島崎藤村『破戒』の登場人物、詳しいあらすじ、感想
『破戒』は一九〇六年、詩人として活躍していた島崎藤村が初めて自費出版した小説です。日本における自然主義を確立した作品のうちの一つであり、夏目漱石が絶賛しました。 この小説では、被差別階級出身の青年、瀬川丑松が自分の出生を周囲に告白するかどうかで苦悩する様子が描かれます。被差別階級とは、江戸時代に確立された身分制度「士農工商」のどれにも含まれない人々のことをさします。彼らはある地区にまとまって住 […]
『破戒』は一九〇六年、詩人として活躍していた島崎藤村が初めて自費出版した小説です。日本における自然主義を確立した作品のうちの一つであり、夏目漱石が絶賛しました。 この小説では、被差別階級出身の青年、瀬川丑松が自分の出生を周囲に告白するかどうかで苦悩する様子が描かれます。被差別階級とは、江戸時代に確立された身分制度「士農工商」のどれにも含まれない人々のことをさします。彼らはある地区にまとまって住 […]
『夫婦善哉』は、一九四〇年に発表された織田作之助の短編小説です。 織田作之助(一九一三年~一九四七年)は、太宰治や坂口安吾らと同じ無頼派に分類される作家です。水商売などを扱った作品が多いため、公序良俗に反するとして戦時中は発禁処分を受けることもあったそうですが、遊蕩的でありながらも、大阪人ならではの人情味に溢れる作品を多く残し、当時の流行作家となりました。 無頼派というと、酒や薬で私生活を毒 […]
一八八三年に発表したされた、ギ・ド・モーパッサンの長編『女の一生』を紹介します。モーパッサン(一八五〇年〜一八九三年)は、ノルマンディーで生まれ、パリで活躍した自然主義の作家です。短編小説が有名ですが、6つの長編小説を残していて、日本では島崎藤村などが影響を受けたと言われています。今回紹介する『女の一生』は、ロシアの文豪レフ・トルストイが、「モーパッサンの著作の中で最高の小説というだけでなく、ユ […]
ドイツ文学の巨匠、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』を紹介します。ヘッセは神学校に入学するも半年で退学し、その後精神病院に入院しています。彼の少年時代と、この物語の主人公ハンス・ギーベンラートの人生は似通った部分が多く見受けられ、ヘッセの自伝的作品と言われています。将来を期待された少年であったハンスが、周囲の人々によって徐々にスポイルされていく様子は、教育戦争が激化する現代においてますます身近な問題 […]
言わずと知れた川端康成の代表作『雪国』を紹介します。この小説は、日本のみならず海外でも評価が高く、多くの翻訳がなされています。冒頭の一文 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった はあまりにも有名であり、読者を一気に「雪国」という夢幻の世界へと引きずり込みます。多少読みにくく、難解な部分も多いですが、繰り返し読むことで味わいが増してくる作品です。 リンク ※ネタバレ内容を含みます。 『雪国』の登 […]
一九五八年に発表された『赤ひげ診療譚』を紹介します。現代においてもドラマやCMに度々登場する、「赤髭」こと新出去定がこの小説の主人公です。去定は江戸の貧民救済施設である小石川養生所の医長を勤める人物です。一見、乱暴者のように見えますが、常に貧しい人たちのことを考え、医術の知識は超一流、喧嘩をすれば六人のならずものを一気に打ちのめします。まさに「弱きをたすけ強きをくじく」といった彼の行動は、常に読 […]
山本周五郎作『赤ひげ診療譚』の詳しいあらすじを紹介するページです。ネタバレ内容を含みます。 リンク ※全体の簡単なあらすじ、登場人物紹介、感想はこちら(『赤髭診療譚』トップページ) 狂女の話 登場人物 おゆみ類稀なる美貌の持ち主で、幼い頃から手代に悪戯され、その後も男に脅され関係を持ったため、男女の営みを悪いことだと思い込む。男を誘惑して殺すようになったため、小石川養生所に隔離されている。 お杉奉 […]
1924年から1925年にかけて発表された谷崎潤一郎の長編、『痴人の愛』を紹介します。真面目なサラリーマンであった「私」(河合譲二)は、十五歳の女給だったナオミを引き取り、自分の理想の女に育てようとします。しかしナオミの淫蕩な本性が徐々に姿を現すにつれ、「私」はナオミの性的な魅力に支配されていきます。発表当時、このような奔放な女性(あるいはその生き方)をさす、「ナオミズム」という流行語が生みださ […]
谷崎潤一郎作『痴人の愛』のあらすじを、章ごとに詳しく紹介するページです。 リンク ※簡単なあらすじ、登場人物紹介はこちら(『痴人の愛』トップページ) ※ネタバレ内容を含みます。 一 私は、八年前に浅草の雷門の近くのカフエエ・ダイヤモンドで給仕をしていたナオミに出会いました。その時彼女は十五歳で、私は二十八歳でした。「ナオミ」という西洋人のような名前の響きと、美しい顔立ちが私の気をひきました。 […]
一九三七年発表の、井伏鱒二の中編小説『ジョン万次郎漂流記』を紹介します。ジョン万次郎は、土佐国で漁を手伝う仕事をしていましたが、遭難してアメリカ船に助けられ、太平洋中を旅して日本に戻り、その後通訳として活躍した歴史上の人物です。この作品は、「事実は小説よりも奇なり」を地でいったジョン万次郎の人生が、とても読みやすい文章で書かれています。ちなみに、現在よく知られている「ジョン万次郎」という名前は、 […]