んでいるという噂が広まり、追われてきたと言います。もう一人の三十歳くらいの男は、町で質の悪い薬を売っていたところに、逃げてきたその老人に助けを求められ、一緒に来たようでした。若い方の男は、もと公爵だったと言って、落ちぶれた自分を憂いました。ハックとジムはひどく同情し、その男を閣下と呼んで世話をしました。
 公爵が大事にされているのにいい気持ちがしなかった老人は、自分は元フランス皇子ドーフィンだと言い始めました。ハックとジムは彼のことを陛下と呼び、命令に従いました。
 彼らが公爵でも陛下でもないことを、ハックはまもなく見破りましたが、筏のなかの平穏を守るために、気づかないふりをしました。
 ジムが逃亡中の黒人であることを知られないように、ハックは家族を失って農場を持っている叔父のところへ行く途中であると嘘をつき、ジムは使用人であると二人に説明しました。

公爵と王様による寸劇

 公爵と王様は儲ける策をめぐらし、村に行って、「リチャード三世」の剣劇や「ロミオとジュリエット」の寸劇をやろうと言い始めました。公爵はロミオになり、王様は長い木綿の寝間着と、装飾のあるナイトキャップを使い、ジュリエットの役をすることになりました。一同はジムを隠し、ある貧弱な街へ着きました。町は静まり返っていました。皆が野外集会へ出かけたのだと聞いたハックたちは、そこへ出かけて行って寸劇を行おうと画策しました。
 そこには二十マイル四方から千人ほどの人が来ていました。王様はある小屋に入って壇の上に上がり、自分は海賊であったが、今は生まれ変わった人間であり、インド洋の海賊たちを真人間にしたいと思っており、そのためには資金が必要だと言って聴衆を感動させ、かなりの大金を集めました。
 公爵は印刷屋に掛け合って、百姓相手に馬の広告を作り、少しばかり稼いでいました。それからジムの人相を書いた広告を作り、ジムを捉えて送り返した人に賞金を与えると添えました。その広告は、自分たちが昼間でも筏を使えるように、誰かが筏に乗っている自分たちの姿を見たら、ジムの手足を縛ってそのビラを見せ、賞金をもらいに行くところだと主張するためのものでした。ジムは二人が王様と公爵だというのを、まだ信じているようでした。
 公爵と王様は、ロミオとジュリエットや剣劇の練習を始め、アーカンソー州の小さな片田舎の街に着くと、ビラを貼ってまわりました。その日はその町でサーカスが開かれることになっており、二人はその後に芝居を行おうと話しました。
 ホッグズという男が、酔ってシャーバン大佐という男に喧嘩をふっかけていました。シャーバン大佐はピストルを持ち出してボッグズを撃ちました。ボッグズには十六歳くらいの娘がいました。人々はシャーバンを私刑にしろと言いだし、一同は首締め用の物干し綱を持ち出してシャーバンの家へと押しかけました。シャーバンは南部の生まれでしたが、北部で育った人間でした。彼は南部の人間の臆病なことを馬鹿にして、銃を向けると、人々は散り散りになって逃げていきました。
 その晩、大賑わいだったサーカスの後で王様と公爵は芝居をしましたが、客は十二人しか入らず、しかも皆が芝居の途中で帰りました。そこで公爵は次の劇のビラに「婦人と子供の入場を禁ず」と書きました。その夜の芝居小屋はすし詰めとなりました。
 幕が開くと、体中を鮮やかな模様で描いた裸の王様が四つん這いになってあらわれ、飛んだり跳ねたりました。観客たちは大笑いしましたが、出し物がこれだけだと聞き、皆は一杯食わされたと思いました。
 大騒動が起きそうになりましたが、ある判事が、町に行ってこの芝居を皆の前で褒め、自分たちと同じ目に合わせてやろうとしました。それにより、二日目も王様と公爵は聴衆を騙すことができました。
 三日目も満員になりましたが、王様と公爵が自分たちを騙そうとしていることを知っている客たちは、腐った卵やキャベツを投げつけるために劇場へ訪れていました。一同は逃げ、再び筏へと戻りました。
 ジムは、逃げ出した黒人奴隷に見えるように、昼間は筏で縛られていました。しかしそれはジムにとっては辛いことであったので、公爵はジムの体を鈍い青色で塗りつぶして病気のアラビア人に見せかけ、もし誰かが訪ねてきても、その姿に怖気付くようにしました。

ウィルクス一家との出会い

 王様は出来合い服を身につけ、ハックを召使いの役にさせて、田舎の若者から、ある家族の話を聞きました。その家族の一員であるピーター・ウィルクスが、昨夜死んだそうです。ピーターはイギリスから弟のジョージを連れてアメリカへ移住してきました。ジョージには十九歳のメアリ・ジェーン、十五歳のスーザン、十四歳のジョアンナがいます。しかしジョージも昨年死んだため、娘たちは取り残されていました。ピーターにはイギリスに残してきた兄弟のハーヴェイとウィリアムがいました。ハーヴェイはイギリスで牧師をしており、ウィリアムは聾唖でした。
 昨夜死んだピーターは、ハーヴェイに金の隠し場所を書いた手紙を残したと言います。
 王様は公爵に事の成り行きを話し、王様はハーヴェイのふりを、公爵は聾唖のウィリアムの真似をすることにしました。ハックは召使いの役をやらされました。二人は村に着くと、ピーターが死んだことを嘆き、泣き始めました。
 メアリ・ジェーンとジョアンナは、二人をハーヴェイとウィリアムだと信じ込み、公爵と王様に抱きつきました。公爵と王様は、ピーターの遺体を見て大声で泣き出しました。それは群衆の胸を尽きました。王様は、若者に聞いた話を、ピーターからの手紙に書いてあったと偽って群衆の前で話し、自分たちがピーターの兄弟であることを信じ込ませました。
 メアリ・ジェーンは、ピーターが残した手紙を持ってきました。それによると、自分の財産をハーヴェイとウィリアムに与えると書いてありました。
ハックたちが穴蔵へ行くと、そこには大量の金貨がありました。王様は、皆の前でその金を数え、演説をぶって、その金の一部を娘さんたちにやろうと言いました。娘たちは二人に抱きつき、周囲の人々は王様と公爵のことを褒め称えました。
 ただ一人、ロビンソンという医師だけは、二人の英国訛りが下手だと言って、イカサマ師であることを見破りました。しかし皆が王様のことを信じていたため、ロビンソンの意見は黙殺されました。
 その夜は大掛かりな晩餐が開かれました。ジョアンナはハックにイギリスのことを聞き、ハックはうまく答えられず、怪しまれました。メアリ・ジェーンとスーザンは、ハックのことを疑うジョアンナのことを叱ったため、ジョアンナは泣いてハックに謝りました。ハックは罪悪感にかられ、王様と公爵から金を奪おうと画策しました。
 ハックは王様の部屋に行き、二人の話を隠れて聞きました。公爵はロビンソン医師に恐れをなし、すぐに金を持って逃げようとしていましたが、王様はメアリ・ジェーンたちの財産を売り払い、それを受け取るまでは逃げ出さないと主張しました。ハックは、部屋の中にある金貨を見つけ出し、二人がいないすきに自分の部屋に持ち運びました。それから夜遅くまで待ち、それを外へ運び出そうとしました。
 ハックは階下に降り、ピーターの遺体がある部屋に入りました。しかし遺体を見にメアリ・ジェーンが入ってきたので、ハックは棺桶の中へ金貨を隠し、客間に駆け込みました。ハックにはもう棺桶の中から金貨を取り出す勇気がありませんでした。
 翌朝、葬儀屋が棺桶の蓋を釘で塞いでしまったため、ハックはその棺桶の中にまだ金貨が残っているのか、誰かが持ち去ったあとだったのか、わからなくなりました。
 埋葬が終わると、王様は娘たちをイギリスに一緒に連れて行き、不自由ない暮らしをさせるつもりだと嘘をつきました。娘たちは大喜びで、この家の財産をすべて売り払うことに同意しました。
 競売日当日になると、王様は金貨がなくなっていることに気づき、ハックは怪しまれました。ハックは、売り払われた黒人が王様の部屋に入っていったのを見たと嘘をつき、難を逃れました。
 売り払われた黒人の親子が離れ離れになったことをメアリ・ジェーンが悲しんでいたので、詐欺が発覚すればその売り立てが無効になることを知っていたハックは、その親子が二週間以内に会えると伝えてしまいました。メアリ・ジェーンは喜びながらも、なぜなのかと聞いてきたので、ハックは王様と公爵が詐欺師であることを伝えました。
 ハックは真実を知ったメアリ・ジェーンが、王様と公爵相手に怒りの感情を見せないように、町から離れたところへ行かせました。
 競売が始まり、墓地にある小さな土地以外は全て売り尽くされました。
 人柄の良い老紳士と、右腕に吊り包帯をしている啞の若い紳士がやってきました。それは本物のハーヴェイとウィリアムでした。
 レヴィ・ベルという蒸気船から降りたばかりの弁護士の男と、頑丈な大男のハインズがやってきました。二人は王様と公爵が偽物だということを見破っていました。ハインズは、王様と公爵とハックが、ティム・コリンズという少年とカヌーに乗っていたのを家の近くで見たと言いました。ティムは王様にウィルクス家の状況を知らせた少年でした。ハインズの主張は、蒸気船で来たという王様の主張と食い違っていました。レヴィ・ベルはピーターの友達でしたが、王様にサインをさせ、その筆跡がハーヴェイからの手紙と合わないと指摘しました。
 人々は、王様と公爵を疑い始め、新しく来た本物のハーヴェイと王様を対決させ、どちらが本物のハーヴェイなのか確かめるために各々の証言を集め始めました。本物のハーヴェイはピーター・ウィルクスの胸にある刺青が何であるかを当てろと王様に言いました。それを知らない王様が適当に答えると、皆がピーター・ウィルクスの墓を掘り出して、刺青を見ようと言い始めました。
 棺桶の中の遺体の胸の上に金貨の袋がおいているのに皆が気づくと、ハックは嵐の中、隙を見て逃げ出し、筏へとたどり着き、体中にペイントのあるジムと再会しました。
 ハックとジムは急いで筏を出しましたが、王様と公爵が舟で二人を追ってきて、追いつかれてしまいました。
 王様は筏に乗り込むと、ハックが逃げようとしたことに怒り、小突き回しました。ハックは墓場にいた人に逃げるように言われたと嘘をつき、難を逃れました。
 王様と公爵は、金貨の袋を墓の中に隠したのがお互いだと疑い、二人の間に諍いが生じました。しかし二人は憂さ晴らしのために酒を飲み始め、間もなく仲直りをして眠ってしまいました。ハックはジムにこれまでのいきさつを話しました。
 一行は南部へと川を下り、王様と公爵は再び着いた村々で様々なことに手を出しては追い出されるという生活を送りました。

トムとの再会

 王様と公爵は二人で声をひそめて話し合うことが多くなり、ハックとジムは彼らが悪巧みをしているのだろうと考え、二人を置き去りにしようと考えました。
 ある日、パイクスビルという小さな村で王様が先に上陸し、そのまま酒を飲んで酔っ払っていました。それを咎めた公爵と王様の間に諍いが起きたので、ハックはこの隙にジムを連れて出発しようと思いました。ところが筏にはジムはいませんでした。ある少年に聞くと、ジムは公爵と王様によってサイラス・フェルプスという人のところへ売られてしまったようでした。それを聞いたハックは、ジムを盗み出すことを決心しました。
 ハックは店で買った洋服を着込み、町へ入りました。すると公爵が再び寸劇をやろうとしてビラを張っていました。公爵は、ジムを売ったことをハックに隠すため、嘘の居場所をハックに伝えました。ハックはそこに出かけると言って、自由になりました。
 ハックはフェルプス家の農場へとやってきました。白人の女が出てきて、久々に訪ねてくる予定であった甥のトムだと勘違いしたため、ハックもそのトムであるというふりをしました。白人の女はサリーという名前でした。サリーの夫のフェルプス氏が帰ってきました。ハックは、二人の会話から、この家の甥のトムとは、偶然にもトム・ソーヤであることに気づきました。
 ハックはトムを待ち伏せし、自分がトムのふりをしていることを話しました。ハックが殺されたと思っていたトムはとても喜び、ジムの奪還に協力を申し出てくれました。ハックは、トムが黒人を助けるという不名誉を背負うのを心配しましたが、トムはジムを助けることに迷いはありませんでした。
 トムは、トムの弟のシッドと名乗り、フェルプス夫妻に歓迎されました。ジムの居場所はまだわかりませんでしたが、彼は王様と公爵のイカサマ芝居のことをフェルプス伯父さんに話したようでした。人々は王様と公爵を捕らえ、タール羽の刑に処しました。

ジムの奪還

 トムとハックはジムが小屋の中にいることを突き止めました。ハックが立てた計画は、夜叔父さんが寝た後でジムを助け出して筏で川を下っていくというものでしたが、トムが立てた計画は、その何倍にも楽しいものでした。
 それは、ジムを脱獄囚に、自分たちをその共犯者に仕立て上げようというものでした。脱獄の本を読んでいたトムによると、脱獄は、何十年もかけて鞘入りナイフで壁を掘ったり、敷布を裂いて拵えた縄梯子を使って行われなければらないようです。囚人は、自分の足が繋がれている寝台の脚を挽き切り、証拠が残らないように鋸屑を食べてしまわなければなりません。そして、自分の居場所を知らせるためにブリキの皿にフォークでメッセージを書いて外へ放り投げ、真鍮の燭台を削ってペンを作り、自分の血でシャツに日記を書き、牢の中の動物と仲良くなって、植物を涙で育てなければなりませんでした。
 二人は、ジムに食物を運ぶ黒人と近づき、簡単にジムに会うことができましたが、ジムをすぐに逃すのではなく、正式な脱獄の方法を教えました。
 二人は鶴嘴を鞘入りナイフということにして、小屋の下をどんどんと掘り、三十七年かけて穴を開けたことにしました。
 ジムはすぐに逃げ出せる状況になりました。しかしトムは正式な脱獄にこだわり、ジムに食料を運ぶ黒人の荷物の中や、叔父さんのポケットや叔母さんのエプロンの紐に、脱走するための品物を家から盗んでしのばせるので、それらをこっそりと取るようにとジムを説得しました。ジムはそれらを馬鹿げたことと考えたようでしたが、トムに説得されて納得しました。
 サリー叔母さんは、サイラス叔父さんのシャツや匙や蝋燭や敷布や蝋燭の燭台がなくなっていることに気づき始めました。ハックはこっそり匙や敷布を返したり盗んだりするたびに数を数えさせ、叔母さんを混乱させて難を逃れました。
 ハックとトムは敷布を破いて撚りあわせて縄をこしらえ、その作業が九ヶ月かかったことにしました。そしてその縄を大きなパイにいれてジムに届けさせました。
 ジムは、ハックとトムが盗んできた丸砥石で真鍮の燭台を削り、ペンを作りました。トムは、「囚われし者の胸はここに裂けたり」という文句を壁に書き込むようにジムに命令しました。
 さらにジムは鼠やシマヘビを飼わせられ、植物を涙で育てるように言われました。ジムは囚人というものの面倒くささに嫌気がさし、文句を言いましたが、トムが怒ったため、大人しく従わざるをえませんでした。
 三週間が経ち、ジムはネズミにかじられた時に出た血でシャツに日記を書き、丸砥石に文句を書き込み、寝台の脚を二つに引き切りました。
 トムは匿名の手紙を書く時が来たと言い始めました。それは事件が起きる警告と合図で、ジムの脱走を世間に印象付けるためのものでした。ハックは小間使いの女の子の服を、トムはサリー叔母さんの服を盗み、その服を着込んでその手紙を表戸の下に入れました。それからトムは血で描いた骸骨と二本の交差した脛骨、棺桶の絵を家中に貼りました。
 混乱した家族が立てた見張りの黒人が寝てる間に、トムはその首の後ろに手紙をはさみました。その手紙は、ジムを奪還しにやってくる人殺しの一団の反対勢力からという体裁になっていました。差出人は、一団を抜け出した元団員で、夜中に来ることになっているその一団に、ジムを盗まれないようにするための方法が書かれていました。
 夜中にハックがバターを盗み出すと、サリー叔母さんに見つかり、居間に連れて行かされました。そこには、十五人の農夫が銃を持って待機していました。ハックは大急ぎでそれをトムに伝え、ジムを穴から連れて逃げだしました。
 三人は農夫たちに見つかり、銃を発砲されながら逃げました。草むらで農夫をやり過ごし、カヌーに乗り込み、隠してある筏に乗り移りました。トムは、ふくらはぎに銃弾を受け、誇らしげにしていました。トムは先に進もうと言いましたが、ジムは医者を呼ばないと先に進まないと言い張りました。ジムが譲らなかったので、トムは、医者に目隠しをして、沈黙を守ると誓わせてカヌーに乗せるという条件で、診てもらうことを承諾しました。
 ハックは医者に行きました。老人の医者が出てきたので、弟が夢を見ながら鉄砲を蹴って脚を打った。今夜家に帰って皆をびっくりさせてやるために、誰にも言わないでトムの手当てをしてもらいたいと伝えました。医者はハックを怪しみながらも、一人でカヌーに乗り込み、筏へとトムを診に行きました。
 一眠りしても医者は帰りませんでした。ハックはサイラス叔父さんに見つかり、家へと連れていかれました。
 サリー叔母さんは、ジムの残した血のついたシャツや奇妙なメッセージ入りの丸砥石を見て、ジムのことを頭のおかしい黒人だったと言い、曳き切られた寝台の脚や盗まれた家の物などから、多くの黒人がジムと共謀していると思い、家に住むのが怖くなり、トムとハックの部屋の鍵を閉めていました。彼女は、二人がいなくなってすっかり心配していたので、ハックが現れた時は大変に喜びました。ハックは、銃声が聞こえた時に、好奇心にかられてトム(シッド)とともに避雷針を使って部屋の外へ出たと言いました。トムとは街で別れたと言いました。
 トムは夜になっても帰ってきませんでした。ハックは、自分を心配する叔母さんを裏切ることができず、トムを探しに行くことはできませんでした。
 翌日、布団の上に寝かされたトムと老人の医者と、両手をうしろにくくりつけられたジムが大勢に連れられてきました。人々は逃亡したジムを罵りました。医者によると、トムの容態が悪くなった時に、ジムが這い出してきて、必死に看病をしていたようでした。医者がジムを擁護したので、人々はジムを罵ることをやめました。
 翌日、トムの容態はだいぶよくなり、目を覚ましました。トムはジムが安全に逃げたとばかり思い込んで得意になり、それまでに行った手のかかる悪事をすべて、叔母さんに話してしまいました。
 ジムが逃げられずに捕まったことを知ると、トムは怒りに燃え、ワトソンが二ヶ月前に死んだこと、遺言でジムを自由にしたこと、冒険心が味わいたく手の込んだ真似をして、既に自由の身であったジムを自由にしたことを訴えました。
 トムの伯母のであるポリー叔母さんかやってきて、トムのふりをしていたハックと、シッドのふりをしていたトムの正体を明かしました。
 サリー伯母さんは、ハックがトムを名乗らざるを得なかったことを知り、二人の悪事を許しました。
 トムはジムに自由になったことを伝え、金をやりました。サリー伯母さんはジムを丁重に扱いました。ジムは大喜びでした。
 ジムは、難破船の中にいた遺体の正体が、ハックの父親であったことを伝えました。それにより、ハックは自分のお金を父親の飲み代にすることなく、巨額を取り戻すことに成功したのでした。
 サリー伯母さんはハックを養子にしようとしています。しかしハックにはそんな辛抱はできないと、新たな冒険を求めてインディアン居住地に出かける計画を立て始めました。