太宰治『親友交歓』の登場人物、詳しいあらすじ、感想
一九四六年に発表された、太宰治の短編『親友交歓』の紹介です。この作品は、東京で罹災して津軽に帰郷している「私」が、小学校の同級生であった男の訪問を受ける話です。その男は、「私」の家に入り込み、クラス会を開くための金を要求し、女房のお酌で酒を飲ませろと言ってきます。「私」はその男のことをかすかに覚えているだけでしたが、「軽薄な社交家」であるがゆえに、彼に酒を振舞います。しかし段々と彼の傍若無人ぶり […]
一九四六年に発表された、太宰治の短編『親友交歓』の紹介です。この作品は、東京で罹災して津軽に帰郷している「私」が、小学校の同級生であった男の訪問を受ける話です。その男は、「私」の家に入り込み、クラス会を開くための金を要求し、女房のお酌で酒を飲ませろと言ってきます。「私」はその男のことをかすかに覚えているだけでしたが、「軽薄な社交家」であるがゆえに、彼に酒を振舞います。しかし段々と彼の傍若無人ぶり […]
『赤き死の仮面』(The Masque of the Red Death)は、1842年に発表されたエドガー・アラン・ポー(1809年~1849年)の短編小説です。この作品は、感染すると身体中から血が吹き出し、三十分以内には死に至るという「赤き死」という疫病が蔓延している国が舞台になっています。国王のプロスペローは疫病を放置し、健康で高貴なものだけを集め、安全な城の中で仮面舞踏会を開きます。しか […]
一九五九年発表の井上靖の長編小説『敦煌』は、十一世紀の中国を舞台にした歴史小説です。当時の中国であった宋の西方では、チベット系民族の李元昊(りげんこう)が率いる西夏が、この地の覇権を握ろうとしていました。西夏はもともと宋の地方組織でしたが、次第に勢力を増すと、一〇三六年に宋の支配下であった沙州(現在の敦煌)へと兵を進めて制圧し、その翌々年に李元昊が皇帝を名乗り建国します。 沙州はシルクロードの […]
ロシアのチェーホフの大劇作家、アントン・チェーホフの戯曲『かもめ』は、1895年に執筆され、1896年にサンクトペテルブルクのアレクサンドリンスキイ劇場で初演されました。当時の劇場での評価は非常に低く、主人公格のニーナの役で出演していた女優は、観客からの敵意に満ちた視線により、声が出なくなったと言われています(チェーホフはこの女優を、ロシアで最高の女優と褒め称えています)。チェーホフ自身「二度と […]
一九五四年出版、ウイリアム・ゴールディングの『蝿の王』を紹介します。ウィリアム・ゴールディング(一九一一年〜一九九三年)は、イギリスの南西端、コーンウォール州に生まれ、連合国側の兵士として第二次世界大戦に参加し、史上最大規模の上陸作戦であったノルマンディー上陸作戦も経験しました。 ここで紹介する『蠅の王』もまた、(戦争に関する直接的な描写は出てきませんが)戦争中の話です。攻撃を受けた飛行機に乗 […]
『ヴィヨンの妻』は1947に発表された太宰治の短編小説です。題名に含まれる「ヴィヨン」とは、十五世紀のフランスの詩人フランソワ・ヴィヨンのことを指します。フランソワ・ヴィヨンはパリで放蕩を繰り返し、乱闘騒ぎで司祭を殺し、強盗事件を起こして逮捕された人物です。彼は死刑判決を受けましたが、恩赦によってパリ追放の刑に減刑され、その後消息を断ちました。 この小説の主人公は、放蕩を繰り返す夫と、語り手で […]
『憂国』は一九六一年に発表された三島由紀夫の短編小説です。四十ページ足らず(新潮文庫版)の作品ながら、『仮面の告白』、『潮騒』、『金閣寺』などの錚々たる顔ぶれの小説と並び、三島由紀夫の代表作と言えるものです。この作品を有名にしているのは、なんといってもその官能表現と、苦痛の表現でしょう。これはもう非常に生々しく、読んでいて実際に痛みを感じる人も多いのではないでしょうか。三島由紀夫にとっても、自身 […]
『清兵衛と瓢箪』は志賀直哉(一八八三年~一九七一年)の小品です。一九一三年発表と、志賀直哉の長いキャリアの中でも比較的初期の作品です。瓢箪に病的に凝っている十二歳の少年(清兵衛)を主人公に寓話のようなストーリーが展開され、最後の数行であっと驚く結末を迎えます。文庫版で十ページ に満たず、簡単に読めてしまうので、ちょっと片手間に志賀直哉の文章が読みたいときに(あまりないですかね。管理人はよくありま […]
『破戒』は一九〇六年、詩人として活躍していた島崎藤村が初めて自費出版した小説です。日本における自然主義を確立した作品のうちの一つであり、夏目漱石が絶賛しました。 この小説では、被差別階級出身の青年、瀬川丑松が自分の出生を周囲に告白するかどうかで苦悩する様子が描かれます。被差別階級とは、江戸時代に確立された身分制度「士農工商」のどれにも含まれない人々のことをさします。彼らはある地区にまとまって住 […]
『夫婦善哉』は、一九四〇年に発表された織田作之助の短編小説です。 織田作之助(一九一三年~一九四七年)は、太宰治や坂口安吾らと同じ無頼派に分類される作家です。水商売などを扱った作品が多いため、公序良俗に反するとして戦時中は発禁処分を受けることもあったそうですが、遊蕩的でありながらも、大阪人ならではの人情味に溢れる作品を多く残し、当時の流行作家となりました。 無頼派というと、酒や薬で私生活を毒 […]