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作品紹介、ときどき詳しいあらすじ、ときどき感想

太宰治『冬の花火』の登場人物、あらすじ、感想

 『冬の花火』は、1946年に発表された太宰治の戯曲です。太宰治がデビュー後に残した二つの戯曲のうちのひとつ(もうひとつは『春の枯葉』)で、津軽地方のある部落にある地主の家を舞台に、敗戦後の日本で、新しい理想郷を夢見て傷ついていく人々が描かれます。 作品全体に漂う侘しい雰囲気や、やるせない思いを抱えて煩悶する登場人物など、太宰治らしさを失わないまま、戯曲ならではのドラマチックな展開を楽しめる作品と […]

太宰治『メリイクリスマス』の登場人物、あらすじ、感想

 『メリイクリスマス』は、1947年に発表された太宰治の短編です。 戦後まもなくの十二月の東京を舞台に、津軽の生家から戻った語り手が、以前親交のあった二十歳になる娘にばったりと出会い、空襲で息を引き取ったその娘の母親の死を悼む物語です。 知名度はそれほど高くありませんが、やるせないストーリーの中にも、人間らしい可笑しみを感じさせてくれる好短編となっています。 このページでは、『メリイクリスマス』の […]

夏目漱石『坑夫』の登場人物、あらすじ、感想

 『坑夫』は、1908年(明治41年)に、朝日新聞に連載された夏目漱石の長編小説です。 その年に朝日新聞に載る予定だった島崎藤村の小説の執筆が滞り、急遽、漱石がその空白を埋めるために依頼されて書いた作品です。 その前年、以前坑夫として働いていたある青年が、漱石の元をひょっこりと訪れ、坑夫になるより前の心の葛藤を小説の材料にしてくれないかと頼みました。その時漱石は、その青年の語る「個人の事情」は書き […]

坂口安吾『続戦争と一人の女』の登場人物、あらすじ、感想

 『続戦争と一人の女』は1946年11月に雑誌「サロン」に発表された坂口安吾の短編小説です。 同年10月に発表された、『戦争と一人の女』の姉妹編とも言うべき作品で、三人称作品であった前作と同時期の話が、主人公の女の視点から語られる一人称小説となっています。ちなみに、坂口安吾による女性の一人称作品は、この『続戦争と一人の女』を含めて三作品のみとなっており、無頼派と呼ばれる同時代の作家の中で、数多くの […]

坂口安吾『戦争と一人の女』の登場人物、あらすじ、感想

 『戦争と一人の女』は、1946年10月に、雑誌「新生」に発表された坂口安吾の短編小説です。 同年11月に、坂口安吾は、『続戦争と一人と女』という姉妹編を、雑誌「サロン」に発表しており、こちらの『続‥』の方は、作品集「いづこへ」に収録される際、『戦争と一人の女』と改題されました。そのため、同じ題名の作品が二つ存在することとなり、例えば新潮文庫では「サロン」収録版が、岩波文庫では「新生」収録版が『戦 […]

森鴎外『雁』の登場人物、あらすじ、感想

 『雁』は、1911年から雑誌「スバル」に連載された森鴎外の小説です。 高利貸しの妾であるお玉が、東京大学の学生である岡田に儚い恋をするも、ある偶然によって結ばれることのできなかった物語を通して、不幸な境遇の中で自立していく彼女の姿や、一度の偶然が運命を左右する様を描いた作品です。 東京大学から上野不忍池にいたる一帯や、神田、秋葉原界隈が舞台になっており、ビジネス街となってしまったこの辺りの情景を […]

レフ・トルストイ『悪魔』の登場人物、あらすじ、感想

 『悪魔』(ロシア語:Дьявол)は、結婚前に関係を持っていた女性の肉体を忘れられられずに懊悩する男エヴゲーニイの破滅を描いた作品です。  トルストイは、三十四歳の頃に、宮廷医の娘であった十八歳のソフィヤ・アンドレーエヴナとの結婚を果たしますが、その結婚よりも前から自分の領地にいた農民の女性と関係を持っており、子供も作っていたようです。『悪魔』は、(諸説あるようですが)その時の経験をもとに書かれ […]

夏目漱石『坑夫』の詳しいあらすじ

夏目漱石作『坑夫』の詳しいあらすじを紹介するページです。ネタバレ内容を含みます。 リンク ※簡単なあらすじ、登場人物紹介、管理人の感想はこちら(『坑夫』トップページ) 長蔵に声をかけられる  許嫁がいる身でありながら、ほかの娘と惹かれあってしまった「自分」は、自殺も駆け落ちもすることができないまま、許嫁や親に申し訳が立たなくなり、生家を飛び出しました。東京から夜通し北へ向かい、泊まる宿も金もなかっ […]

レフ・トルストイ『クロイツェル・ソナタ』の登場人物、あらすじ、感想

 『クロイツェル・ソナタ』は、1891年に出版されたレフ・トルストイの小説です。 題名にも使われている『クロイツェル・ソナタ』は、1803年に作曲されたベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第九番のことを指しており、この作品中で重要な役割を果たしています。 この作品は、出版の前年には既に出来上がっていたものの、ロシアの検閲から発表を許されなかったため、ソフィア夫人が自らペテルブルクの皇帝アレクサンドル […]

森鴎外『雁』の詳しいあらすじ

森鴎外作『雁』の詳しいあらすじを紹介するページです。ネタバレ内容を含みます。 リンク ※もっと簡単なあらすじ、登場人物紹介、感想はこちら(『雁』トップページ) 岡田とお玉の出会い  明治十三年、東京大学の学生であった「僕」は、鉄門の真向かいにあった上条という下宿屋に住んでいました。「僕」の部屋の隣の下宿人は、一学年下の岡田という男でした。 岡田は体格のよい美男で、競漕(ボートレース)の選手でした。 […]