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ロシア文学

フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(第三部)の詳しいあらすじ

 『カラマーゾフの兄弟』の第三部は、ゾシマ長老の死により悲しみに打ちひしがれたアレクセイと、グルーシェニカを手に入れるために奔走するドミートリイを中心に進行します。 物語は、フョードルが何者かに殺されるという急展開を迎え、推理小説の様相を呈しながら加速していきます。第二部までの難解さは、ここへきてやや鳴りをひそめ、それまで苦労して読んできたことが嘘のように、ページをめくる手が止まらなくなるような感 […]

フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(第二部)の詳しいあらすじ

 『カラマーゾフの兄弟』の第二部は、さまざまな人物のもとを訪れるアレクセイの一日を中心に物語が進行します。この作品の核とも言うべき箇所で、特にイワンの語る「大審問官」と、ゾシマ長老が息を引き取る間際の説法は、ドストエフスキーの神に対する考え方の揺らぎがそのまま表現されていると言っても過言ではないでしょう。 この作品中最も読むのに苦労する箇所ですが、ここをしっかり読み込むほど、第三部から急加速する物 […]

フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(第一部)の詳しいあらすじ

 『カラマーゾフの兄弟』の導入部とも言うべき第一部は、フョードル、ドミートリイ、イワン、アリョーシャといった物語の中心を成すカラマーゾフ家の人々や、スメルジャコフやグルーシェニカ、カテリーナ、ゾシマ長老などの重要な役割を果たす登場人物たちの生い立ち、関係性が語られます。 大きく物語が動くのはまだまだ先ですが、この一癖も二癖もある人々の個性が描き出される数々のエピソードを読むと、これからとてつもない […]

レフ・トルストイ『悪魔』の登場人物、あらすじ、感想

 『悪魔』(ロシア語:Дьявол)は、結婚前に関係を持っていた女性の肉体を忘れられられずに懊悩する男エヴゲーニイの破滅を描いた作品です。  トルストイは、三十四歳の頃に、宮廷医の娘であった十八歳のソフィヤ・アンドレーエヴナとの結婚を果たしますが、その結婚よりも前から自分の領地にいた農民の女性と関係を持っており、子供も作っていたようです。『悪魔』は、(諸説あるようですが)その時の経験をもとに書かれ […]

レフ・トルストイ『クロイツェル・ソナタ』の登場人物、あらすじ、感想

 『クロイツェル・ソナタ』は、1891年に出版されたレフ・トルストイの小説です。 題名にも使われている『クロイツェル・ソナタ』は、1803年に作曲されたベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第九番のことを指しており、この作品中で重要な役割を果たしています。 この作品は、出版の前年には既に出来上がっていたものの、ロシアの検閲から発表を許されなかったため、ソフィア夫人が自らペテルブルクの皇帝アレクサンドル […]

レフ・トルストイ『悪魔』の詳しいあらすじ

トルストイ作『悪魔』(ロシア語:Дьявол)の詳しいあらすじを紹介するページです。ネタバレ内容を含みます。 リンク ※簡単なあらすじはこちら(『悪魔』トップページ) 領地の経営を始めるエヴゲーニイ  エヴゲーニイ・イルチェーニェフは立派な家庭に生まれ、ペテルブルク大学法学部を優秀な成績で卒業し、大臣の口利きである省に勤め始めていました。近頃死んだ父親は、近衛騎兵隊に勤務する兄とエヴゲーニイに六千 […]

レフ・トルストイ『クロイツェル・ソナタ』の詳しいあらすじ

レフ・トルストイ作『クロイツェル・ソナタ』の詳しいあらすじを紹介するページです。 リンク ※ネタバレ内容を含みます。 ※もっと簡単なあらすじはこちら(『クロイツェル・ソナタ』トップページ) ポズドヌイシェフとの出会い  早春、「私」は、二昼夜にわたり汽車の旅を続けていました。「私」の他には、不器量なタバコ好きの中年の婦人、その知り合いで、四十歳くらいの話し好きな弁護士、そして一人で離れて座っている […]

フョードル・ドストエフスキー『賭博者』の登場人物、あらすじ、感想

 『賭博者』は、一八六六年に発表されたフョードル・ドストエフスキーの長編小説です。 二十五歳の頃、作家として華々しいデビューを飾ったドストエフスキーですが、その後の作家生活は順風満帆ではなく、プライベートも波瀾に満ちたものでした。彼は社会主義サークルの会員であったかどで五年にわたり服役し、一八五九年にペテルブルクに復帰すると、自分の講義に顔を出した二十一歳のポリーナ・スースロワと不倫関係に陥ります […]

ドストエフスキー『賭博者』の詳しいあらすじ

ドストエフスキー作『賭博者』のあらすじを詳しく紹介するページです。ネタバレ内容を含みます。 リンク ルーレテンブルクで合流した、アレクセイと将軍の一行  家庭教師のアレクセイ・イワーノヴィチは、雇い主の将軍らの依頼により、パリで四千フランの資金を調達したあと、二週間ぶりにドイツのガジノのある街ルーレテンブルクに戻り、三日前にやってきていた将軍たちと合流しました。  将軍は、先立った妻との間にできた […]

レフ・トルストイ『戦争と平和』の登場人物、詳しいあらすじ、感想

 『戦争と平和』は、一八六五年から一八六九年にかけて発表された、レフ・トルストイの長編小説です。 ロシアにとって激動の時代であった、対ナポレオン戦争の間の一八〇五年から一八一三年(エピローグを含めると一八二〇年まで)を舞台とし、史実と創作を織り交ぜながら、その時代に生きる人々のドラマが描かれた作品です。  多くの優れた作家を輩出した十九世紀は、ロシア文学史における黄金時代と言われています。トルスト […]