マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』の登場人物

マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』の登場人物を詳しく紹介するページです。ネタバレ内容を含みます。

※『ハックルベリー・フィンの冒険』の詳しいあらすじはこちら

※簡単な登場人物紹介、あらすじ、感想はこちら

ハックルベリー・フィンの冒険(上) (光文社古典新訳文庫)

ハックルベリー・フィン
主人公。前作『トム・ソーヤの冒険』では、通称「宿なしハック」として登場し、泥棒たちが洞穴に隠した金を発見し、六千ドルを手に入れた。ダグラス未亡人の養子になり、判事のサッチャーから一日一ドルを貰って生活している。上品な格好で読み書きを習い、神に祈るという窮屈な生活に嫌気がさしていたところに、トム・ソーヤに誘われて、「トム・ソーヤ団」という盗賊団を結成する。
一年ぶりに姿を現した父親に捕まって軟禁されるが、何者かによって殺されて川に沈められたように見せかけて逃亡する。川の中にあるジャクソン島で、売られそうになったところを逃げ出してきたジムと出会い、そのジムに自分を殺したという容疑がかかり、追手が迫っていることを知り、共に川下へと旅立つ。騙されやすいジムに度々いたずらをしかけるが、ジムが怒りだすと、黒人に謝るということをやってのける。その一方で、黒人奴隷の逃亡に力を貸したことで良心の呵責を感じており、ジムを密告しようかと思い悩む。
難破船から金品を盗み出したり、上陸した土地で家柄同士の抗争に巻き込まれながら川下へと下り、王様と公爵と名乗る男たちと出会う。しばらくは詐欺師であった王様と公爵とともに群衆を騙しながら旅をするが、身寄りのないウィルクス一家の娘たちを騙そうとした二人の悪党ぶりに嫌気がさして、ジムと共に逃亡を企てる。
王様と公爵によってジムが売られると、偶然にもジムが売られた家の甥であったトム・ソーヤの協力を得て、遊び心に満ち方法でジムを奪い返す。

ジム
ワトソンが所有していた黒人の大男。様々な迷信を信じ、災いを招くという蛇を恐れる。牛の第四胃袋に入っていたという髪の毛の球を占いに使っていた。また、迷信に従って家畜の事業や銀行業に手を染め、いずれも失敗していた。教育を受けていないため、時に愚かな発言をするが、利発な一面も持っている。
ワトソンが自分をオーリアンズに売ろうとしていたので、逃げ出して川の中にあるジャクソン島にわたり、そこにいたハックと共に生活を送る。ハックの悪ふざけによってガラガラヘビに噛まれ、四日間寝込む。その後ハック殺しの件で自分に容疑をかけられ、懸賞金目当てに追手が迫っていることを知り、ハックとともに逃亡生活を送るようになる。
黒人奴隷制度が廃止された自由州にあるカイロを目指すが、自由州に着いたら金を貯めて女房と二人の子供を買い取るか、奴隷廃止論者に子供を盗んでもらうつもりだという黒人奴隷特有の考え方を披露し、それに嫌気がさしたハックに密告されそうになる。
汽船に衝突されて筏を壊されると、身を隠しながらその筏を直し、グレンジャーフォード家から逃げ出してきたハックを待って出発する。
逃亡した黒人奴隷として、一目を避けながら移動していたが、公爵と王様に出会うと、手足を縛られて、「もう既に捕まった黒人奴隷」のふりをさせられたり、体中に青いペイントを施され、病気のアラビア人のふりをさせられたりして捕縛から逃れる。
金に困った王様と公爵によって、サイラス・フェルプスの家に売られ、小屋で生活を送る。トムの遊び心によって囚人に仕立て上げられ、囚人の面倒くささに嫌気がさしながらも、トムが指図した正式な脱獄の方法で小屋を脱出する。
結末ではワトソンが死の直前に残した遺言により、自由の身になる。

トム・ソーヤ
前作『トム・ソーヤの冒険』の主人公。ハックの親友で、「トム・ソーヤ団」という盗賊団を結成する。
叔父のサイラス・フェルプスを訪れる途中で、失踪して死んだものと思っていたハックに出会い大喜びする。ハックがサイラス・フェルプスの家で、自分のふりをしていると聞き、自分は弟のシッドに扮して、ジムの奪還に力を貸す。読み続けてきた脱獄の本に影響され、正式な脱獄の方法にこだわってジムを救出する。
ジム奪還の際に足を撃たれるも、そのまま逃亡しようとするが、医者を呼ばないと動かないとジムが言い張ったため、医者に目隠しをさせて自分のもとへやるという条件で、診察を受けることを了承する。
ワトソンがジムを自由にするという遺言を残したことをもともと知っており、冒険心が味わいたいがために、ジム奪還に力を貸していたことが結末で明かされる。

ダグラス
ハックを養子にもらった未亡人。敬虔なキリスト教徒。ハックに上品で敬虔な生活をさせ、窮屈な思いをさせている。ハックの財産目当てにやってくる父親相手に訴訟を起こすが、事情を知らない新任の判事が敗訴の判決を出したため、ハックから手を引かざるを得なくなる。

ワトソン
ダグラスの妹。ジムの所有者。ちりよけ眼鏡をかけて痩せたオールドミス。敬虔なキリスト教徒。ハックに厳しいしつけを受けさせる。
死の直前に、逃亡したジムを自由にすると言う遺言を残していた。

サッチャー
判事。ハックが洞穴の中から見つけ出した金を利子をつけて預かり、一日一ドルずつ渡している。ハックの財産目当てにやってくる父親相手に訴訟を起こすが、事情を知らない新任の判事が敗訴の判決を出したため、ハックから手を引かざるを得なくなる。

ハックの父親
ハックのことを殴りながら生活していた酒飲みの父親。皮なめし工場で豚と一緒に寝ている。一年間姿をくらませていたが、ハックが財産を手に入れたことを知ると、その金を使う権利を得るために姿を現す。ハックが上品な生活をしているのを見て、学校をやめるように命令し、サッチャー判事を訴えてハックの金を手に入れようと画策する。新任の判事が自分に勝訴の判決を出したため、手に入れた金を使って飲み歩く。事情を知った判事によって改心させられそうになるが、家から這い出して酔っ払い、骨折して凍死寸前のところを発見され、判事から見捨てられる。その後もハックの家の周りをうろつき、酔っぱらっては牢に入れられるのを繰り返していたが、ダグラスにこのままではただではおかないと言われたことに腹を立て、ハックを待ち伏せして捕まえ、川岸の丸太小屋に監禁する。
しばらくはハックとともに川で魚を釣りながら生活していたが、その後も酒に溺れ、幻覚を見てハックを「死の天使」だと思い込み、ナイフを持って追い廻す。
ハックが逃亡すると、容疑がかけられているジムを探すためと言って、サッチャーから金をせびり、飲み歩いているうちに姿を消す。
結末では、増水した川に流れていた木造の家の中にあった死体の正体であったと、ジムによって伝えられる。

ジョン・ハーパー
トムとハックの友人。「トム・ソーヤ団」の副団長。

ベン・ロジャース
トムとハックの友人。

ハックの街に来た四十歳くらいの女
空き家になっていた家に夫とともに住み始める。女装して訪れてきたハックの嘘を早々と見抜くが、虐待を受けて逃げ出してきた子供だと思って話を聞いてやる。ハックが何者かに殺されたと思われていた件で、容疑がかけられて懸賞金が出されているジムを探しに、夫がジャクソン島へ向かう。

ビルジェーク・パカード
ジム・ターナーと共に盗んだ品を船に持ち込んでいた悪党たち。自分たちを裏切ろうとしていたジム・ターナーを、難破して沈みゆくウォルター・スコット号に置き去りにして殺そうとする。船の中に忍び込んできたハックにボートを盗まれたため、沈みゆく船内に取り残されるが、ハックの口車に乗せられてやってきた他船の番頭によって助け出される。

ジム・ターナー
ビル、ジェーク・パカードと共に盗んだ品を船に持ち込んでいた悪党。盗んだ品を独り占めしようとしていたのがばれて、難破したウォルター・スコット号で縛られて殺されそうになる。

大型の渡し船の番頭
沈みゆくウォルター・スコット号に残された悪党に同情したハックに騙され、その船の中に有力者の姪がいると思い込んで、礼金目当てに助け出しに行く。

グレンジャーフォード大佐
背が高く、親切で生れのよい六十歳くらいの紳士。多くの農場と黒人を所有している。シェファードソン一家との宿恨を抱えるグレンジャーフォード家の大黒柱。

グレンジャーフォード老夫人
大佐の妻。優しそうな白髪の婦人。

ボブ
グレンジャーフォード家の総領。

トム
グレンジャーフォード家の次男。

シャーロッテ
グレンジャーフォード家の娘。二十五歳の威厳ある美しい女。

ソフィア
グレンジャーフォード家の娘、二十歳。優しくて愛らしい娘。敵対するシェファードソン一家のハーニーと恋に落ち、駆け落ちする。

バック
グレンジャーフォード家の子供。ハックと同じ年頃の少年。シェファードソン一家との宿恨についてハックに教える。ソフィアが駆け落ちした後の抗争で死去する。

エメリン
グレンジャーフォード家の若くして死んだ娘。切抜帳を作って悲しい記事をたくさん集めたり、井戸に落ちて死んだ少年の詩などを残す。誰かが死ぬと、葬儀屋よりも先に詩を持ってそこを訪れていた。

ハーニー・シェファードソン
ソフィアと駆け落ちしたシェファードソン家の青年。

王様
七十才くらいの老人。禁酒復活運動をやっていたところで、自分が人目を盗んで飲んでいるという噂が広まり、追われていたところをハックに助けられる。公爵がハックとジムを騙して閣下と呼ばれるのを見て、元フランス皇子ドーフィンだと名乗り始める。公爵とともに「リチャード三世」の剣劇や「ロミオとジュリエット」のいかさま芝居をやって儲けようとする。
ある村の野外集会で、改心した海賊のふりをして、インド洋の海賊たちを真人間にしたいと聴衆に吹聴し大金を集める。
アーカンソーのある街で、体中を鮮やかな模様で描いて四つん這いになって飛んだり跳ねたりする芸を披露し、聴衆を笑わせるが、これだけの芸のために見物料を払わされた人々に腐った卵やキャベツを投げつけられそうになり、撤収する。
英国から亡き弟ピーター・ウィルクスの葬儀に来る牧師ハーヴェイになりすまし、ウィルクス家の財産をだまし取ろうと考えるが、あと一歩のところで本人のハーヴェイが現れたため、計画は失敗して筏へと逃げ去る。
その後も着いた村々で様々なことに手を出しては追い出されることを繰り返し、最終的にジムをサイラス・フェルプスに売りつけるが、詐欺を働いていたことにより捕まって、タール羽の刑に処せられる。

公爵
三十歳くらいの男。町で質の悪い薬を売っていたところに王様が逃げてきたため、一緒に逃亡してハックに助けられる。落ちぶれた公爵であるというふりをして、ハックとジムを騙す。
ある村で印刷屋に掛け合い、百姓相手に馬の広告を作って儲ける。同じ印刷屋でジムの手配書を偽造し、誰かが筏に乗っている自分たちの姿を見たら、ジムの手足を縛ってそのビラを見せ、賞金をもらいに行くところだと言って、ジムが捕まるのを防ごうと画策する。
英国から亡き兄ピーター・ウィルクスの葬儀に来る聾唖の弟ウィリアムのふりをして、ウィルクス家の財産をだまし取ろうと考えるが、あと一歩のところで本人のウィルクスが現れたため、計画は失敗して筏へと逃げ去る。
その後も着いた村々で様々なことに手を出しては追い出されることを繰り返し、最終的にジムをサイラス・フェルプスに売りつけるが、詐欺を働いていたことにより捕まって、タール羽の刑に処せられる。

ボッグズ
アーカンソーの五十歳くらいの男。十六歳の娘がいる。酔っぱらってシャーバン大佐に喧嘩をふっかけ、銃で撃たれる。

シャーバン大佐
南部の生まれ。育ちは北部。喧嘩を吹っかけてきたボッグズを撃ち殺す。自分を私刑にしようと押しかけきた人々に向かい、南部の人間の臆病なことを馬鹿にして銃を向け、退散させる。

ティム・コリンズ
王様と公爵にウィルクス家の詳しい話を教えた少年。

ピーター・ウィルクス
イギリスから移住してきた男。ハーヴェイに金の隠し場所を書いた手紙を残して死去した。

ジョージ・ウィルクス
ピーターの弟で、共にイギリスから移住してきた男。昨年死去した。

ハーヴェイ・ウィルクス
ピーターの兄。人柄のよい老紳士。イギリスに残り牧師をしていたが、ピーターの死を受けてアメリカに渡ってくる。

ウィリアム・ウィルクス
ピーターのイギリスに残った弟。聾唖。

メアリ・ジェーン
ジョージの娘。十九歳の美しい赤毛の娘。王様と公爵のことを本物のハーヴェイとウィリアムだと思い込み、二人が自分たちに金をやり、イギリスに連れて帰ると聞くと大喜びし、家の財産を競売にかける。ハックによって王様と公爵に騙されていることを知ると、怒りに燃えながらも、ハックの言いつけ通りに遠方へと一時身を隠す。

スーザン
ジョージの娘。十五歳。

ジョアンナ
ジョージの兎唇の娘。十四歳。慈善事業に夢中になっている。王様と公爵が扮すハーヴェイとウィリアムの召使ということになっていたハックに、イギリスについて聞く。それに答えられないハックに疑いを抱くが、メアリとスーザン叱られ、疑いを持ったことを泣いて謝る。

ロビンソン
医師。王様のイギリス訛りが下手なことから、王様と公爵が偽物のハーヴェイとウィリアムであることを見抜く。

レヴィ・ベル
本物のハーヴェイ・ウィルクスと同じ蒸気船でやってきた弁護士の男。王様と公爵が偽物のピーターとウィリアムであったことに気づき、王様にサインを書かせて、それがハーヴェイの筆跡と異なるのを指摘する。

ハインズ
頑丈な大男。王様と公爵とハックが、ティム・コリンズとカヌーに乗っていたのを家の近くで見た。それが蒸気船で来たという王様の主張と異なっていたため、王様たちが詐欺師であることを見破る。

サイラス・フェルプス
ジムを買い取った、パイクスビルに住む老人。トム・ソーヤの叔父。トム・ソーヤの叔母。ジムを奪還しにきた来たハックを、甥のトムだと思い込み、その後で来たトムを、トムの弟のシッドだと思い込んで二人の面倒を見る。トムがジム奪還を壮大な脱獄劇に仕立て上げようとしたため、自分のシャツなどを盗まれて、それがネズミの仕業だと思う。

サリー叔母さん
サイラス・フェルプスの妻。夫同様、ハックをトムに、トムをシッドだと勘違いする。
トムからジム奪還の犯罪を予告するいたずらの手紙が届くと、農夫を呼んで備える。
トムによって囚人のふりをさせられていたジムが、トムとハックによって家を脱出すると、ジムが頭のおかしい黒人で、協力する黒人が大勢いると勘違いして恐れおののく。ジムとともにハックとトムが姿を消すと大いに心配するが、二人が姿を現して真実を知ると、全てを許す。
結末ではハックを養子にしようとしている。

ナット
サイラス叔父さんの家で、ジムに食糧を運んでいた黒人の少年。

老人の医者
農夫によって撃たれたトムを診る。その際にジムが手厚くトムを看病したため、後に逃亡罪で捕縛されたジムを擁護する。

ポリー叔母さん
トム・ソーヤの叔母。サリー叔母さんとは姉妹。トムの後からサリー叔母さんの家を訪れ、ハックがトムのふりを、トムがシッドのふりをしていたことをサリー叔母さんに教える。